海猫の空

関谷俊博

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海猫の空

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僕は部室の前で足を止めた。
部室の中にいたのは、八重垣さんと沙也加だった。
向かい合った二人は、激しい口調で口論をしていた。
「私をどうする積もりなの」
沙也加が八重垣さんに詰め寄った。
「どうする積もりもない。きみの好きにすればいい」 
八重垣さんが意に介さない口調で言葉を返した。
「だったら私はあなたの何なの」
沙也加の声がひるがえった。
「何って彼女だろ。それとこれとは別の話だ。繰り返すが好きにすればいい。待つも待たないも、きみの自由だ。俺はきみを縛ったりしない」
八重垣さんはあくまで冷静だった。
「私はあなたのそういう所が嫌なの」
「そういう部分も含めて俺は俺なんだ」
八重垣さんが言い放ったとき、階段を昇ってくる笑い声が聴こえてきた。
まずいな、と僕は思った。後輩たちだ。
後輩たちに、これを見せたくない。
「あのう」
気まずさを感じながら、僕はふたりに声をかけた。
「後輩たち、来ましたけど」
ふたりがぎくっとした表情で、こちらを振り返った。
後輩たちが部室の前にやってきた。
「みっともないところを見せたな」 
八重垣さんは僕の肩をたたくと、後輩たちと入れ違いに部室を出ていった。
「ごめん」
後輩たちに続いて部室に入ると、沙也加が頭をさげた。
「いや」
僕は首をふった。
「謝ることはないよ」
「いつも同じことで喧嘩になる」 
「八重垣さんの大学のこと?」 
「うん」
八重垣さんは、僕が所属する英語部の一学年上の先輩だった。
傲慢ではあったが、他人にも自分にも決して嘘はつかなかった。決してブレない何かが、八重垣さんの心には有るようだった。
僕は八重垣さんに尋ねてみたことがある。
「八重垣さんの信条って何ですか」
「したいことではなく、すべきことをすることだ」
八重垣さんは即座に答えた。
「大抵の奴らは、したいことをしている。そして解答を間違う。だけど俺は、すべきことをしているから、解答を間違えない。俺にとって人生はゲームなのさ」
「八重垣さんのように優秀な人にとっては、さぞ面白いゲームなんでしょうね」
べつに皮肉で言った訳ではない。何でも思い通りにしてしまう八重垣さんの能力に、僕は舌を巻いていたのだ。   
「だけど誤解しないでほしいのは、これが限りなく真剣なゲームだってことだ。すべきことをする為に俺は相当な努力を払ってる」
成績優秀、スポーツ万能となれば当たり前だが、八重垣さんは女子生徒にともかくモテた。
けれども八重垣さんには、きちんとつきあっている彼女がいた。
それが沙也加だった。
だが八重垣さんは高三で海外の大学を志望していた。一方、沙也加は僕と同じ高二で、国内の大学を志望していた。 
遠距離恋愛だってあり得るはずだが、二人の今後について、八重垣さんは明確な答えを避けていた。 
そのことが原因で、しばしば二人は衝突していたのだ。もっとも険悪な状態はすぐに解消され、翌朝には二人そろって登校してきたりもするのだが。

週末の土曜の朝、何の予定もない僕は、駅近くの本屋でも覗こうと思って家を出た。
すると駅の前に化粧をして立っている沙也加を見つけた。
「八重垣さんと待ち合わせ?」 
僕はさりげなく沙也加に声をかけた。
「うん」
恥ずかしそうにうなずいたとき、沙也加のスマートフォンが鳴った。
「え」
沙也加は一瞬、絶句したが
「そっか…うん、わかった」
通話を切って、ほっと小さなため息をついた。
「来られないんですって。八重垣さん」
「えっ! これってドタキャン」 
八重垣さんの身勝手さは良くわかっていたが、もう少し早めに連絡をくれても良さそうなものだ。
「良くあることよ」
沙也加は苦笑したが、べつに怒っている様子はなかった。
「ねえ、鈴鹿くん。これから時間ある?」
「あるよ」
僕は即座に答えた。べつに何をする当てもないのだ。
「あり過ぎて、きみにわけてあげたい位だよ」
「じゃあ、一緒に行こ」
沙也加は、僕の手を握った。
  
僕と沙也加は、とりあえず最短区間の料金で切符を買い、電車に乗った。だが、その最短区間を過ぎても、沙也加は電車を降りようとはしなかった。
「山梨に向かってるよね、この電車」
「そうね」  
沙也加はうなずいた。目的地は間違っていないらしい。
「僕らは山梨へ何しに行くんだろう」
「ホウトウを食べに行くのよ」 
あっさりと沙也加は言った。
「ホウトウ? ホウトウって、あのホウトウかい?」
「そうよ。あのホウトウよ。他にホウトウってある?」
「いや、だけど何故ホウトウなんだろう。八重垣さんと行くつもりだったの?」
「ううん」 
沙也加は首をふった。
「八重垣さんとは、レストランで食事をする予定だった。だけど私はホウトウを食べたかったのよ」
僕は少し考えてから、沙也加にたずねた。
「どういうことなのかな? きみはホウトウを食べたかったけれど、八重垣さんとはレストランで食事をする予定だった」
沙也加は苦笑した。
「デートの予定はね、全て八重垣さんが決めてくるのよ。そこに私の意向は一切反映されないの」
さすが完璧主義の八重垣さんだ。僕は呆れるより前に感心してしまった。
「だからね。たまにはこういうワガママが許されたって、いいじゃない」

結局、僕と沙也加は大月駅で電車を乗り継ぎ、富士山駅からバスに乗って「忍野八海」まで足をのばした。
そして、色鮮やかな泉を見物した後で、沙也加の希望通り、ホウトウを食べて帰ってきた。
別れる間際、沙也加は言った。
「ありがとう、鈴鹿くん。最高の一日だったわ」
「どういたしまして。僕もすごく楽しかったよ」 
僕は言った。

高校は夏休みに入り、セミ時雨とソーダ水の季節がやってきた。この街は海に近く、夏の匂いがする潮の香りが、ここまで運ばれてきた。
八重垣さんから電話があったのは、八月に入ってすぐのことだった。
「三日後に沙也加と海へ行くんだが、一緒に来ないか」
「えっ」
僕は一瞬、言葉に詰まった。
「おじゃましちゃ悪いですよ」 
沙也加とは二人きりでホウトウを食べに行ったこともある訳だが、あれは八重垣さんのドタキャンがきっかけとなった、こう言って良ければ偶発的な出来事だった。
こんなふうに、あからさまに二人のデートに付き合うことは、さすがにためらわれた。
「いや、おまえが居てくれた方がいいんだよ」
八重垣さんは哀願するような声になった。八重垣さんにしては珍しいことだ。
「おまえが居ると、沙也加の機嫌もいいんだ。俺と二人きりだと、いつも最後にはケンカになる」
沙也加が機嫌がいい、というのは、部活での様子を指すのだろう。
部活動中そう簡単に機嫌を損ねたりはしないと思ったが、いちおう僕は承諾することにした。
「わかりました。おじゃまじゃないなら、いいですよ」

そんな訳で三日後、僕ら三人は海に出かけた。
目にしみるような青い空と、潮の匂い。みずみずしく膨らんだ海は、歩いてでも渡れそうに澄んでいた。
水平線にわきだした入道雲は、黄金色のシルエットに縁取られ、存在感をもって動かずにいた。
波頭が岩でくだけて、きらびやかなガラス玉をまき散らしたように輝いた。
僕らはふざけて、子どものように、はしゃぎまわった。ビーチボールを打ち合い、水をかけあい、砂浜を駆けまわった。
言葉はいらなかった。磨きたてられた夏は、いっそう輝きを増して、僕らの全てを受け入れてくれていた。
いま思えばこの夏が、僕らの一番幸せな時だった。

永遠に続くかとも思われた夏は過ぎ去り、静かな秋が訪れた。
街の樹々は冬の準備に色づき始め、空は磨きたてたように哀しく張りつめていた。
「いま俺がすべきことは、一流の大学に進学して、一流の経営学を学ぶことなんだ。ハーバードに出願することにしたよ」
ある日、八重垣さんはそう口にした。
ハーバード大学はプリンストン大学と並ぶアメリカの名門校だ。卒業生もビル・ゲイツやオバマ元大統領などそうそうたる面々が並ぶ。
一応、十一月が出願の時期となっているが、アメリカの入試制度は日本と大きく異なり、SATと呼ばれる教科別テストが年に七回実施される。
八重垣さんは普段の試験のみならず、このSATでも満点に近い点数を取っていたので、ハーバード大学合格はまず確実といって良かった。
「そうですか。やはり海外の大学へ行くんですね。だけど沙也加のことはどうするんですか」 
僕は八重垣さんに、そうたずねた。
「本当はおまえが後を引き継いでくれるのが一番いいんだよ」 
八重垣さんの軽い口調に、僕は呆気にとられた。
「冗談でしょう」
「まあ、半分は冗談だが半分は本気だ。おまえとあいつなら、合うと思うんだ」
「ガチで本気じゃないですか」
半分あきれながら、僕は訴えた。
「おまえといると楽なんだとさ。沙也加は」
あっさりとそう言うと、八重垣さんは肩をすくめた。
「好きと楽とは違いますよ。沙也加の気持ちは、どうなるんですか」
「俺を待つ必要はないと、あいつには伝えてある」
「僕には酷く酷薄な話のように思えますが」   
「何度も言っているだろう。すべきことをするのが俺の信条だと」
会話を打ち切るように、八重垣さんはそう言った。
 
週末の土曜、沙也加から電話があった。
「ねえ、鈴鹿くん。今から映画を観に行かない?」
沙也加が口にしたのは、いま話題となっているアクション映画だった。
「映画? どうして八重垣さんと一緒に行かないの?」
「八重垣さんは、そんな映画は観たくないって言うの。前に言ったことがあったでしょう? デートに私の意見は反映されないのよ。私がワガママ言えるのは鈴鹿くんしかいないの」
少しの間、僕は黙った。
「やっぱり駄目かな」
「いや、いいよ」
僕は言った。

「映画、すごく面白かったわ。やっぱり私が甘えることができるのは、鈴鹿くんだけだなあ」
映画を観たあと、僕と沙也加は近くの喫茶店に入った。内容のない映画だと、僕は思ったが口には出さなかった。
「両親は甘えさせてくれなかったの?」
「甘えさせてくれなかった」
 沙也加は首をふって、ため息をついた。
「私が甘えようとすると、お姉ちゃんなんだから我慢しなさいって、いつも言われたわ」
「そうか。沙也加は長女だったね」
「うん」
沙也加は小さくうなずいた。
「だからかな。しっかりしたお嬢さんと呼ばれることはあっても、可愛いお嬢さんとは誰も呼んでくれなかった」
「そう…」
「そしてみんな、こう言うの。さすがお姉ちゃんねって」
沙也加は顔を歪めた。
「私は別にそんなふうに、ほめられたかった訳じゃないのに」 
「そうか…そうだよね…」
僕は口をつぐむと、沙也加も黙った。
やがて僕は口を開いた。 
「ところで、きみには八重垣さんという彼氏がいるのに、こんなふうに僕と会ったりして大丈夫なの?」
「大丈夫」
沙也加は確信に満ちた表情で言った。
「八重垣さんとは別れることにしたから」
「えっ、どうして!」
突然の言葉に僕は驚いた。
「八重垣さんのことが嫌いになったの? 」
「ううん」      
沙也加は首をふった。 
「別に嫌いになった訳じゃないの。だけど好きにしろ、としか言ってくれない人のことを、私は待つつもりもないのよ」
「どういうこと?」
「八重垣さんは必要としてくれている。そういう気持ちに私はどうしてもなれないの。相手が自分を必要としている。そう思えないと私は駄目なの」
「そうか」
「八重垣さんが、待っていろと言ってくれたら、私はきっと待ったと思う。だけど、そうは言ってくれなかった」
「うん」
 「私を必要としているでもない。かと言って、甘えさせてくれるでもない。八重垣さんと一緒にいる意味が私にはわからなくなってしまったのね」
沙也加は僕の眼をじっとのぞき込んできた。
「それとね。八重垣さんと別れると決めたのには、もう一つ理由があるの」
「それはなに?」
「それはね。八重垣さんより好きな人ができたから」
しばらくの間、僕と沙也加は再び黙りこんだ。
「ねえ、鈴鹿くん。私のお願いをきいてくれる?」
「きみのお願いなら何でもきくよ。これまでだって、きいてきたじゃないか」 
「きっとよ」
「ああ、きっとさ」
僕はうなずいた。
「鈴鹿くん」  
「うん?」
「私、あなたの隣にいてもいいかな」
「うん」
「迷惑じゃない?」
「迷惑じゃないよ」
僕は首をふった。
「僕も沙也加が好きだから」  
こうして口に出してみると、自分の気持ちの輪郭がはっきりしてきた。
「ごめん」
沙也加がつぶやいた。
「えっ、どうして謝るの」
「だって鈴鹿くんの方から言わせちゃったから」
「謝ることなんかないよ」
「ありがとう。私、鈴鹿くんのそういうところが好きなの。一緒にいると、とてもホッとするのよ」

翌朝、僕がベッドでグズグズしていると、枕元のスマートフォンが鳴った。
造船所で働いている父からの電話だった。今日は日曜だが、休日出勤をしていたのだ。
「おい、浜がちょっと大変なことになってるぞ。暇なら見に行ってみろ」
父はそれだけ言うと、すぐに電話をきった。
僕は自転車にまたがると、浜辺へと向かった。
大きくカーブした湾岸道路をくだっていくと、浜辺はもうすぐそこだ。近づくにつれ、海猫たちの鳴き声が、騒々しいほど響いてきた。
浜辺には沢山の人が集まっている。
そこでは…空を埋め尽くさんばかりの海猫たちが、風に舞うハンカチのように、乱れ飛んでいた。
北部の海猫たちが南下してきたのだと思ったが、それにしても異様な光景だった。
海猫たちに太陽は隠され、あたりはうす暗く、喧しく騒ぎたてる海猫たちの声は耳障りな騒音にしか聞こえない。
ひとかたまりとなった鳴き声は、暴力的なまでのうねりとなっていた。頭の中を引っかきまわされるようで、思わず耳をふさぎたくなる。
このことは何か不吉なことが起こる予兆のような気がした。
そしてこの予感は現実となる。 
 
八重垣さんの身に起こった出来事を、僕は未だに理解できないし、納得することもできない。
どこか遠い世界の出来事か、悪い冗談にすら思えてくる。
人生はゲームだと、八重垣さんは言った。だけどこのゲームには、予測不可能なジョーカーが紛れていたのだ。 
プラスの手札をすべてマイナスへと変えてしまう怖るべきカード。
バイクを運転していた八重垣さんは、カーブを曲がりそこね、対向車のダンプトラックに衝突したのだ。
その知らせを受けたとき、僕はけたたましいジョーカーの哄笑を聞いたような気がした。
「脳に大きな損傷を受けています。意識を取り戻すことは諦めてください」
 八重垣さんの両親に、医者はそう告げたそうだ。
八重垣さんは強運の持ち主だと、僕は信じていた。他の人間ならともかく、あの八重垣さんにこのような災いが降りかかったことが、僕には信じられなかった。
そしてこのことは、僕にとってたまらなく哀しい出来事だった。
ごう慢な自信家ではあったけれど、八重垣さんは決して嘘をつかなかった。僕にとって数少ない信頼のおける先輩だったのだ。

集中治療室にいた八重垣さんは、やがて一般の病棟に移された。依然として意識は戻らなかった。
僕と沙也加は二人で、八重垣さんの病室を訪ねた。
八重垣さんはベッドに横たわり、眼を閉じたまま、ぴくりとも動かなかった。
八重垣さんは、僕や沙也加がいる生の側よりも、死のほど近くにいるように感じた。魂というものがあるとすれば、それはどこか他の場所にあるのだろう。
だが沙也加はベッドに近づくと、そっと八重垣さんの手を握った。
「まだ温かいわ…ほら、温かい」
そのとき信じられないことが起こった。意識がないはずの八重垣さんの右の目尻から、涙がひとすじ頬を伝ったのだ。
「見て…」
沙也加は僕を振り返った。
「心はきちんと通じてるわ」

秋は深まり、やがて冬が訪れた。
空と海は色彩を失い、胸を刺すような冷気が漂い始めた。重く冷たい風は、吹きぬけるたびに、僕に涙を流させた。
沙也加は八重垣さんに献身的な介護を続けていたが、それでも病院からの帰りには、僕と肩を並べて歩いた。 
今日も僕と沙也加は二人で歩いている。
沙也加は何も喋らなかった。凍てついた風は沙也加の言葉も凍らせてしまったのだろうか。
僕と沙也加の足元で、プラタナスの落ち葉だけが乾いた音を立てた。
突然、沙也加が顔をあげて、ふりむいた。僕を見つめる瞳に、今にもあふれそうな涙をたたえて。
「わたし、いられない」
沙也加は無理やり笑顔をつくろうとしたが、その中途半端な表情のまま、頬を涙が伝った。
「あんなになってしまった八重垣さんを放り出して、あなたとはいられない」
僕の胸に顔をうずめて、沙也加はつぶやいた。
「一緒にいたいけど、いられないの。ごめん」
そのとき、僕の頬に冷たくあたるものがあった。
見あげると、空は哀しいほど青く澄んでいるのに、きらきら光る氷のかけらが風に舞っていた。
風花だ。
この街では、冬のはじめに、このような風花が舞うことがある。
地面に落ちた冬のかけらは、そのまま吸いこまれて消えていった。

八重垣さんの人生ゲームは、一瞬にして崩れさった。
それでも最後に残された手札…それが沙也加だった。
その最後の一枚を奪うことは、僕にはできなかった。沙也加自身もそう考えたのだろう。
翌日、僕は部活をやめた。

僕は一人で海に出た。今年の夏、僕ら三人が戯れた、あの輝きの海に。
ちぎれ雲のように、海猫たちが風に舞っていた。世界の果てに来てしまったかのように、甘い鳴声が心にしみた。
そのとき、激流のように幻覚が訪れた。

青空が見える…ビニールシートに寝そべって…ぼくと沙也加はピクニックに来ているらしい…。

たぶんこれは、また一つの現実…。八重垣さんが事故にあわず、僕と空港で握手を交わし、ハーバードへと旅立っていった、あり得べき、だが叶わなかった現実の一つ…。
我にかえると、また僕は夕暮れの海を前にしていた。最果ての浜辺で、いま僕は沙也加の不在について考える。 
僕と沙也加はほどけていった。冷たい空に舞う風花のように。
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