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やがて、洞窟の広間のような場所へ出た。
そこに太夫がいた。
人型に切った紙の前で、呪を唱えている。
「待っていた」
太夫が振り返った。まだ若い。
「邪法の類か」
若威は、吐き捨てるように言った。
「そのような邪法。今すぐに止めよ」
「そうはいかぬ」
太夫は答えた。
「そんなことをすれば、かやりの風で、あなたも死ぬよ。術が自分に跳ね返ってくるんだ」
小萩も言った。かやりの風とは、呪いが術者に跳ね返り、死に至らしめることを指す。
「わかっている。他の太夫は止めたが、私は犬神筋を見捨ててはおけなかったのだ」
太夫は言った。
「この法を修し終われば、私は死して三悪道に堕ちるだろう。だが、すべては王道楽土建設のため、やり遂げねばならぬ」
三悪道とは、つまり地獄界、餓鬼界、畜生界のことである。
「どうして、あたいたちを呼んだ?」
「おまえの村には、力のある御師がいる。その御師が、この法が成就するのを阻んでいる」
太夫は言った。オンバアのことだ、と小萩は思った。
「目的は一つ。将軍を倒し王道楽土を建設する。そのためには、おまえたち富士講が邪魔なのだ」
「なんだって! どうする気だ!」
小萩は叫んだ。
「犬神たちに襲わせるのだよ。おまえの村を」
恵止利が口をはさんだ。
「犬神たちは目に見えない。そんなことはできないはずだ」
小萩は言った。
「先ほども見たであろう? 目で見、手で触れえるのだよ。この犬神たちは」
恵止利は、低い声で笑った。
「太夫殿の力によって、形をなした特別な犬神たちだからな」
「小萩! 村の者に知らせろ」
若威が振り返った。
小萩は駆け出した。
「逃がしわせぬ。おまえが新しい御師であることはわかっている。おまえは必ずや王道楽土建設の邪魔になる」
太夫と恵止利は、小萩の後を追ってきた。
そこに太夫がいた。
人型に切った紙の前で、呪を唱えている。
「待っていた」
太夫が振り返った。まだ若い。
「邪法の類か」
若威は、吐き捨てるように言った。
「そのような邪法。今すぐに止めよ」
「そうはいかぬ」
太夫は答えた。
「そんなことをすれば、かやりの風で、あなたも死ぬよ。術が自分に跳ね返ってくるんだ」
小萩も言った。かやりの風とは、呪いが術者に跳ね返り、死に至らしめることを指す。
「わかっている。他の太夫は止めたが、私は犬神筋を見捨ててはおけなかったのだ」
太夫は言った。
「この法を修し終われば、私は死して三悪道に堕ちるだろう。だが、すべては王道楽土建設のため、やり遂げねばならぬ」
三悪道とは、つまり地獄界、餓鬼界、畜生界のことである。
「どうして、あたいたちを呼んだ?」
「おまえの村には、力のある御師がいる。その御師が、この法が成就するのを阻んでいる」
太夫は言った。オンバアのことだ、と小萩は思った。
「目的は一つ。将軍を倒し王道楽土を建設する。そのためには、おまえたち富士講が邪魔なのだ」
「なんだって! どうする気だ!」
小萩は叫んだ。
「犬神たちに襲わせるのだよ。おまえの村を」
恵止利が口をはさんだ。
「犬神たちは目に見えない。そんなことはできないはずだ」
小萩は言った。
「先ほども見たであろう? 目で見、手で触れえるのだよ。この犬神たちは」
恵止利は、低い声で笑った。
「太夫殿の力によって、形をなした特別な犬神たちだからな」
「小萩! 村の者に知らせろ」
若威が振り返った。
小萩は駆け出した。
「逃がしわせぬ。おまえが新しい御師であることはわかっている。おまえは必ずや王道楽土建設の邪魔になる」
太夫と恵止利は、小萩の後を追ってきた。
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