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かまいたちくんの はつこい ものがたり
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「はあ~」
かまいたちくんが ふかい ためいきを つきました。
「がお~?」
ちびりゅうが くびを かしげます。
「はあ~」
かまいたちくんが またまた ふかい ためいきを つきました。
「がお~?」
ちびりゅうが またまた くびを かしげます。
「どうしたの? かまいたちくん」
わきで みていた ともくんが かまいたちくんに たずねました。
「なんでもねえだ」
かまいたちくんは かたを おとして いってしまいました。
「という わけなんだけど」
ともくんは いいました。
「なるほど」
びゃっこくんは コンと せきばらいを しました。
「たしかに かまいたちくんは ちかごろ ためいきばかり ついてますね」
「なやみごとでも あるのかなあ」
ともくんは しんぱいに なりました。
「やはり ほんにんに たしかめるしか ありませんね」
びゃっこくんは いいました。
「そんな わけで みんな とても しんばいしているのです」
テーブルの うえで びゃっこくんは かまいたちくんに いいました。
いすには ともくんも すわっていて かたには ちびりゅうも とまっています。
「ここは ひとつ ほんとうの ことを はなしては くれませんか?」
びゃっこくんは かまいたちくんを じっと みつめました。
かまいたちくんも びゃっこくんを じっと みつめました。
「じつは…」
かまいたちくんは かおを あかくして いいました。
「おら はじめて すきな こが できただ」
「えっ!」
「がお!」
みんな いっせいに こえを あげました。
「めんこいもんなあ」
かまいたちくんは めを ほそめました。
「かんがえただけで しんぞうが バクバクするだ。おやつの クッキーも たった じゅうまいしか たべられねえだ」
「けっこう たべてるよねえ」
ともくんは ちびりゅうに そっと みみうち しました。
おやつの クッキーの へりが はやいと おもっていたら かまいたちくんが たべていた ようです。
「ははあ」
びゃっこくんが いいました。
「これは こいわずらい ですよ」
「こいわずらいって なに?」
ともくんは たずねました。
びゃっこくんは コンと せきばらいを して いいました。
「だれかを すきに なって むねが いっぱいに なって いるのです」
「ふ~ん」
ともくんは いいました。
「どうすれば なおるの?」
「ほうほうは ただひとつ!」
びゃっこくんは かまいたちくんに むきなおりました。
「ここは おもいきって こくはく するのです!」
「こくはく!」
かまいたちくんは めを パチクリしました。
「とんでもねえ。とても そんな ゆうき ねえだよ」
「だけど かまいたちくん。あいてに おもいを つたえないことには なにも はじまりませんよ」
びゃっこくんが いいました。
「そんな ゆうきが あるなら はじめから なやまねえだ」
「それも そうですねえ」
びゃっこくんは うなずきました。
「それで おあいては だれなんですか?」
「ちかくに いる ひとだ」
かまいたちくんは そう いいのこすと また いってしまいました。
「これは じゅうしょうですよ」
びゃっこくんは いいました。
「ちかくに いる ひとだって いってたね」
ともくんは いいました。
「これは ぼくの かんがえなんですが」
びゃっこくんは また コンと せきばらいを しました。
「かまいたちくんが すきなのは おとひめさま なのでは?」
「たしかに ちかくにいる ひと といえば おとひめさま だよねえ」
「かまいたちくんが おもいを つたえられないなら ぼくたちが かわりに つたえて あげては どうでしょうか」
びゃっこくんは いいました。
「それは いいね」
ともくんも うなずきました。
「そんな わけで おとひめさまに つたえることに しました」
びゃっこくんが いいました。みんな また テーブルに あつまっています。
「おとひめさまに なにを つたえるだ?」
かまいたちくんは ふしぎそうな かおを しました。
「もちろん」
びゃっこくんは キッパリと いいました。
「かまいたちくんの きもちを ですよ」
「は?」
かまいたちくんは くちを あんぐり あけました。
「だって かまいたちくんが すきなのは おとひめさまなんでしょう?」
ともくんが いうと かまいたちくんは キッパリと くびを よこに ふりました。
「ちがうだ」
「えっ!」
「がお!」
みんな いっせいに こえを あげました。
「で では あいては だれなんですか?」
びゃっこくんが あわてて たずねました。
「ねこさんだ」
「ねこ…」
「んだ」
かまいたちくんが うなずきました。
「ああ。かんがえただけで しんぞうが バクバクするだ」
「どこにいる ねこさんですか?」
びゃっこくんが また たずねました。
「にけん となりの にわに いつも いるだ」
かまいたちくんが こたえます。
「あっ。そういえば…」
ともくんは おもいだしました。にけん となりの いえの にわに いつも くろねこが ねそべっているのです。
ツンと すました かんじの くろねこでした。
「そうですか…ねこさんですか…」
びゃっこくんが くるりと しっぽを むけました。
「それじゃ ぼくは これで…あとは ちびりゅうさん よろしく」
「が がお!」
ちびりゅうが ぶるぶると あたまを ふりました。
「まって まって。びゃっこくん」
あわてて どこかへ いこうと する びゃっこくんを ともくんが よびとめました。
「ちびりゅうは ねこが にがてなんだ。びゃっこくん。やってよ」
すると びゃっこくんも ぶるぶると あたまを ふりました。
「ぼくだって ねこは にがてです」
「なんで?」
「だって ねこは ひっかくし」
「そこを なんとか」
「しかたありませんねえ」
びゃっこくんは ためいきを ひとつ つきました。
「もとはといえば ぼくが いいだしたことですし ねこごも すこしは わかります。やってみましょう」
「ねこの なまえが わかりました」
びゃっこくんが めに なみだを にじませながら いいました。
かおに ひっかかれた きずが できています。
「が がお」
ちびりゅうが おびえた かおで びゃっこくんを みつめました。
ともくんも かまいたちくんも テーブルに あつまっています。
「テツガクねこ というそうです。なんでもテツガクすることに めざめた ねこだとか…」
「それで どうだったの?」
ともくんは びゃっこくんに たずねました。
「ちかづいたら おもいきり ひっかかれましたが はなしは つうじました」
びゃっこくんは うらめしそうに いいました。
「かまいたちくんと ともだちに なるのは ぜんぜん かまわないそうです」
「やったあ!」
ともくんは かまいたちくんの かたを ポンポンと たたきました。
「よかったね。かまいたちくん!」
「あんがと。あんがと」
かまいたちくんは なんども なんども あたまを さげました。
「ただし」
びゃっこくんが かおを しかめました。
「もんだいが ひとつ あります」
「もんだいって なんだべ?」
かまいたちくんが たずねました。
「いいにくい ことなんですが…」
「どんなことでも いってくんろ」
「じつは テツガクねこさんは オスねこだったのです」
「オスねこ…」
みんな くちを あんぐり あけました。
「はい。テツガクねこさんは しょうしんしょうめいの おとこのこです。おとこのこを すきに なっても しゅみの もんだいですから それは いいとは おもいますが…」
ドテッと おとが しました。かまいたちくんが うしろに たおれた おとでした。
そんなわけで かまいたちくんの はつこいは みのることなく おわりました。
はつこいを みのらせるのは なかなか むずかしいことの ようです。
かまいたちくんが ふかい ためいきを つきました。
「がお~?」
ちびりゅうが くびを かしげます。
「はあ~」
かまいたちくんが またまた ふかい ためいきを つきました。
「がお~?」
ちびりゅうが またまた くびを かしげます。
「どうしたの? かまいたちくん」
わきで みていた ともくんが かまいたちくんに たずねました。
「なんでもねえだ」
かまいたちくんは かたを おとして いってしまいました。
「という わけなんだけど」
ともくんは いいました。
「なるほど」
びゃっこくんは コンと せきばらいを しました。
「たしかに かまいたちくんは ちかごろ ためいきばかり ついてますね」
「なやみごとでも あるのかなあ」
ともくんは しんぱいに なりました。
「やはり ほんにんに たしかめるしか ありませんね」
びゃっこくんは いいました。
「そんな わけで みんな とても しんばいしているのです」
テーブルの うえで びゃっこくんは かまいたちくんに いいました。
いすには ともくんも すわっていて かたには ちびりゅうも とまっています。
「ここは ひとつ ほんとうの ことを はなしては くれませんか?」
びゃっこくんは かまいたちくんを じっと みつめました。
かまいたちくんも びゃっこくんを じっと みつめました。
「じつは…」
かまいたちくんは かおを あかくして いいました。
「おら はじめて すきな こが できただ」
「えっ!」
「がお!」
みんな いっせいに こえを あげました。
「めんこいもんなあ」
かまいたちくんは めを ほそめました。
「かんがえただけで しんぞうが バクバクするだ。おやつの クッキーも たった じゅうまいしか たべられねえだ」
「けっこう たべてるよねえ」
ともくんは ちびりゅうに そっと みみうち しました。
おやつの クッキーの へりが はやいと おもっていたら かまいたちくんが たべていた ようです。
「ははあ」
びゃっこくんが いいました。
「これは こいわずらい ですよ」
「こいわずらいって なに?」
ともくんは たずねました。
びゃっこくんは コンと せきばらいを して いいました。
「だれかを すきに なって むねが いっぱいに なって いるのです」
「ふ~ん」
ともくんは いいました。
「どうすれば なおるの?」
「ほうほうは ただひとつ!」
びゃっこくんは かまいたちくんに むきなおりました。
「ここは おもいきって こくはく するのです!」
「こくはく!」
かまいたちくんは めを パチクリしました。
「とんでもねえ。とても そんな ゆうき ねえだよ」
「だけど かまいたちくん。あいてに おもいを つたえないことには なにも はじまりませんよ」
びゃっこくんが いいました。
「そんな ゆうきが あるなら はじめから なやまねえだ」
「それも そうですねえ」
びゃっこくんは うなずきました。
「それで おあいては だれなんですか?」
「ちかくに いる ひとだ」
かまいたちくんは そう いいのこすと また いってしまいました。
「これは じゅうしょうですよ」
びゃっこくんは いいました。
「ちかくに いる ひとだって いってたね」
ともくんは いいました。
「これは ぼくの かんがえなんですが」
びゃっこくんは また コンと せきばらいを しました。
「かまいたちくんが すきなのは おとひめさま なのでは?」
「たしかに ちかくにいる ひと といえば おとひめさま だよねえ」
「かまいたちくんが おもいを つたえられないなら ぼくたちが かわりに つたえて あげては どうでしょうか」
びゃっこくんは いいました。
「それは いいね」
ともくんも うなずきました。
「そんな わけで おとひめさまに つたえることに しました」
びゃっこくんが いいました。みんな また テーブルに あつまっています。
「おとひめさまに なにを つたえるだ?」
かまいたちくんは ふしぎそうな かおを しました。
「もちろん」
びゃっこくんは キッパリと いいました。
「かまいたちくんの きもちを ですよ」
「は?」
かまいたちくんは くちを あんぐり あけました。
「だって かまいたちくんが すきなのは おとひめさまなんでしょう?」
ともくんが いうと かまいたちくんは キッパリと くびを よこに ふりました。
「ちがうだ」
「えっ!」
「がお!」
みんな いっせいに こえを あげました。
「で では あいては だれなんですか?」
びゃっこくんが あわてて たずねました。
「ねこさんだ」
「ねこ…」
「んだ」
かまいたちくんが うなずきました。
「ああ。かんがえただけで しんぞうが バクバクするだ」
「どこにいる ねこさんですか?」
びゃっこくんが また たずねました。
「にけん となりの にわに いつも いるだ」
かまいたちくんが こたえます。
「あっ。そういえば…」
ともくんは おもいだしました。にけん となりの いえの にわに いつも くろねこが ねそべっているのです。
ツンと すました かんじの くろねこでした。
「そうですか…ねこさんですか…」
びゃっこくんが くるりと しっぽを むけました。
「それじゃ ぼくは これで…あとは ちびりゅうさん よろしく」
「が がお!」
ちびりゅうが ぶるぶると あたまを ふりました。
「まって まって。びゃっこくん」
あわてて どこかへ いこうと する びゃっこくんを ともくんが よびとめました。
「ちびりゅうは ねこが にがてなんだ。びゃっこくん。やってよ」
すると びゃっこくんも ぶるぶると あたまを ふりました。
「ぼくだって ねこは にがてです」
「なんで?」
「だって ねこは ひっかくし」
「そこを なんとか」
「しかたありませんねえ」
びゃっこくんは ためいきを ひとつ つきました。
「もとはといえば ぼくが いいだしたことですし ねこごも すこしは わかります。やってみましょう」
「ねこの なまえが わかりました」
びゃっこくんが めに なみだを にじませながら いいました。
かおに ひっかかれた きずが できています。
「が がお」
ちびりゅうが おびえた かおで びゃっこくんを みつめました。
ともくんも かまいたちくんも テーブルに あつまっています。
「テツガクねこ というそうです。なんでもテツガクすることに めざめた ねこだとか…」
「それで どうだったの?」
ともくんは びゃっこくんに たずねました。
「ちかづいたら おもいきり ひっかかれましたが はなしは つうじました」
びゃっこくんは うらめしそうに いいました。
「かまいたちくんと ともだちに なるのは ぜんぜん かまわないそうです」
「やったあ!」
ともくんは かまいたちくんの かたを ポンポンと たたきました。
「よかったね。かまいたちくん!」
「あんがと。あんがと」
かまいたちくんは なんども なんども あたまを さげました。
「ただし」
びゃっこくんが かおを しかめました。
「もんだいが ひとつ あります」
「もんだいって なんだべ?」
かまいたちくんが たずねました。
「いいにくい ことなんですが…」
「どんなことでも いってくんろ」
「じつは テツガクねこさんは オスねこだったのです」
「オスねこ…」
みんな くちを あんぐり あけました。
「はい。テツガクねこさんは しょうしんしょうめいの おとこのこです。おとこのこを すきに なっても しゅみの もんだいですから それは いいとは おもいますが…」
ドテッと おとが しました。かまいたちくんが うしろに たおれた おとでした。
そんなわけで かまいたちくんの はつこいは みのることなく おわりました。
はつこいを みのらせるのは なかなか むずかしいことの ようです。
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