笑いたけのゴーストダンス

関谷俊博

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「ゴーストシャツという奇妙な服を着て、男女が輪になってぐるぐる回りながらおどるんだ。死者の歌を歌いながらね。そうすればゴーストシャツは白人たちの銃弾をはじき返し、バッファローが群れをなす大草原がもどってくる。インディアンたちは本気でそう信じたんだ」

今日の父さんはよくしゃべった。

「馬鹿げた話だよ。そんなことが起こるはずもない」

「そうだね」

「だけど、インディアンは本気でそう信じたんだ。きっとそこまで追い詰められていたんだろう」

父さんは、この話から何かをぼくに伝えたかったのかもしれない。

「いくら踊ってもバッファローが群れをなす大草原はもどってこない。銃弾をはじき返すような奇跡も起こらない。取り戻せないことってあるんだよ」

父さんは寂しそうに笑った。
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