きっと明日も幸あれ

るるる

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幸せになりたい

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「ん~」
 暖かい何かに包まれているようなとてつもない安心感に目覚めたばかりの私はまた眠ろうとしてはっと目をサマシタ。
 目を覚ましたら私は見知らぬ場所にいた。
「ここは何処だろう」
 白くて大きなベットだろうか?きっと体格のいい男の人が十人横になっても問題ないと思えるくらいとても大きなベットだ。
 しかも天蓋付きでお伽話の絵本に出てくるお貴族様のベットみたいにとても高級そうな感じのベッドでとても寝心地が良い。
 沢山の枕も私にかかっているレース付きの布団もふわふわで私はゴロゴロとベッドの上を転がった。
 見れば分かるほどの高級な寝具に緊張する前にもう一度眠くなる。
 眠い頭で必死に考えながら全くここに来た肝心な記憶がなくて家を追い出されたのだけは覚えているのだが其れからはどうしたかわからなくて私は取りあえず魔法をかけた。
「時の門よ失われし記憶をもう一度私の中に」
 記憶を戻す魔法でちょっと難しい時の魔法だ。
 雨の中、綺麗な声の男の人に「死にたい」だなんて事を言ったのを聞かれてそれて「どうして死にたいの」って言われて私は「いらない子だから」とかいって男の人に「なら、僕に貴方の全部をちょうだい」とか言われたんだ。
「きや~、何私ったらお持ち帰りされてんのしかもなんか体が、綺麗になっているしとても高そうなふんわりとした白いワンピース着せられてるし!」
 ネグリジェだっけ?
 私は更にゴロゴロと転がった後に冷静さを取り戻した。
「もしかしたら、臓器提供とかあるかもしれない。取りあえず逃げよう!」
 私は、ベッドから降りると三つある扉の一つの金のドアノブのついたドアを開けて外に出たがそこはなんとか何故か透明のガラス張りの廊下が見える。ちゃんと破壊不可の魔法と下からは見えない魔法がかかっていたとしてもがかかっているとしても下でメイド服を来た人?のようなのが丸見えだ。
 どうやら非常用の通路の様だ。
 その使用人らしき人には明らかに人とは言えない獣の耳や角、尻尾などがはえているのだ。
 まさかと思いつつもどうしよう私は異世界に来たらしい。
 大きな窓の下には空に浮かぶ沢山の岩に小さく建物が見えた。
 遠近法で小さく見えるけど絶対かなりの大きさだ。
 空には龍や見たことのない鳥やら生物が飛んでいる。
 行き交う者や現実味のない世界を見ては異世界に来たというのを見ればたとえ小さな子供でも思うだろう。
(ここはいったい)
 もう一度同じ事を今度は心の中で言った。
 もし、あの空飛ぶ岩の様な感じでここも浮いているとしたら箒もなくて一応知識はあるけど飛んだことのない私に逃げ場はない。
 私は静かに元いた部屋に戻り扉の全てに結界を張って鍵をかけた。
 ベッドの上に上って意味はなさそうだけど布団の中に潜り込んだ。
 暫くしたらガチャッとドアノブをひねる音がしてそしたらぐちゃっという鍵をかける音と共に結界を壊す音が聞こえた。私はガクガクと震えながら顔だけを出した扉の方を見つめた。
 コツコツと靴音と共にベッドに近づいて来る音がとてもとても大きく聞こえた。
 きっと相手は私よりもずっとずっと強い人だ。私の結界をいとも簡単に壊した相手だからだ。
「おはよう、大丈夫だよ。怖がらなくていいよ。出ておいで僕の可愛い子猫ちゃん」
 とても綺麗な声のあの時の男の人だった。
 まるで夜空のエッセンスを凝縮した様な美しい紺色の髪に満月の様な黄金の瞳、整った人間離れした顔にバランスの良いスタイル抜群の程よく筋肉の付いた体に隙もなく着た藍色のスーツ姿のまるで女神様のような儚く美しい雰囲気を持つ美男子だ。だけど気配が強者だ。
(鑑定)
 こっそり彼の鑑定をするも彼の魔力量は私の鑑定では計りきれない程でこれは本物の化け物だと思った。
 黙り込んでいる私に彼はそれはそれは優しそうな愛おしそうな瞳で私を見つめてくる。
 私は勇気を出して彼に尋ねた。出来るだ機嫌を悪くさせないように言葉を選んで…。
「私は綾といいます。助けて下さり色々と有難う御座います。あのもしよろしければ何故私などを助けて下さったのか教えてくださいませんでしょうか。」
 男の人はクスリと笑うと私の質問に答えてくれた。
「綾さん、初めまして僕の名前はシェル ヴァン リーンベルトです。どうぞシルとお呼びください。其れからは敬語も結構です。楽にして下さい。僕は貴方達人間の言葉で言うところの神という存在です。貴方は僕の番だから助けたのです。どうか僕と結婚して下さい。貴方の事が大好きです。愛してます。」
 いきなりの超絶美男子の告白に私はドギマギとした。
 ドクドクという心臓の音が五月蝿い。かなりの距離があるからいいけど近くでこんな事を言われたら鼻血を吹きながら失神するわ。
 超絶美男子ことシルの突然の求婚に美形に対する耐性のない私は思わず頷きそうなのを我慢して取りあえず拒否の意味を込めたお断りをした。
「御免なさい、私はまだ結婚するような年齢ではありませんし貴方に似合うような人はきっと沢山いらしゃいます。」
 だけど通じなかった。
「貴方は私の物になると約束したではありませんか、たとえ覚えてなくても約束は守っていただかなくては貴方のために色々と用意したのですから、始めっから貴方に拒否権はないのですよ。大人しく僕のお嫁さんになって下さい。」
 シルはニコッと笑うといつの間にか私の目の前にいて私の頭を優しく撫でた。
 私はその悪魔の様な笑みにぞっくりと震えた。とてつもなく嫌な予感はきっと当たるのだなと心の片隅で思った。


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