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作戦準備
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ランスは打ち合わせの終わりにそのままトリッシュの店へ向かう。表通りにある、武器や剣を販売している大きな店舗だ。通常時は合法の製品を販売している繁盛店だが、閉店後はブラックマーケットとなっており、様々な商品の売買が行われる。
「いらっしゃい。ああ、ランスか」
「シェリーが注文していたものを受け取りに来た」
「なんでシェリーじゃないんだよ。あんな美人が来ると思って楽しみにしていたんだが、来たのは男だとさ」
「下心がバレているんじゃないか?」
「下心なんてないぞ? 綺麗な女の子とお話ししたい、なんて男なら誰しも考えることだろ?」
「あわよくば仲良くなろうとでもしているんだろ?無駄だから辞めておいたほうが良いぞ。それに謙虚の男のほうがカッコ良く見えるものだ」
「ふん、まあいい。とりあえず効用を説明しよう。国外産で王国では流通していない劇薬だ。一滴で致死量だから取り扱いには注意してくれ。胃に届いてから効果を発揮するので摂取後、大体1時間後に効果が出るな。口からの摂取以外では効果がないので気をつけるように」
「わかった。料金はいくらだ?」
「金貨5枚だ。後言うまでもないが、所持しているだけで問題になりかねないからな。間違っても俺の名前を出すようなことはやめてくれよ?」
「ああ」
「なあ、いつかシェリーと食事会をセットしてくれないか?ローラでもいい。そしたらこれから少し商品を安くしてやるよ」
「……考えておくよ」
ランスは金貨を手渡し、店を出る。
次の日、シェリーは変装道具を作ってもらうために、ポートの家を訪れる。コンコン、ドアをノックするとすぐにポートが出てくる。
「どちら様…… ああ、シェリーか。上がってくれ」
部屋の中は様々な物が散らかっていて足の踏み場もない。
「もう少し綺麗にした方がいいのでは?こんな中でよく生活できますね」
「これくらいの方がちょうどいいんだ。綺麗すぎる部屋よりこっちの方が落ち着いて仕事ができる。それに俺なりには整理してあるから物をなくすこともないさ」
「そうですか……。 それはともかく、次の依頼に関する変装用具のお願いです。こちらの似顔絵の男女の顔をコピーしたものを作っていただけますか?」
「被る用だよな? 誰と誰が被るんだ?」
「ランス様とリサです」
「わかった。急ぎで作っておくよ。他に必要なものは無いか?」
「宿泊時に提示するための身分証をランス様とリサ用にお願いします。名前は適当で問題ありません。後、その者達は麻薬組織シンリーアのメンバーです。彼らの服装として違和感ないものを準備しておいていただけますか?」
「ああ、国外の組織か。わかった、手配しておくよ」
リサは、依頼を実行する前に必ず行うルーティンがある。
「エフレン、いつものやつ行くよー」
「了解っす。候補はあるんですか?」
「うん、3つ見つけてある。その中の1番大きい所にしたいなって」
2人が向かったのは、王都の中でも栄えており人が多いが、あまり治安が良くない地域である。
「飲み屋はお探しですか? 今なら安いですよ」
この辺りは客引きやナンパが多いのだが、2人はすぐに声をかけられる。
「ギャンブルをやりたいんだけど、いいお店を知らない?」
「ああ、そっちですか…… もちろんです。いいお店を紹介しますね。予算はどれくらいですか?」
「金貨10枚ね」
「結構お金持ちなんですね…… 了解です!ではついてきてください」
2人が連れてこられたのは、一見普通の一軒家である。見張りをしている大男に客引きが話しかけている。
「こちらになります。どうぞお入りください」
「ありがとう。助かったわ」
客引きに銀貨を1枚手渡し、リサとエフレンは中に入る。彼らが向かったのは違法ギャンブル店である。王都には公式のカジノが存在するが、よりレートが高いギャンブルをしたい、刺激を求める客は違法のお店でギャンブルを楽しむのだ。
「このお店が狙いの所でした?」
「ええ、1番大きくて、強そうな奴らがいたからね。ビンゴよ」
リサは突然、近くを歩いていたウェイターの足にナイフを突き刺した。
「痛えええ」
崩れ落ちるウェイターと周囲の客の悲鳴が響き渡る。
どどどど、悲鳴を聞いて屈強な大男が駆けつけてきた。
「さて…… どれくらい強いかなあ?」
客が避難したギャンブル場。残ったのは護衛の男達と運営のみである。が、護衛の男達は全員が血の海に沈んでいる。その中心には女が1人佇んでいる。
「なんという女だ、強すぎる……」
「皆殺しにされるのでしょうか……?」
「貴方がお強いことは理解しました。何をご要望でしょうか?」
「要望? 特にないわ。これでおしまい。私たちは帰るから後はよろしくね」
ポカンとした様子の運営陣を尻目に、リサとエフレンは撤退する。
「いい運動にはなったわ」
「良かったです。なかなか強そうな面子で楽しそうでしたね」
「ええ、負けることはないけど油断するとちょっと怖いな、というくらいでちょうど良かったわ」
「そうっすね。とりあえず、お面は燃やしておきますか?」
リサとエフレンは被っていた変装用の面を火で燃やす。
「さて、事前運動はバッチリね。後は本番よ」
違法なお店や犯罪組織に攻め込み、強そうな者と戦って殺す。これが2人の依頼実行前のルーティンである。
「いらっしゃい。ああ、ランスか」
「シェリーが注文していたものを受け取りに来た」
「なんでシェリーじゃないんだよ。あんな美人が来ると思って楽しみにしていたんだが、来たのは男だとさ」
「下心がバレているんじゃないか?」
「下心なんてないぞ? 綺麗な女の子とお話ししたい、なんて男なら誰しも考えることだろ?」
「あわよくば仲良くなろうとでもしているんだろ?無駄だから辞めておいたほうが良いぞ。それに謙虚の男のほうがカッコ良く見えるものだ」
「ふん、まあいい。とりあえず効用を説明しよう。国外産で王国では流通していない劇薬だ。一滴で致死量だから取り扱いには注意してくれ。胃に届いてから効果を発揮するので摂取後、大体1時間後に効果が出るな。口からの摂取以外では効果がないので気をつけるように」
「わかった。料金はいくらだ?」
「金貨5枚だ。後言うまでもないが、所持しているだけで問題になりかねないからな。間違っても俺の名前を出すようなことはやめてくれよ?」
「ああ」
「なあ、いつかシェリーと食事会をセットしてくれないか?ローラでもいい。そしたらこれから少し商品を安くしてやるよ」
「……考えておくよ」
ランスは金貨を手渡し、店を出る。
次の日、シェリーは変装道具を作ってもらうために、ポートの家を訪れる。コンコン、ドアをノックするとすぐにポートが出てくる。
「どちら様…… ああ、シェリーか。上がってくれ」
部屋の中は様々な物が散らかっていて足の踏み場もない。
「もう少し綺麗にした方がいいのでは?こんな中でよく生活できますね」
「これくらいの方がちょうどいいんだ。綺麗すぎる部屋よりこっちの方が落ち着いて仕事ができる。それに俺なりには整理してあるから物をなくすこともないさ」
「そうですか……。 それはともかく、次の依頼に関する変装用具のお願いです。こちらの似顔絵の男女の顔をコピーしたものを作っていただけますか?」
「被る用だよな? 誰と誰が被るんだ?」
「ランス様とリサです」
「わかった。急ぎで作っておくよ。他に必要なものは無いか?」
「宿泊時に提示するための身分証をランス様とリサ用にお願いします。名前は適当で問題ありません。後、その者達は麻薬組織シンリーアのメンバーです。彼らの服装として違和感ないものを準備しておいていただけますか?」
「ああ、国外の組織か。わかった、手配しておくよ」
リサは、依頼を実行する前に必ず行うルーティンがある。
「エフレン、いつものやつ行くよー」
「了解っす。候補はあるんですか?」
「うん、3つ見つけてある。その中の1番大きい所にしたいなって」
2人が向かったのは、王都の中でも栄えており人が多いが、あまり治安が良くない地域である。
「飲み屋はお探しですか? 今なら安いですよ」
この辺りは客引きやナンパが多いのだが、2人はすぐに声をかけられる。
「ギャンブルをやりたいんだけど、いいお店を知らない?」
「ああ、そっちですか…… もちろんです。いいお店を紹介しますね。予算はどれくらいですか?」
「金貨10枚ね」
「結構お金持ちなんですね…… 了解です!ではついてきてください」
2人が連れてこられたのは、一見普通の一軒家である。見張りをしている大男に客引きが話しかけている。
「こちらになります。どうぞお入りください」
「ありがとう。助かったわ」
客引きに銀貨を1枚手渡し、リサとエフレンは中に入る。彼らが向かったのは違法ギャンブル店である。王都には公式のカジノが存在するが、よりレートが高いギャンブルをしたい、刺激を求める客は違法のお店でギャンブルを楽しむのだ。
「このお店が狙いの所でした?」
「ええ、1番大きくて、強そうな奴らがいたからね。ビンゴよ」
リサは突然、近くを歩いていたウェイターの足にナイフを突き刺した。
「痛えええ」
崩れ落ちるウェイターと周囲の客の悲鳴が響き渡る。
どどどど、悲鳴を聞いて屈強な大男が駆けつけてきた。
「さて…… どれくらい強いかなあ?」
客が避難したギャンブル場。残ったのは護衛の男達と運営のみである。が、護衛の男達は全員が血の海に沈んでいる。その中心には女が1人佇んでいる。
「なんという女だ、強すぎる……」
「皆殺しにされるのでしょうか……?」
「貴方がお強いことは理解しました。何をご要望でしょうか?」
「要望? 特にないわ。これでおしまい。私たちは帰るから後はよろしくね」
ポカンとした様子の運営陣を尻目に、リサとエフレンは撤退する。
「いい運動にはなったわ」
「良かったです。なかなか強そうな面子で楽しそうでしたね」
「ええ、負けることはないけど油断するとちょっと怖いな、というくらいでちょうど良かったわ」
「そうっすね。とりあえず、お面は燃やしておきますか?」
リサとエフレンは被っていた変装用の面を火で燃やす。
「さて、事前運動はバッチリね。後は本番よ」
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