強制悪役令息と4人の聖騎士ー乙女ハーレムエンドー

チョコミント

文字の大きさ
38 / 61

おまじない

しおりを挟む
何分、何時間経過したか分からない…俺はさっきよりも野次馬が増えた中でどうする事も出来ず足止めされている。

お婆さんの荷物を返せと言われてもないから返せない。
それを説明しても全く聞いてくれない。
冷ややかな視線が突き刺さる。

そして俺が解放されたのは随分後だった。

挙動不審な行動をしていた男を見つけた巡回中の騎士に職務質問され逃げたから捕まえたそうだ。
その男がお婆さんの荷物を盗んだと話していて少し騒ぎになっていた俺達のところにやってきたそうだ。

誤解は解けて、俺は早く学園に行かないとと騎士に学園に向かう道を教えてもらった。
もう終わってるかもしれないけど、少しの希望を抱き走り出した。

息を切らして苦しくなっても走り続けた。

やがて学園の正門が見えた。
走るとどこからか声援が聞こえた。
まだやってる、フリードの出番がいつか分からないが今行けば間に合うかもしれない。

そう思っていたら足がもたつき転けた。

「……こんな、時に」

膝を擦りむいてズキズキと痛いがなんとか立ち上がろうと足に力を入れる。
するとふわっと身体が軽くなった。

地面に足が付き、俺の身体を後ろから支える人物を見た。
その人は何も言わず俺の身体を横抱きして少し早く歩き出した。

こんなところに居てもいいのだろうかという疑問はあったが黙って身体を預ける。
フリードに会う時心配掛けないように息を整える。

「…足、痛むか?」

「少し痛いけど大丈夫、ジョーカー…試験は?」

「終わった、フリードは最後だから今控え室にいる」

ジョーカーはそう言って大きなドームの形をした建物の中に入った。
騎士団入団試験だから実技なのだろう。
ジョーカーの戦ってる姿見たかったな。

ジョーカーに「見れなくてごめん」と言うとジョーカーは気にするなと笑った。
「応援は前日にしてもらったから頑張れた」と言うジョーカーがとてもかっこよくてドキドキした。

関係者以外立ち入り禁止と書かれた廊下を通り先に進む。

「俺、関係者じゃないけどいいの?」

「別にイリヤが来て困る奴なんていないだろ」

そういう問題ではないと思うんだけど…

控え室Bと書かれた紙が貼ってあるドアの前で下ろしてくれた。
ここにフリードがいるんだ。

ジョーカーは俺を見つめて頷き何処かに向かっていった。

久々に会うフリードに緊張しながらも深呼吸して落ち着かせる。
ドアをノックするとまだ二週間少ししか経過していないのに懐かしい声が聞こえた。

「誰だ?」

「あ、イリヤ…です」

俺がそう言うと部屋の中から大きな物音が聞こえた。
フリードは何をしているのか、大丈夫なのか不安だったがゆっくりとドアが開いた。

中には俺が知らない白いブレザーの学生服を着ているフリードがいた。
ゲームでは見れなかった学生時代のフリード、いつまた見れるか分からないからしっかりと目に焼き付ける。

フリードに招かれて控え室の中に入った。 
控え室にはいろんな武器とかが置いてあり、まるで洋画にありそうな闘技場のような怖さがあった。

「どうしたんだ?母様達と来たのか?」

「…ううん、一人で来たんだ」

「そっか」

フリードはソファーに座り俺に手招きして、隣に座る。
肩を引き寄せられて抱きしめられる。

フリードに俺の気持ちを伝えようと意識した瞬間、何だかいつも触られる感じではなく全身からフリードの暖かさが溢れて頬が自然とにやけてしまう。

顔を隠したくてフリードにしがみついたらフリードの身体が硬直しているのが分かった。
そうだ、フリードは俺が素直になろうと思った事を知らないから変に思っただろうか。

「イリヤ?どうしたんだ?」

「…え、えっと…試験頑張ってね!」

「お、おう」

いざ面と向かうとなんて言えばいいか分からず、今言わなきゃいけない事を言った。
フリードは驚いていたが、微笑んでくれた。

俺はフリードの手を掴み身を乗り出した。

おまじない、フリードにも効きますように…

唇がフリードの唇の感触を感じた。
またフリードは驚いた顔をしていた。
……いきなりすぎただろうか、でも許可をもらってするのはなんだか恥ずかしい。

キスは触れるだけで離れた。

しばらくの沈黙が居心地悪くて口を開いた。

「…お、おまじない!頑張ってほしくて…ごめんなさい」

「なんで謝るんだ?俺は凄い嬉しかったのに…」

フリードは本当に嬉しそうに笑っていた。
それを見て俺も笑顔になった。
思いきって大胆な行動して良かった。

フリードは立ち上がり壁に掛けてあった剣を掴んだ。
それがフリードの武器だ、ゲームでも剣を使っていた。
振り返り俺を見て真剣な眼差しを向ける。

「合格したら、改めてイリヤに伝えたい事がある…いいか?」

「うん、フリードの事ずっと見てるから」

フリードは絶対に合格する、ゲームではどうだったか分からなかったが俺は信じている。

俺もフリードに言いたい事があるんだ、きっとフリードの言いたい事の答えのような気がする。
俺に出来る事はもうただ見守るだけだ。
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

メインキャラ達の様子がおかしい件について

白鳩 唯斗
BL
 前世で遊んでいた乙女ゲームの世界に転生した。  サポートキャラとして、攻略対象キャラたちと過ごしていたフィンレーだが・・・・・・。  どうも攻略対象キャラ達の様子がおかしい。  ヒロインが登場しても、興味を示されないのだ。  世界を救うためにも、僕としては皆さん仲良くされて欲しいのですが・・・。  どうして僕の周りにメインキャラ達が集まるんですかっ!!  主人公が老若男女問わず好かれる話です。  登場キャラは全員闇を抱えています。  精神的に重めの描写、残酷な描写などがあります。  BL作品ですが、舞台が乙女ゲームなので、女性キャラも登場します。  恋愛というよりも、執着や依存といった重めの感情を主人公が向けられる作品となっております。

寄るな。触るな。近付くな。

きっせつ
BL
ある日、ハースト伯爵家の次男、であるシュネーは前世の記憶を取り戻した。 頭を打って? 病気で生死を彷徨って? いいえ、でもそれはある意味衝撃な出来事。人の情事を目撃して、衝撃のあまり思い出したのだ。しかも、男と男の情事で…。 見たくもないものを見せられて。その上、シュネーだった筈の今世の自身は情事を見た衝撃で何処かへ行ってしまったのだ。 シュネーは何処かに行ってしまった今世の自身の代わりにシュネーを変態から守りつつ、貴族や騎士がいるフェルメルン王国で生きていく。 しかし問題は山積みで、情事を目撃した事でエリアスという侯爵家嫡男にも目を付けられてしまう。シュネーは今世の自身が帰ってくるまで自身を守りきれるのか。 ーーーーーーーーーーー 初めての投稿です。 結構ノリに任せて書いているのでかなり読み辛いし、分かり辛いかもしれませんがよろしくお願いします。主人公がボーイズでラブするのはかなり先になる予定です。 ※ストックが切れ次第緩やかに投稿していきます。

転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい

翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。 それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん? 「え、俺何か、犬になってない?」 豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。

平凡なぼくが男子校でイケメンたちに囲まれています

七瀬
BL
あらすじ 春の空の下、名門私立蒼嶺(そうれい)学園に入学した柊凛音(ひいらぎ りおん)。全寮制男子校という新しい環境で、彼の無自覚な美しさと天然な魅力が、周囲の男たちを次々と虜にしていく——。 政治家や実業家の子息が通う格式高い学園で、凛音は完璧な兄・蒼真(そうま)への憧れを胸に、新たな青春を歩み始める。しかし、彼の純粋で愛らしい存在は、学園の秩序を静かに揺るがしていく。 **** 初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m

少女漫画の当て馬に転生したら聖騎士がヤンデレ化しました

猫むぎ
BL
※イヴ視点26以降(ハルフィリア編)大幅修正いたします。 見てくださった皆様には申し訳ございません。 これからも見ていただけたら嬉しいです。 外の世界に憧れを抱いていた少年は、少女漫画の世界に転生しました。 当て馬キャラに転生したけど、モブとして普通に暮らしていたが突然悪役である魔騎士の刺青が腕に浮かび上がった。 それでも特に刺青があるだけでモブなのは変わらなかった。 漫画では優男であった聖騎士が魔騎士に豹変するまでは… 出会う筈がなかった二人が出会い、聖騎士はヤンデレと化す。 メインヒーローの筈の聖騎士に執着されています。 最上級魔導士ヤンデレ溺愛聖騎士×当て馬悪役だけどモブだと信じて疑わない最下層魔導士

BLゲームの脇役に転生したはずなのに

れい
BL
腐男子である牧野ひろは、ある日コンビニ帰りの事故で命を落としてしまう。 しかし次に目を覚ますと――そこは、生前夢中になっていた学園BLゲームの世界。 転生した先は、主人公の“最初の友達”として登場する脇役キャラ・アリエス。 恋愛の当事者ではなく安全圏のはず……だったのに、なぜか攻略対象たちの視線は主人公ではなく自分に向かっていて――。 脇役であるはずの彼が、気づけば物語の中心に巻き込まれていく。 これは、予定外の転生から始まる波乱万丈な学園生活の物語。 ⸻ 脇役くん総受け作品。 地雷の方はご注意ください。 随時更新中。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

処理中です...