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仕舞い込まれた魔王様
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次々と国を己の物にしていく魔王様がいた。
次の標的とされたのは王女である私がいるラルジュ王国。
実は好きな物語の中の王女へと転生していた私はその魔王様のファンだった。
これはそんな大好きな人を自分の力を駆使して閉じ込めた私のお話。
「今日もとてもクールな姿勢ね。少しは気を許してくれてもいいのに」
「己の事を捕えた者に誰が気を許すか」
ため息をつきながら家の城にある地下室―中は冷たく暗い石造りの場所ではなく、極普通の綺麗な部屋だ―で私と会話をしているこの人こそが噂の魔王様。
体格ももちろん大きく、力だって叶わないこの人をどう閉じ込めたのかは秘匿とする。
その態度が気にくわない私は、ベッドに腰かける彼の膝の上に乗り上げて衣服の上から逞しい身体をなぞるように触れた。
暫くそうして触れていると彼の身体の変化を感じる事ができる。
「身体は正直なのに………ねえ、どうしてなのよ?」
「ふん、知らんな」
「私の方が今は立場が上なのよ………っ?素直になりなさいよ~~~」
悔しいので手を握って彼の胸板を何度も叩いてみる。勿論なんの効果もなしだ。
身体だけでも繋がれるのは当然嬉しいけれど、やっぱりその心だってほしい。
真剣に見つめても彼はずっと視線を背けたままだ。
素直になるまでご飯なし!そんな事を言った事もあるけれど、本当に推しにそんな事をする勇気はないので結局私が負けてしまう。
彼はいつだって凛としていて落ち着きがあり余裕がある。
(むかつく………!)
彼から視線を背けていじけていると、突然彼の指が私の顎を捉えて強制的に目線が合う形にされる。
「………?!な、に」
「貴様はわかりやすいな」
そう言うと彼は指先で私の唇をなぞり始める。
一体何………!?という言葉しか出てこない私の脳内は混乱しきっていた。
「生きていて楽しいか?」
「………!わ、私罵られている?」
「別にそういうわけではない。単純な質問だ」
「ま、まあ………楽しいけれど」
「ならそれでいい」
何で満足したのかわからないけれど、彼は心なしか満足そうにして私から手を離した。
「………変な人」
頬が熱くなるのを感じながら彼の膝の上から避けようとすると、よろけて彼の方へ転びそのままベッドに押し倒す形となった。
(というかこの人どうしてこんなにすんなり押し倒されるのよ………!)
心の中で突っ込みをいれながら心臓ばかりが煩く言葉を紡げずにいると、ふっと彼が笑う。
「まだ明るいこんな昼間からするのか………?」
「違うわよ………!!!」
そう言われた瞬間、すぐさま起き上がり彼から離れて今度は私が腕を組み大きなため息をついて彼から視線を完全に反らしたのだった。
次の標的とされたのは王女である私がいるラルジュ王国。
実は好きな物語の中の王女へと転生していた私はその魔王様のファンだった。
これはそんな大好きな人を自分の力を駆使して閉じ込めた私のお話。
「今日もとてもクールな姿勢ね。少しは気を許してくれてもいいのに」
「己の事を捕えた者に誰が気を許すか」
ため息をつきながら家の城にある地下室―中は冷たく暗い石造りの場所ではなく、極普通の綺麗な部屋だ―で私と会話をしているこの人こそが噂の魔王様。
体格ももちろん大きく、力だって叶わないこの人をどう閉じ込めたのかは秘匿とする。
その態度が気にくわない私は、ベッドに腰かける彼の膝の上に乗り上げて衣服の上から逞しい身体をなぞるように触れた。
暫くそうして触れていると彼の身体の変化を感じる事ができる。
「身体は正直なのに………ねえ、どうしてなのよ?」
「ふん、知らんな」
「私の方が今は立場が上なのよ………っ?素直になりなさいよ~~~」
悔しいので手を握って彼の胸板を何度も叩いてみる。勿論なんの効果もなしだ。
身体だけでも繋がれるのは当然嬉しいけれど、やっぱりその心だってほしい。
真剣に見つめても彼はずっと視線を背けたままだ。
素直になるまでご飯なし!そんな事を言った事もあるけれど、本当に推しにそんな事をする勇気はないので結局私が負けてしまう。
彼はいつだって凛としていて落ち着きがあり余裕がある。
(むかつく………!)
彼から視線を背けていじけていると、突然彼の指が私の顎を捉えて強制的に目線が合う形にされる。
「………?!な、に」
「貴様はわかりやすいな」
そう言うと彼は指先で私の唇をなぞり始める。
一体何………!?という言葉しか出てこない私の脳内は混乱しきっていた。
「生きていて楽しいか?」
「………!わ、私罵られている?」
「別にそういうわけではない。単純な質問だ」
「ま、まあ………楽しいけれど」
「ならそれでいい」
何で満足したのかわからないけれど、彼は心なしか満足そうにして私から手を離した。
「………変な人」
頬が熱くなるのを感じながら彼の膝の上から避けようとすると、よろけて彼の方へ転びそのままベッドに押し倒す形となった。
(というかこの人どうしてこんなにすんなり押し倒されるのよ………!)
心の中で突っ込みをいれながら心臓ばかりが煩く言葉を紡げずにいると、ふっと彼が笑う。
「まだ明るいこんな昼間からするのか………?」
「違うわよ………!!!」
そう言われた瞬間、すぐさま起き上がり彼から離れて今度は私が腕を組み大きなため息をついて彼から視線を完全に反らしたのだった。
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