拝啓、私の天使ちゃん

dark cat☆*。

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 ピピピピッ         ピピピピッ

              カチャ
凛華→「ふわぁ~~」

ボーーっとしながら部屋を見渡す。
あれ、この箱なんだっけ?

昨日の記憶を辿っていく……
    あっ、手紙!!

僅かに香る木箱を開けて、重なった一枚をそっと手に取る。
胸の鼓動が少し速くなるのを感じながらペーパーナイフを入れる。



 拝啓、私の天使ちゃん

お手紙を見てくれてありがとう。
私は今、病院のベッドで天使ちゃんに向けてお手紙を書いています。
どうして私が病院に居るのか…
きっと修司しゅうじさんは話さないと思うからここで話すね。
天使ちゃんはもう16歳だからきっと分かってくれるはず。

私はね、頭にがんが出来てしまったの。
もうお医者さんも手の施しようがないんだって。
だから最初は絶望的な気持ちになったの。
どうして!どうして!って……
でもそんな時、
あなたがお腹にいることが分かった。
それから私は、私の天使ちゃんの為に生きよう!!って決意したんだ。
 
16歳って……
大変な時期だよね。
辛いことも悲しい事もたくさんあるよね。
私もそうだった…

本当なら私がそばに居てあげたい。
でも、私は…
もう長くは生きられない。
だから手紙を書くことにしたの。
大きくなった天使ちゃんのそばに少しでも一緒に居られたらって思って。


私ね、あなたに聞きたい事があるの












あなたは今、幸せ?











って。





私はいま闘病生活中で辛くて苦しい事もあるけど、お腹に天使ちゃんがいるから幸せだよ。


私に幸せをくれたみたいに、あなたも幸せになってね。

                                            母より



知らなかった
お母さんが病気だったことも…
私のことをそんなにも大切に思ってくれていたことも…
 闘病生活中でも幸せだったということも








そして


















こんな私なんかの幸せを願ってくれる人が居ることも……







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