処刑予定の悪役令嬢ですが、全世界のイケメンが味方です!

暦灯花(こよみとうか)

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子世代編:王妃と騎士の息子、王立学園へ!

子世代編 第23話:「動き出す王子と、告白の代償」

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王妃クラリスへの糾弾と、
ヴァルモン家の包囲――

火種は、学園内に確実に広がっていた。

だが、その中で最も早く、そして誰よりも大胆に動いたのは――
第二王子・ユリシス=レイヴァンだった。

 

彼は、王城での軍務を一時離れ、
公然と“王都代表監察官”として、王立学園を訪れた。

目的はただひとつ。

 

「――俺の政敵に、手を出した“つまらん連中”を、ぶっ潰しに来た」

 

王族としての言動とは思えぬ発言。
だがそれを止める者は、誰一人いなかった。

むしろ、周囲は気圧され、
ユリシスの“行動そのもの”が、すでに正義として作用し始めていた。

 

そして、午後の講堂。

リオと監察局による“聴取の場”に、
ユリシスは堂々と乱入した。

 

「失礼する。諸君、この場の調査は“王家直属の特任監察官”が引き継ぐ」

「な、何を……! そのような職位は王都の正式通達を――」

「持ってきているとも。王印付きだ」

 

ユリシスが広げたのは、国王直筆の通達文。

「王子としてではなく、“王政の剣”としてこの場に立つ。
 そして、俺は断言する。――リオ=ヴァルモンは、国の宝だ」

 

会場がざわめいた。

王子が、“元・処刑予定の悪役令嬢の息子”を“宝”と評したのだ。

 

リオは戸惑いながらも立ち上がり、静かに言う。

「……ユリシス王子、なぜここまで……?」

ユリシスはふっと笑って答える。

「俺の母は、誰からも愛される“理想の王妃”だった。
 だがな――俺は、クラリスのように“孤独に耐えて、それでも人を救った女”のほうが、
 よほど王にふさわしいと、ずっと思っていた」

 

「そしてお前は、そんな女から生まれた“奇跡”だ。
 ……なら、俺はその奇跡に、嫉妬して、惚れて、誓うまでだろ?」

 

ざわつく生徒たち。教師たち。
王子の告白は、もはや政治でも論理でもなく、感情そのものの戦争だった。

 

「だから、今日この場で宣言する。
 リオ=ヴァルモン。お前が望むなら――俺は、“王位継承権を放棄してもいい”。
 その代わり、お前が“この国の中心”に立つことを、選べ」

 

……衝撃。

その言葉の重みは、
誰よりもリオ自身を深く揺さぶった。

 

「……それは、“代償”が大きすぎる」

「俺が払うって言ってんだ。文句あるか?」

「……あるよ。俺だって、簡単に君の覚悟を踏みにじりたくない」

 

ふたりの間に、剣ではなく、“言葉という真剣”が交わされた瞬間だった。

 

だがその裏で――

セリスは、図書室の窓辺からその場面を静かに見つめていた。

そしてカティアは、廊下の隅で拳を握りしめていた。

 

(――リオの名が、“国の中心”にまで届いた)

それは喜びであると同時に、
もはや“普通の恋”ができない相手になったという、冷酷な現実だった。

 

だからこそ。

その夜、カティアはリオの部屋を訪ね、こう言った。

「私、しばらく距離を置くわ。……恋人候補として、じゃなくて」

「……どうして?」

「あなたを“好きでいる”ために、
 ――一度、“好きじゃない振り”をする必要があるの」

 

そしてカティアは、何も言わせず背を向けた。

 

それは“戦うための離脱”だった。

少女の心は揺れながらも、
少年の名を守るため、あえて遠ざかっていく――。
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