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第9話 オコメスペクタクル
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「このブタヤロウが!!」
小学1年生のコユズちゃんは絶賛反抗期中です。
「小柚子!そんなことお姉ちゃんに言うんじゃありません!!」
お義母さんは急な子どもの変化に戸惑いつつも注意する。
「わしゃ一人っ子じゃい!ブタの姉もった覚えはないですーゆうてな。それに女みたいな名前付けてくれよって、小学生になって今日初めて変じゃ言われたんじゃ!…わしゃこれから宿題するんでのぉ、邪魔せんといてくれるか?お゛?」
コユズちゃんはそんな事を言いつつ食卓の上にドリルや筆記用具を並べていく。
「コユズちゃん、言葉使いが悪いですよ!というか、変です…」
「ちゃん付けすんなや!誰のせいや思とるんじゃ!やってられんわ。それに宿題の邪魔じゃい。」
と、テキパキ宿題をこなしてゆく。模範的優等生です。
愛犬のレトルトが去って、ペットロスで気分が落ち込むとは聞いたことがあっても、こんな独特な反抗期になるとは思わなかったとお義母さんは頭を抱えていました。
「まあ、オコメが人間になってしまったのも原因ではありますし…」
「オコメちゃんは悪く無いのよ。だけどこの子はまだ小さいから、理解が追い付かないみたいで…そのうち安定してくれると思うわ。」
オコメの突然の人間化、ペットロス、小学校への進学など色々な環境の変化でストレスが重なりコユズちゃんの心は不安定になってしまったのでした─
(家族の役に立つって難しい…。今日も失敗しちゃったしな…。)
勤務先の学校でレトルトちゃんの生まれ変わりだと思われる女子生徒に出会いました。
オコメは、彼女の学園生活を少しでも快適にしたかった。先ずは彼女の周りの環境を整えねばと、彼女に絡んでいる不良の女子生徒を更正させることにしたのです。
そう、あのネコの擬人化の奴です!
ヤツとのファーストコンタクトは恐ろしいものでした。
「あれ?あんたってここの職員さん?よく見かけるけどー。」
何故か彼女を見たとたん身体が硬直してしまったオコメですが、お姉さんの余裕をかましてやります。
「わた…私はこの学校の用務員ですが?」
「用務員さんって…擬人化してる人だよね。」
「はい?何ですか?どういう…」
「いやあ、美味しそうだなって思って。」フヒッと変な声が出そうになりました…あぶない…
「美味しそうの度合いが凄く高いってゆーか、何か周りの奴よりも美味しそうだからそう思ったんだけど。お昼前に用務員さん見たらスゲーお腹空いて来たってゆーか、あっよだれ出そう…本当に美味しそうですよね!いや、良い意味で美味しそうだなって!ほんとアイツとは大違い…それを確かめたかっただけですー。」じゃ!と、手を振って去って行きました。
何言ってるかよく分からなかったけど、美味しそう。と連呼してて、何だか危険な奴ということだけは分かったわ。今後この子には気を付けないと…。
ある休み時間こと、例のネコの生徒が校庭の木に登っていました。
(嫌だわ。何だか高いとこから人を見下してるって感じで…。それに、その下の落ち葉を片付ける仕事をしたいのよー。早く退いてくれないかしら!)
しかし何故か近づくことができず、その場で立ち往生してしまい…仕方ないので、苦肉の策としてオコメは、通りかかった先生にチクるという社会的制裁の一手を投じるのでした。
「先生、生徒さんが木に登ってて仕事の妨げになってます。どうにかなりませんか?」
「あの子また!?本当にごめんなさい。ちょっと注意してきます。」
だけど、其れがきっかけで、レトルトちゃんもプール掃除の要員にされてしまうとは…
仕方がないので、オコメはプール倉庫の掃除用具入れの片付けをしながら、レトルトちゃんを見守る事にしたのです。
先生が慌てて校舎へと出て行った後、ホースから出る水の音と騒がしい声が聞こえたと思ったら、ザパーン!!と、水を壁にぶつけた様な音がして…
「絶望─。」か弱きレトルトちゃんの微かな声が聞こえてきたのでした。
オコメが助けなきゃ!と飛び出そうとしたとき、目の前に男子生徒が歩いてきたのです。助けは多い方が良いと思い、これ!と咄嗟にデッキブラシを渡しました。
男子生徒は「ありがとう…ございます?」と受けとり、オコメも参戦を!と思った束の間。男子生徒はレトルトちゃんを抱き抱えて走り去って行ったのでした。(どういうことなの!?)
すっかり出鼻を挫かれて、立ちすくんでしまったオコメを更に置いてきぼりにするかの様に、女子生徒が「私の妖精さんを返して下さい!」と、男子生徒に続いて出ていったのでした。
あの子は…レトルトちゃんが鯉に怯えていたあの日。何故だか分からないけれど、かなり熱心にレトルトちゃんがその時どういう様子だったか聞いてきた子。正直、怖い程問い詰められたのだったわ─。
先ほどの男子生徒に眼鏡の女子生徒…
ハッ!と、オコメは気づいてしまいました…「敵は複数人居る!!」と。
これから過酷なことになりそうだけど…オコメは、レトルトちゃんの学園生活の安寧のために、どう動いていくか具体策を練らねばなりません!
「レトルトの生まれ変わりに会った!?そんなん嘘じゃ!」
「ですがコユズちゃん、私も人になれたのですから、生まれ変わりもあるとは思いませんか?」
「…………。だったら、ここにつれてこんかい!」
「はい?」
「わしが本物か確かめてやろう言うとるんじゃ!レトルトと一緒におった時間はわしの方が長いからよぉ。」
「小柚子の誕生日会に呼んだらってこの子言ってるんだと思うわ。今回はお庭でバーベキューしようと思っているの。この子もレトルトちゃんに会いたがっているのかしらね…」
「そうなのですか…コユズちゃんのお誕生日会にレトルトちゃんを─」
オコメの次の一手は、我が家のホームパーティーにレトルトちゃんを招待すること!になったのでした。
小学1年生のコユズちゃんは絶賛反抗期中です。
「小柚子!そんなことお姉ちゃんに言うんじゃありません!!」
お義母さんは急な子どもの変化に戸惑いつつも注意する。
「わしゃ一人っ子じゃい!ブタの姉もった覚えはないですーゆうてな。それに女みたいな名前付けてくれよって、小学生になって今日初めて変じゃ言われたんじゃ!…わしゃこれから宿題するんでのぉ、邪魔せんといてくれるか?お゛?」
コユズちゃんはそんな事を言いつつ食卓の上にドリルや筆記用具を並べていく。
「コユズちゃん、言葉使いが悪いですよ!というか、変です…」
「ちゃん付けすんなや!誰のせいや思とるんじゃ!やってられんわ。それに宿題の邪魔じゃい。」
と、テキパキ宿題をこなしてゆく。模範的優等生です。
愛犬のレトルトが去って、ペットロスで気分が落ち込むとは聞いたことがあっても、こんな独特な反抗期になるとは思わなかったとお義母さんは頭を抱えていました。
「まあ、オコメが人間になってしまったのも原因ではありますし…」
「オコメちゃんは悪く無いのよ。だけどこの子はまだ小さいから、理解が追い付かないみたいで…そのうち安定してくれると思うわ。」
オコメの突然の人間化、ペットロス、小学校への進学など色々な環境の変化でストレスが重なりコユズちゃんの心は不安定になってしまったのでした─
(家族の役に立つって難しい…。今日も失敗しちゃったしな…。)
勤務先の学校でレトルトちゃんの生まれ変わりだと思われる女子生徒に出会いました。
オコメは、彼女の学園生活を少しでも快適にしたかった。先ずは彼女の周りの環境を整えねばと、彼女に絡んでいる不良の女子生徒を更正させることにしたのです。
そう、あのネコの擬人化の奴です!
ヤツとのファーストコンタクトは恐ろしいものでした。
「あれ?あんたってここの職員さん?よく見かけるけどー。」
何故か彼女を見たとたん身体が硬直してしまったオコメですが、お姉さんの余裕をかましてやります。
「わた…私はこの学校の用務員ですが?」
「用務員さんって…擬人化してる人だよね。」
「はい?何ですか?どういう…」
「いやあ、美味しそうだなって思って。」フヒッと変な声が出そうになりました…あぶない…
「美味しそうの度合いが凄く高いってゆーか、何か周りの奴よりも美味しそうだからそう思ったんだけど。お昼前に用務員さん見たらスゲーお腹空いて来たってゆーか、あっよだれ出そう…本当に美味しそうですよね!いや、良い意味で美味しそうだなって!ほんとアイツとは大違い…それを確かめたかっただけですー。」じゃ!と、手を振って去って行きました。
何言ってるかよく分からなかったけど、美味しそう。と連呼してて、何だか危険な奴ということだけは分かったわ。今後この子には気を付けないと…。
ある休み時間こと、例のネコの生徒が校庭の木に登っていました。
(嫌だわ。何だか高いとこから人を見下してるって感じで…。それに、その下の落ち葉を片付ける仕事をしたいのよー。早く退いてくれないかしら!)
しかし何故か近づくことができず、その場で立ち往生してしまい…仕方ないので、苦肉の策としてオコメは、通りかかった先生にチクるという社会的制裁の一手を投じるのでした。
「先生、生徒さんが木に登ってて仕事の妨げになってます。どうにかなりませんか?」
「あの子また!?本当にごめんなさい。ちょっと注意してきます。」
だけど、其れがきっかけで、レトルトちゃんもプール掃除の要員にされてしまうとは…
仕方がないので、オコメはプール倉庫の掃除用具入れの片付けをしながら、レトルトちゃんを見守る事にしたのです。
先生が慌てて校舎へと出て行った後、ホースから出る水の音と騒がしい声が聞こえたと思ったら、ザパーン!!と、水を壁にぶつけた様な音がして…
「絶望─。」か弱きレトルトちゃんの微かな声が聞こえてきたのでした。
オコメが助けなきゃ!と飛び出そうとしたとき、目の前に男子生徒が歩いてきたのです。助けは多い方が良いと思い、これ!と咄嗟にデッキブラシを渡しました。
男子生徒は「ありがとう…ございます?」と受けとり、オコメも参戦を!と思った束の間。男子生徒はレトルトちゃんを抱き抱えて走り去って行ったのでした。(どういうことなの!?)
すっかり出鼻を挫かれて、立ちすくんでしまったオコメを更に置いてきぼりにするかの様に、女子生徒が「私の妖精さんを返して下さい!」と、男子生徒に続いて出ていったのでした。
あの子は…レトルトちゃんが鯉に怯えていたあの日。何故だか分からないけれど、かなり熱心にレトルトちゃんがその時どういう様子だったか聞いてきた子。正直、怖い程問い詰められたのだったわ─。
先ほどの男子生徒に眼鏡の女子生徒…
ハッ!と、オコメは気づいてしまいました…「敵は複数人居る!!」と。
これから過酷なことになりそうだけど…オコメは、レトルトちゃんの学園生活の安寧のために、どう動いていくか具体策を練らねばなりません!
「レトルトの生まれ変わりに会った!?そんなん嘘じゃ!」
「ですがコユズちゃん、私も人になれたのですから、生まれ変わりもあるとは思いませんか?」
「…………。だったら、ここにつれてこんかい!」
「はい?」
「わしが本物か確かめてやろう言うとるんじゃ!レトルトと一緒におった時間はわしの方が長いからよぉ。」
「小柚子の誕生日会に呼んだらってこの子言ってるんだと思うわ。今回はお庭でバーベキューしようと思っているの。この子もレトルトちゃんに会いたがっているのかしらね…」
「そうなのですか…コユズちゃんのお誕生日会にレトルトちゃんを─」
オコメの次の一手は、我が家のホームパーティーにレトルトちゃんを招待すること!になったのでした。
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