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Case.01 影者
東都 中央地区α+ 十一月一日 午前九時十八分
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混濁した意識の中をさまよう姫築から手を離し、疾斗は閉じていた眼を開き、伊達眼鏡をかけ直す。
(……ただのDVという訳じゃなさそうだ)
詰めていた息をゆっくりと吐きだし、繋がせた意識で共に見た少年の夢を反芻する。
刻んでつなぎ直したような映像の断片は、精神面の防衛本能が働いたのか、彼の実母がどのように変貌したかまでは写していなかった。
(越す前は何も無かった様子だった、東都に来てからの幾日かも問題はない…)
となると、手を出したのは本当に最近の事なのだろうか。
考察を巡らせつつ、乾いて剥がれかけた冷却シートを濡れタオルに取り替えようと手を伸ばす。
浅い眠りは人の気配を感じさせたのか、小さく呻いた姫築が微睡みを帯びたまま目を覚ました。
「っ……か、り……に…さん…?」
渇きに掠れた音は、留守にしている実兄を呼ぶ。
姿形はほとんど変わらない上、起き抜けの目と遮光カーテンから差す陽光だけでは判別がつかないのは致し方ない事だ。
返事は返さずに耳式体温計をかざし、表示された数値を確認して頬を撫でてやる。
「まだ熱が高い。水、持ってきてやるから寝てろ」
「…ゃ……だ…」
同居人の口調を真似て静かに言の葉を落とすも、少年は親に甘えるように顔をすり寄せて、服の袖口を握りしめる。
タオルを絞った手の冷たさが心地良いのもあるのか、熱を蓄えた小さな手が何度も触れてくる。
─真夜中にきた内線の発信先は、管理室前からのものだった。
駆けつけた時には、意識が朦朧とした様子で熱を出して倒れていた、と疾風から聞いている。
連れ帰った本人は仮眠後すぐに出掛けてしまったらしく、書き置き代わりに小児用解熱剤と粥がリビングに置かれていた。
(高遠自身に疑いがある以上、連絡は出来ないか…)
幼子とベッドサイドの時計を交互に確認する。
姫築にしてみれば見知らぬ部屋だ。熱に侵され弱っている上に、誰も居ない場所で不安と恐怖に駆られれば、昨日の件と相俟ってパニック症状に陥る可能性も考えられる。
「っふ…うぅ、っく…ぇ」
先程まで見ていた夢を思い出してしまったのか、殺しきれない息を懸命に耐えながら、姫築は肩を震わせて泣き出すのを堪えていた。
(後の小言より今の嘘、だな)
嘘は苦手なのだが、と内心で苦笑を浮かべながら片手に収まる小さな頭を撫でれば、握り締められていた服袖から手が離れる。
「すぐ戻る。ちょっと、待ってろ」
慣れぬ人真似で少年を宥め、リビングに戻り固定電話の受話器を取る。
疾斗の表向きの職種は、雑誌やインターネットショップの写真被写体 ─ モデルだ。
表舞台に敢えて立つことで得られる情報量を増やし、本業である請負屋から一般人の目を逸らし、事務所長を兼任する疾風が動き易くする目的を果たしている。
正午からファッション雑誌撮影が入っているが、子どもを置いて仕事に出られるほどの非情さは持ち合わせていない。
事務所へコールするも、誰も近くに居ないのか留守電に替わる。
体調不良だと虚言を吹き込み、呼び出し音をサイレントに切り替えて、用意されていた食事に水のグラスを付け足して疾風の寝室に戻った。
**********
「すぐ戻る。ちょっと、待ってろ」
暗さを保ったままの部屋の中、管理人であろう人物は部屋を出ていく。
(おにいさん、カゼひいたのかな…)
口調こそ同じだったが、普段よりも低いような気がする。
自分が寝ているベッドは大きく、敷かれているシーツや掛けられている布団はとても心地よい。
それに、いつだったか従姉が食べていたアイスクリームのような香りがほんのりと香っているような気がする。
厚みはあるが重みはない掛け布団から上背を起こして薄闇に慣れてきた目で辺りを見回すと、部屋に置かれた物はどれも高価そうなもので、大きな棚には美しい瓶やグラスも収められている。
(あれ…?)
窓から時折入る風にカーテンが揺れ、室内が不規則に照らされ、眩しさに目をこすりながら棚を一角を見つめる。
宝物のように煌びやかな品が並べられているその中に、学童で作った折紙の花や鶴などがきれいに飾り置かれていた。
(ボクの作った入れ物…)
何度も折り直して筋がついている赤と黄色の折り箱は、木枠のフォトフレームの前に置かれている。何かが入っているのか、時折射し込む陽光を反射して天井へ不規則な模様を描く。
自分の暮らしている部屋よりも広い事に圧倒されたが、この部屋の主は間違いなく、いつも勉強を教えてくれる管理人なのだろう。
「すま……悪い、少し手間取った」
片手にトレーを持ち部屋へと入ってきた男は、やはりいつもよりも声が低い。
少しでも食えそうか、と尋ねられた姫築が小さく頷くと、ホッとした様子でベッド傍の椅子を引き寄せて座り、レンゲに掬った粥を冷まして差し出してくれた。
「おかあさん、に、おこられちゃう…」
「心配するな、連絡してある」
少し戸惑いつつも、そぉっと口を開いて食べてみる。海苔の佃煮が混ぜられているのか、ほんのりと海の香りと甘しょっぱさが拡がる。
「美味いか?」
「うん…っぁ、はい」
「なら良かった」
いつもならば色々な話をしてくれるが、少ないのは気のせいだろうか。
たくさん食べる事はできずとも体は温まり、満腹を察知したらしい男はシロップ状の何かを小さなカップに注ぐ。
差し出された甘苦い液体を少しずつ飲み干し、カップを受け取ろうと出された手には、姫築の見たことのない銀色の指輪が二つ付いていた。
(かんりにんさん…じゃ、ない?)
「片付けてくる。眠かったら…寝ちまったほうが、良い」
**********
残った粥の器に蓋を掛け、グラスと薬のカップを洗う。
慣れぬ嘘と人真似に無意識に呼吸を詰めてしまう自分がいるが、姫築は疾斗を知らないどころか、疾風だと思い込んでいる。
熱に苛まれている事で騙せてはいるが、気付いてしまったら泣かれるのではないかと思うと、気が気でない。
深く溜息をつきつつ寝室に戻ると、瞼を懸命に開こうと目をこすり、眠らないよう必死に頭を振る姫築の姿があった。
「どうした…寝たほうが」
「ねたく、ない…」
「何故?」
「だって……こわい夢、見たらやだ…」
こわい夢、とは先の共有した映像のことだろうか。
椅子を引き寄せ、酷く怯えた目で見上げる幼子に視線を合わせれば、助けを求めるように小さな腕を伸ばし、首に縋り付いてくる。
突然の事に疾斗は身体を強張らせるも、鼻を鳴らして泣くのを堪える姿に痛々しさを思い、そっと背を撫でた。
「…姫築、昨日はどうしてあんな遅くに、外に居たんだ?」
「ちがう、の…おかあさん、おとうさんとおはなし…たいって、いって…ぼくもね、おとうさんと…おはな、ししたいってね、言っただけ、なの…っ」
問い掛けに感情の柵がきしみ始めたのか、縋る手が服の背を掴み、姫築がしゃくりながら拙い言葉を並べてゆく。
「そしたらね、おかあさんね、すっごくおこってね、[わたしのなのよ、アンタなんかいらない]っていってね、外に出されちゃったの」
(…要らない?)
「おと、さん、いつも、とおいとこまでね、いろんなの、はこんでてね…帰って、も、ね、ボクおはなしできないときがね、おおいからっ…!」
パタパタッ、と音を立てて肩口に熱い雫が流れてゆく。
一言一言を口にするたびに、耐え続けていた哀しみや辛さが溶け出して涙に変わり、疾斗の肌を伝い落ちる。
泣き声は上げまいと鼻を鳴らし、きつく縋ってくる子の頭を撫でて、反対の手でその背を緩やかなリズムであやす。
落とされた言の欠片を夢の断片へと照らし合わせ、生と死を依頼する娘の矛盾を仮説へと繋ぐ。
(…まだあくまで仮だ。連絡か、直接の方が良いか…)
静かに奏でていたリズムに落ち着きを取り戻したのか、涙が伝う感触は消え、縋る腕の力が弛まる。
「…ごめ、なさい……」
「お前は、何も悪くない」
悪いのは母親だ。
そう言い掛けた口を引き締め、言葉を殺す。
再び眠気に誘われている姫築を片腕で支え、掛けていた眼鏡を外しながら右眼を閉じて意識を集中させる。
「…また熱が上がると良くない。もう少し寝ていろ」
「やだ…こわいの、が」
そっと布団に横たえ、ぐずる姫築の頭をそっと撫でれば、離れないで欲しいと訴えるように袖を引かれる。
「…俺の目を見ろ、姫築」
「え…?」
言葉に反応し、視線が合うと同時に右眼を開く。
黄水晶にも似た涙濡れの瞳に、自身の目に浮かぶ黒三日月が映りこむ。
「お、にい、さ……」
「優しい夢を見て、眠るといい」
呼び掛けられる言葉を指でそっと塞ぎ、言の葉を落とす。
程なくして袖を握る手が弛み、とろりと溶けるように姫築が瞼を閉ざして寝息を立て始めた。
(…連絡の方が早いな、タイミング良ければ高遠にも会える筈だ)
物音を立てぬように立ち上がり、眠る少年を再度見れば、ほんのりと口許を綻ばせている。
その様子に安堵し、疾斗は携帯を取り出しながら寝室を出た。
(……ただのDVという訳じゃなさそうだ)
詰めていた息をゆっくりと吐きだし、繋がせた意識で共に見た少年の夢を反芻する。
刻んでつなぎ直したような映像の断片は、精神面の防衛本能が働いたのか、彼の実母がどのように変貌したかまでは写していなかった。
(越す前は何も無かった様子だった、東都に来てからの幾日かも問題はない…)
となると、手を出したのは本当に最近の事なのだろうか。
考察を巡らせつつ、乾いて剥がれかけた冷却シートを濡れタオルに取り替えようと手を伸ばす。
浅い眠りは人の気配を感じさせたのか、小さく呻いた姫築が微睡みを帯びたまま目を覚ました。
「っ……か、り……に…さん…?」
渇きに掠れた音は、留守にしている実兄を呼ぶ。
姿形はほとんど変わらない上、起き抜けの目と遮光カーテンから差す陽光だけでは判別がつかないのは致し方ない事だ。
返事は返さずに耳式体温計をかざし、表示された数値を確認して頬を撫でてやる。
「まだ熱が高い。水、持ってきてやるから寝てろ」
「…ゃ……だ…」
同居人の口調を真似て静かに言の葉を落とすも、少年は親に甘えるように顔をすり寄せて、服の袖口を握りしめる。
タオルを絞った手の冷たさが心地良いのもあるのか、熱を蓄えた小さな手が何度も触れてくる。
─真夜中にきた内線の発信先は、管理室前からのものだった。
駆けつけた時には、意識が朦朧とした様子で熱を出して倒れていた、と疾風から聞いている。
連れ帰った本人は仮眠後すぐに出掛けてしまったらしく、書き置き代わりに小児用解熱剤と粥がリビングに置かれていた。
(高遠自身に疑いがある以上、連絡は出来ないか…)
幼子とベッドサイドの時計を交互に確認する。
姫築にしてみれば見知らぬ部屋だ。熱に侵され弱っている上に、誰も居ない場所で不安と恐怖に駆られれば、昨日の件と相俟ってパニック症状に陥る可能性も考えられる。
「っふ…うぅ、っく…ぇ」
先程まで見ていた夢を思い出してしまったのか、殺しきれない息を懸命に耐えながら、姫築は肩を震わせて泣き出すのを堪えていた。
(後の小言より今の嘘、だな)
嘘は苦手なのだが、と内心で苦笑を浮かべながら片手に収まる小さな頭を撫でれば、握り締められていた服袖から手が離れる。
「すぐ戻る。ちょっと、待ってろ」
慣れぬ人真似で少年を宥め、リビングに戻り固定電話の受話器を取る。
疾斗の表向きの職種は、雑誌やインターネットショップの写真被写体 ─ モデルだ。
表舞台に敢えて立つことで得られる情報量を増やし、本業である請負屋から一般人の目を逸らし、事務所長を兼任する疾風が動き易くする目的を果たしている。
正午からファッション雑誌撮影が入っているが、子どもを置いて仕事に出られるほどの非情さは持ち合わせていない。
事務所へコールするも、誰も近くに居ないのか留守電に替わる。
体調不良だと虚言を吹き込み、呼び出し音をサイレントに切り替えて、用意されていた食事に水のグラスを付け足して疾風の寝室に戻った。
**********
「すぐ戻る。ちょっと、待ってろ」
暗さを保ったままの部屋の中、管理人であろう人物は部屋を出ていく。
(おにいさん、カゼひいたのかな…)
口調こそ同じだったが、普段よりも低いような気がする。
自分が寝ているベッドは大きく、敷かれているシーツや掛けられている布団はとても心地よい。
それに、いつだったか従姉が食べていたアイスクリームのような香りがほんのりと香っているような気がする。
厚みはあるが重みはない掛け布団から上背を起こして薄闇に慣れてきた目で辺りを見回すと、部屋に置かれた物はどれも高価そうなもので、大きな棚には美しい瓶やグラスも収められている。
(あれ…?)
窓から時折入る風にカーテンが揺れ、室内が不規則に照らされ、眩しさに目をこすりながら棚を一角を見つめる。
宝物のように煌びやかな品が並べられているその中に、学童で作った折紙の花や鶴などがきれいに飾り置かれていた。
(ボクの作った入れ物…)
何度も折り直して筋がついている赤と黄色の折り箱は、木枠のフォトフレームの前に置かれている。何かが入っているのか、時折射し込む陽光を反射して天井へ不規則な模様を描く。
自分の暮らしている部屋よりも広い事に圧倒されたが、この部屋の主は間違いなく、いつも勉強を教えてくれる管理人なのだろう。
「すま……悪い、少し手間取った」
片手にトレーを持ち部屋へと入ってきた男は、やはりいつもよりも声が低い。
少しでも食えそうか、と尋ねられた姫築が小さく頷くと、ホッとした様子でベッド傍の椅子を引き寄せて座り、レンゲに掬った粥を冷まして差し出してくれた。
「おかあさん、に、おこられちゃう…」
「心配するな、連絡してある」
少し戸惑いつつも、そぉっと口を開いて食べてみる。海苔の佃煮が混ぜられているのか、ほんのりと海の香りと甘しょっぱさが拡がる。
「美味いか?」
「うん…っぁ、はい」
「なら良かった」
いつもならば色々な話をしてくれるが、少ないのは気のせいだろうか。
たくさん食べる事はできずとも体は温まり、満腹を察知したらしい男はシロップ状の何かを小さなカップに注ぐ。
差し出された甘苦い液体を少しずつ飲み干し、カップを受け取ろうと出された手には、姫築の見たことのない銀色の指輪が二つ付いていた。
(かんりにんさん…じゃ、ない?)
「片付けてくる。眠かったら…寝ちまったほうが、良い」
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残った粥の器に蓋を掛け、グラスと薬のカップを洗う。
慣れぬ嘘と人真似に無意識に呼吸を詰めてしまう自分がいるが、姫築は疾斗を知らないどころか、疾風だと思い込んでいる。
熱に苛まれている事で騙せてはいるが、気付いてしまったら泣かれるのではないかと思うと、気が気でない。
深く溜息をつきつつ寝室に戻ると、瞼を懸命に開こうと目をこすり、眠らないよう必死に頭を振る姫築の姿があった。
「どうした…寝たほうが」
「ねたく、ない…」
「何故?」
「だって……こわい夢、見たらやだ…」
こわい夢、とは先の共有した映像のことだろうか。
椅子を引き寄せ、酷く怯えた目で見上げる幼子に視線を合わせれば、助けを求めるように小さな腕を伸ばし、首に縋り付いてくる。
突然の事に疾斗は身体を強張らせるも、鼻を鳴らして泣くのを堪える姿に痛々しさを思い、そっと背を撫でた。
「…姫築、昨日はどうしてあんな遅くに、外に居たんだ?」
「ちがう、の…おかあさん、おとうさんとおはなし…たいって、いって…ぼくもね、おとうさんと…おはな、ししたいってね、言っただけ、なの…っ」
問い掛けに感情の柵がきしみ始めたのか、縋る手が服の背を掴み、姫築がしゃくりながら拙い言葉を並べてゆく。
「そしたらね、おかあさんね、すっごくおこってね、[わたしのなのよ、アンタなんかいらない]っていってね、外に出されちゃったの」
(…要らない?)
「おと、さん、いつも、とおいとこまでね、いろんなの、はこんでてね…帰って、も、ね、ボクおはなしできないときがね、おおいからっ…!」
パタパタッ、と音を立てて肩口に熱い雫が流れてゆく。
一言一言を口にするたびに、耐え続けていた哀しみや辛さが溶け出して涙に変わり、疾斗の肌を伝い落ちる。
泣き声は上げまいと鼻を鳴らし、きつく縋ってくる子の頭を撫でて、反対の手でその背を緩やかなリズムであやす。
落とされた言の欠片を夢の断片へと照らし合わせ、生と死を依頼する娘の矛盾を仮説へと繋ぐ。
(…まだあくまで仮だ。連絡か、直接の方が良いか…)
静かに奏でていたリズムに落ち着きを取り戻したのか、涙が伝う感触は消え、縋る腕の力が弛まる。
「…ごめ、なさい……」
「お前は、何も悪くない」
悪いのは母親だ。
そう言い掛けた口を引き締め、言葉を殺す。
再び眠気に誘われている姫築を片腕で支え、掛けていた眼鏡を外しながら右眼を閉じて意識を集中させる。
「…また熱が上がると良くない。もう少し寝ていろ」
「やだ…こわいの、が」
そっと布団に横たえ、ぐずる姫築の頭をそっと撫でれば、離れないで欲しいと訴えるように袖を引かれる。
「…俺の目を見ろ、姫築」
「え…?」
言葉に反応し、視線が合うと同時に右眼を開く。
黄水晶にも似た涙濡れの瞳に、自身の目に浮かぶ黒三日月が映りこむ。
「お、にい、さ……」
「優しい夢を見て、眠るといい」
呼び掛けられる言葉を指でそっと塞ぎ、言の葉を落とす。
程なくして袖を握る手が弛み、とろりと溶けるように姫築が瞼を閉ざして寝息を立て始めた。
(…連絡の方が早いな、タイミング良ければ高遠にも会える筈だ)
物音を立てぬように立ち上がり、眠る少年を再度見れば、ほんのりと口許を綻ばせている。
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