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第2話 王子の意見に同意です
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また第五王子の屋敷に向かう。さっき戻ったばかりなのに。両親は無理やり王子の屋敷の応接間に入り込むと頭を下げる。父は私の頭を無理やり抑え込み土下座をさせる。第五王子はうんざりした顔をしていた。
「至らぬ娘ですが、なにか気に障ったのでしょうか。すべて娘が悪いのです。直させますのでどうか破棄だけは!なにとぞ!お願いします!」
第五王子は相変わらずの偉そうな態度で足を組み、先ほどは居なかった隣に座る金髪碧眼の美女と目を合わせてやれやれという表情をしている。
「頭を上げてくれ。もう婚約は破棄された。元々僕は納得していなかった。兄上が勝手に婚約したんだ。結婚前に破棄されただけでも有難いだろう?それよりもこの美しい人を見てくれ。学院で出会ったのだ。見た目も心も優しい可愛らしい女性を。僕はこの美女と婚約をした。父も母も納得している。大体みんな好きな人と結婚しているのに僕だけ兄上に無理やり婚約させられたのだぞ?不公平だと思わないかい?」
私も同意見です。でももっと早く破棄してほしかった。王子が学院にいた三年間、私は家で花嫁教育を受けさせられていた。学院に進学して銀行に勤めたかった。
第五王子の隣にいる美女は私を見るなりクスリと笑う。私といえば父から押さえつけられてセットした髪はボロボロだ。恥ずかしい。
「しかし…式はもう一ヶ月後です」
「まだ一ヶ月もあるではないか。この美女と式を挙げるよ。ああ、一時金を戻してくれよ。こちらのご両親に送らなければならないからな」
「そ、そんな…ドレスも靴も準備して支払いも済んでいます。それはどうすれば…」
「そんなことは知らない。ああ、そのドレスも屋敷に送ってくれ。彼女の下準備くらいにはなるだろう」
「おお、買い取ってくださるので?」
「はあ?そんな訳ないだろう。この美女が着てくれるのだぞ。有難く思え!」
屋敷から追い出された両親はすぐにドレスを第五王子の屋敷に送る手配をする。律儀なものだ。無視すればいいのに。そして業者を呼び出して靴や装飾品はなにも言われていないものはすぐに売った。しかしオーダーメイド仕立ての靴は言い値で買い取られいくらもしなかった。
両親は一時金の返金の為に邸にあるものはすべて売った。屋敷も手放す段取りも徹夜で行っている。父と母は離縁することになった。母は元々金使いの荒い父とは気が合わずもう何年も口を聞いていなかったが、娘がロイヤルファミリーになるという事で協力をしていた。母と弟は母の妹の所に身を寄せるようで引っ越しの手筈を行っている。幸い妹の嫁ぎ先は近くのようでそこから引き続き第一王子の息子の教育係りを務めるようだ。
父は金はないが、愛人はいる。その愛人の家が金持ちのようでそちらで暮らすとのことだ。では私は…
「私の所にはあの子は連れて行けないわ。妹も嫁の立場だから肩身が狭くなってしまうし、困ったわね。どうしましょう」
「俺だって困るぞ。女の家に行くのだ。あんな大きな子供なんて連れて行けない」
仲がいいではないか
「あんな婚約破棄された傷ものの娘、だれも嫁に貰わんだろう。容姿もそこそこだしな」
「そうねぇ…」
「明日、馴染みの娼婦館にも連れて行くしかないだろう」
「娼婦館って…」
「仕方がないのだ。一時金が返せない。この屋敷を売っても少し足りない…」
「あなたがロイヤルファミリーだって言って自分のスーツや靴、部屋のリフォームとかでお金を使うからでしょ!」
「仕方ないだろう…ロイヤルファミリーだぞ。安物の服なんか着られないだろう!」
「可哀そうな。私の娘…」
「リフォームしたことはよかった。少し高く売れるだろう」
「私はそんな娘を見たくはないわ。近所にも見られたくない。今からこっそりと連れていけないの?」
「それもそうだな。今のうちに売りに行こう。あの子も色々宝石やら高価な物を贈られていたな。それも回収しよう」
「高価なドレスやバックもあるわよ。第一王子や第二王子からずいぶんと可愛がってもらっていたから。毎月たくさんの贈り物が届いていたわ。そのことについては第五王子はなにも言っていなかったわね」
「そうか。それを金に換えて半分にしよう」
「そうしましょう。あ、着替えさせた方がいいのでは?さっきあの子が着ていたドレスは王妃からの贈り物で売ればそれなりにするものよ。娼婦館に売るならキレイなドレスでなくてもいいのではないの?」
「いや、最後の晴れ舞台だ。キレイなドレスで送ってやろう。その方が高く売れるかもしれん」
「まぁそうなのね。よくご存じですこと」
二人は足早に部屋に向かう。コンコン、コンコン、返事がない。
「返事がないわね。泣きつかれてもう寝ているのでしょう」
「お気楽なもんだな…起こせ」
「入るわよ」
部屋は、もぬけの殻であった。
「至らぬ娘ですが、なにか気に障ったのでしょうか。すべて娘が悪いのです。直させますのでどうか破棄だけは!なにとぞ!お願いします!」
第五王子は相変わらずの偉そうな態度で足を組み、先ほどは居なかった隣に座る金髪碧眼の美女と目を合わせてやれやれという表情をしている。
「頭を上げてくれ。もう婚約は破棄された。元々僕は納得していなかった。兄上が勝手に婚約したんだ。結婚前に破棄されただけでも有難いだろう?それよりもこの美しい人を見てくれ。学院で出会ったのだ。見た目も心も優しい可愛らしい女性を。僕はこの美女と婚約をした。父も母も納得している。大体みんな好きな人と結婚しているのに僕だけ兄上に無理やり婚約させられたのだぞ?不公平だと思わないかい?」
私も同意見です。でももっと早く破棄してほしかった。王子が学院にいた三年間、私は家で花嫁教育を受けさせられていた。学院に進学して銀行に勤めたかった。
第五王子の隣にいる美女は私を見るなりクスリと笑う。私といえば父から押さえつけられてセットした髪はボロボロだ。恥ずかしい。
「しかし…式はもう一ヶ月後です」
「まだ一ヶ月もあるではないか。この美女と式を挙げるよ。ああ、一時金を戻してくれよ。こちらのご両親に送らなければならないからな」
「そ、そんな…ドレスも靴も準備して支払いも済んでいます。それはどうすれば…」
「そんなことは知らない。ああ、そのドレスも屋敷に送ってくれ。彼女の下準備くらいにはなるだろう」
「おお、買い取ってくださるので?」
「はあ?そんな訳ないだろう。この美女が着てくれるのだぞ。有難く思え!」
屋敷から追い出された両親はすぐにドレスを第五王子の屋敷に送る手配をする。律儀なものだ。無視すればいいのに。そして業者を呼び出して靴や装飾品はなにも言われていないものはすぐに売った。しかしオーダーメイド仕立ての靴は言い値で買い取られいくらもしなかった。
両親は一時金の返金の為に邸にあるものはすべて売った。屋敷も手放す段取りも徹夜で行っている。父と母は離縁することになった。母は元々金使いの荒い父とは気が合わずもう何年も口を聞いていなかったが、娘がロイヤルファミリーになるという事で協力をしていた。母と弟は母の妹の所に身を寄せるようで引っ越しの手筈を行っている。幸い妹の嫁ぎ先は近くのようでそこから引き続き第一王子の息子の教育係りを務めるようだ。
父は金はないが、愛人はいる。その愛人の家が金持ちのようでそちらで暮らすとのことだ。では私は…
「私の所にはあの子は連れて行けないわ。妹も嫁の立場だから肩身が狭くなってしまうし、困ったわね。どうしましょう」
「俺だって困るぞ。女の家に行くのだ。あんな大きな子供なんて連れて行けない」
仲がいいではないか
「あんな婚約破棄された傷ものの娘、だれも嫁に貰わんだろう。容姿もそこそこだしな」
「そうねぇ…」
「明日、馴染みの娼婦館にも連れて行くしかないだろう」
「娼婦館って…」
「仕方がないのだ。一時金が返せない。この屋敷を売っても少し足りない…」
「あなたがロイヤルファミリーだって言って自分のスーツや靴、部屋のリフォームとかでお金を使うからでしょ!」
「仕方ないだろう…ロイヤルファミリーだぞ。安物の服なんか着られないだろう!」
「可哀そうな。私の娘…」
「リフォームしたことはよかった。少し高く売れるだろう」
「私はそんな娘を見たくはないわ。近所にも見られたくない。今からこっそりと連れていけないの?」
「それもそうだな。今のうちに売りに行こう。あの子も色々宝石やら高価な物を贈られていたな。それも回収しよう」
「高価なドレスやバックもあるわよ。第一王子や第二王子からずいぶんと可愛がってもらっていたから。毎月たくさんの贈り物が届いていたわ。そのことについては第五王子はなにも言っていなかったわね」
「そうか。それを金に換えて半分にしよう」
「そうしましょう。あ、着替えさせた方がいいのでは?さっきあの子が着ていたドレスは王妃からの贈り物で売ればそれなりにするものよ。娼婦館に売るならキレイなドレスでなくてもいいのではないの?」
「いや、最後の晴れ舞台だ。キレイなドレスで送ってやろう。その方が高く売れるかもしれん」
「まぁそうなのね。よくご存じですこと」
二人は足早に部屋に向かう。コンコン、コンコン、返事がない。
「返事がないわね。泣きつかれてもう寝ているのでしょう」
「お気楽なもんだな…起こせ」
「入るわよ」
部屋は、もぬけの殻であった。
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