もふってちーと!!

でんちむ

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もふって新人生!

◆もふって日雇い!

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「んー…眩しいなぁ……」

 一番初めに目を覚ました涼華は軽く伸びをして、目を擦る。

 意識が完全に覚醒したので、舞と千明の方を見る。二人はまだぐっすりで、静かな寝息を立てていた。

「…まだお姉ちゃん達寝てる……よしっ!たまには私も役に立とう!」

 張り切って朝食の準備を始める。素材は昨日と同じだが、調理の仕方によっては別の料理になる。

 まず取り掛かったのは、肉だった。猪肉にある太い筋を切り、焼いた時に肉が小さくならないように軽く叩く。

「よいっ…しょっと…!」

 大量の木の枝を持ってきて、火をつける。パチパチと火花が散る。平べったい石をフライパン替わりに敷く。

「えっと、次は、お魚かな!お魚は…どうしよう、焼き魚かな?…しかないかー、もう鮮度が落ちちゃってるもんね……いや、じゃあ自分で取りに行けば!」

 川に魚を釣りに行こうとするが、ふと昨夜の二人の会話を思い出して立ち止まる。

「…そういえば、川魚は独特の鼻を抜ける香りがキツイから刺身には向かないって言ってたなぁ……やっぱり焼き魚にしよう」

 肉が焼けたので、木製の皿に盛り付けて魚を焼き始める。魚が焦げないようにこまめに確認しつつ、涼華は主食を作り始める。

「やっぱり、お米が無い時の木の実って便利だなー」

 と、涼華は木の実を砕いて中身を取り出していく。ある程度取り終えると、丁度魚がいい具合に焼けていたので皿に盛り付ける。

 盛り付けが終わると、作業に戻る。木の実の中身を水を混ぜて練りながら、生地を作っていく。

「よしっ、これくらいでいいかなー。後はーのばしてー焼くだけー!」

 石製のフライパンに作った生地を載せて焼く。片面を軽く焼いて反対側も焼く。

 一人一枚ずつ焼いて、最後に木の実を盛り付けて朝食が完成した。涼華は二人を起こしに行く。

「お姉ちゃんたちー!ご飯できたよー!起きてー!」

「んぅー……?もう朝なのー……?」

「あふぁ……ねむ……」

 寝惚け眼を擦りつつ体を起こして大きく欠伸をする。その内にのそのそと起きてきて用意された朝食をみて二人が驚く。

「え!?あれ!?朝ご飯出来てるよ!?なんで!?」

「朝起きたらご飯が出来てる…なんか、幸せー」

 その光景を見て涼華は、口を緩ませ笑った。

「ふふふっ、たまには私も役に立ちたいの。さっ、冷めないうちに食べよ?お姉ちゃん」

「そうだね、頂きます」

「いっただっきまーす!」

 初めて作った料理は思いの外大成功だった。肉は焼いても固まらずに柔らかくジューシーで、溢れる肉汁が口の中を満たしていく。

 焼き魚は川魚独特の香りも素早く血抜きし、焼くことでまったく目立たなくなっている。しかも、身はふわふわとしていてとても美味しい。

 そして、木の実パンケーキ。甘さは無く、まさに主食としてしか役割を果たさないが、木の実からは想像できないほどふわっと分厚いパンケーキが出来ている。

「すごいね!僕、こんな調理法あるなんて知らなかったよ!凄く美味しい!」

「ありがとう、お姉ちゃん」

「涼華ちゃん、すごく美味しいよ!まさか木の実でパンケーキ作れるだなんて!勉強になります師匠!」

「大袈裟だよ、千明お姉ちゃん」

 三人の食卓は常に賑やかだ。

 それぞれが朝食を食べ終わると、木の皿を川で洗いある程度水を切って干す。

 乾いたら千明が持っていた鞄の中に入れて、片付けは終わりだ。

「…さってと、じゃあそろそろ行きますか?日雇いのバイトに」

「そうだね、俺早くお布団で寝たい」

「お布団…」

 再び街の中をぶらつく。まずは求人を探すことからだ。

 街の中をぶらぶらと練り歩いていると、一つの張り紙が目に止まった。

【急募!手の開いてる方誰でも!
  日給は歩合制!最低銅貨3枚!

 仕事内容:アクセサリーのチェーン取り付け
 仕事環境:室内快適。アットホームな職場です
  職場 :イースガルズ三番町二〇〇

 依頼主一言:至急助けてほしい。部下が出荷用のアクセサリーのチェーンを付け忘れていたんだ。明日が出荷日で、もう終わりそうにない!少しでも多く出荷するために力を貸してくれ!】

「…だって、どうする?」

「やるしかないでしょ!」

「最低給金が銅貨三枚だしね」

「よし、じゃあイースガルズ三番町二〇〇へ出発!」

          ■

 到着した場所にあったのは、二階建ての木造の建物の前だった。建物の中からは焦燥に満ちた声が聞こえてくる。

「ああぁぁぁ……どうしよう、こんな安い賃金じゃ誰も来ないだろうな………だけど、これ以上は出せないよ………この店ももうお終いだな…」

「店長…ほんとすいません……」

「………もう、いいよ」

 会話を聴く感じでは、相当ヤバイらしい。いや、募集の紙の一言からもヤバイということは十分に伝わってきたが、実際に声を聴くとそれはもう本当にヤバそうに聴こえてくる。

「…いこう」

「…だな」

「うん」

 短く言葉を切り、建物の中へ入っていく。

 ノブを回してドアを開ける。途端に目の前が真っ暗になって頭痛がしてくる舞。

「あああぁぁぁぁぁぁぁ!!来てくれたんだね!?君達に希望を託してもいいんだね!?」

 先程店長と呼ばれていた人物が舞の上に馬乗りになっている。

「ちょっ、ちょっと落ち着いて!そんで退いて!重い!」

「あっ、あぁ、ごめんよ…あまりにも嬉しすぎて……」

 さっき聴いていた話と同じ内容の事を話される。粗方事情は理解し、すぐに仕事に取り掛かる三人。確かに二人だと絶望的な量だが、五人も居れば半日で終わりそうな量だ。

「よし、一気に終わらせよう!」

「「「「おー!!」」」」

 舞の掛け声に皆が手を上げ声を上げる。その後は何も喋らずにただ黙々と作業を続けていった。

          ■

「あー…!!終わったー!!!」

 と、椅子の背もたれに寄りかかって伸びをする舞。他の人ももうすぐ終わりそうな量しか残っていない。これならもう大丈夫だろうと、舞は気分転換に外に出る。

 天気は快晴で、朝から入っていたので、もうそろそろ夕暮れだ。皆が思っていたよりかは時間がかかってしまっていたが、問題はない。

 結局、それから間もなくして仕事は終わった。店長と店員からは散々とお礼を言われ、少しだけ給料を弾んでもらった。

「よし、このままギルドに行っちゃうぞ、じゃないと宿に入れない」

「はーい!」

「わかったー!」

 そのままの足で街の中心部にあるギルドへと直行する。

「いやー、内職って腰が辛くなる仕事だねー…」

「ほんと、肩こりやばい…」

「楽しかったねー!」

「「え?」」

 一人だけ意見の異なる人がいたが、多数決で今回の仕事は辛かった、という評価になった。

「でも、これでやっとお布団だよ!」

「そうだ!お布団だ!」

「おっふとぅーん!!」

 仕事のし過ぎで壊れてしまったのだろうか。涼華は何故か異様にテンションが高かった。

 テンションは変わらずにギルドに着き、ギルドカードの製作に入る。ちなみに、ギルドでお馴染みのマッチョな新人イビリは居なかったようだ。
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