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車が古い家の小さな駐車場に収まり、ヘッドランプが消えると先に真理恵が降りて来た。
真理恵が後部座席を開けると小白が熟睡している。真理恵は小白の肩を軽く叩いた。
「ほら。着きましたよ。起きて」
小白は目を瞑ったまま顔をしかめてそっぽを向いた。
「起きん」
「起きないでどうするの? ここで寝る?」
小白が頷くので真理恵は呆れながらもシートベルトを外した。そこに真広がやってくる。
「僕がおぶろうか?」
「いいです。私がやりますよ」
真理恵は真広に小白を触らせたくなかった。その時間が長いほど真広は小白から離れられなくなるだろうし、小白も懐いてしまう。
真理恵は思ったより重い小白を背負い、玄関に向かう。
真広は車のドアを閉め、先回りして引き戸を開けた。
すると家の電話が鳴った。二人は顔を上げ、小白の耳がぴくりと動いた。
「出るよ。多分伯父さんだ」
真広は居間に向かい、真理恵は廊下からすぐそばにある母の部屋に小白を移動させる。
畳の上に小白を寝かせ、布団を敷き、その上に小白を寝かした。
たったそれだけで軽く汗をかき、真理恵は大きく息を吐いた。
「子供って本当に…………」
真理恵はやれやれとかぶりを振ると手の甲で額の汗を拭って居間に向かった。
居間では電話の子機を持った真広が不思議がっている。
「伯父さん? どうしたんですか?」
真理恵は「どうしたの?」と尋ねる。
「分からない。ずっと黙ってるんだ」
「代わってください」
真理恵は半ば強引に真広から子機を受け取った。
「伯父さん? 聞こえていますか? 小白はいつそちらにお返しすればいいでしょう? 明日なら私も仕事が休みなんで送っていけます。何時くらいにしますか?」
しかし、返事はない。真理恵は眉をしかめた。
そしてもう一度口を開いた時、伯父の声がぼそりと聞こえた。
「……あいつは?」
「え? ああ。寝てます。今日はちょっと疲れたみたいで。起こしますか?」
「……いや、いい」
再び沈黙が流れる。それは息もできないほど重苦しい沈黙だった。
真広は心配そうに見つめ、耐えかねた真理恵は小さく息を吸った。
その隙を突くように伯父は告げた。
「俺に――――」
「え?」と真理恵が言った瞬間、電話は切られた。
真理恵は呆然とし、真広は恐る恐る妹に尋ねた。
「……な、なんて?」
真理恵はなにも聞こえなくなった子機を耳から離し、そして小白のいる部屋を複雑そうな表情で見つめた。
真理恵は泣きそうになりながら真広を見上げ、震える声で伯父の言葉を繰り返した。
「……あいつはもう飼えないって」
真理恵が後部座席を開けると小白が熟睡している。真理恵は小白の肩を軽く叩いた。
「ほら。着きましたよ。起きて」
小白は目を瞑ったまま顔をしかめてそっぽを向いた。
「起きん」
「起きないでどうするの? ここで寝る?」
小白が頷くので真理恵は呆れながらもシートベルトを外した。そこに真広がやってくる。
「僕がおぶろうか?」
「いいです。私がやりますよ」
真理恵は真広に小白を触らせたくなかった。その時間が長いほど真広は小白から離れられなくなるだろうし、小白も懐いてしまう。
真理恵は思ったより重い小白を背負い、玄関に向かう。
真広は車のドアを閉め、先回りして引き戸を開けた。
すると家の電話が鳴った。二人は顔を上げ、小白の耳がぴくりと動いた。
「出るよ。多分伯父さんだ」
真広は居間に向かい、真理恵は廊下からすぐそばにある母の部屋に小白を移動させる。
畳の上に小白を寝かせ、布団を敷き、その上に小白を寝かした。
たったそれだけで軽く汗をかき、真理恵は大きく息を吐いた。
「子供って本当に…………」
真理恵はやれやれとかぶりを振ると手の甲で額の汗を拭って居間に向かった。
居間では電話の子機を持った真広が不思議がっている。
「伯父さん? どうしたんですか?」
真理恵は「どうしたの?」と尋ねる。
「分からない。ずっと黙ってるんだ」
「代わってください」
真理恵は半ば強引に真広から子機を受け取った。
「伯父さん? 聞こえていますか? 小白はいつそちらにお返しすればいいでしょう? 明日なら私も仕事が休みなんで送っていけます。何時くらいにしますか?」
しかし、返事はない。真理恵は眉をしかめた。
そしてもう一度口を開いた時、伯父の声がぼそりと聞こえた。
「……あいつは?」
「え? ああ。寝てます。今日はちょっと疲れたみたいで。起こしますか?」
「……いや、いい」
再び沈黙が流れる。それは息もできないほど重苦しい沈黙だった。
真広は心配そうに見つめ、耐えかねた真理恵は小さく息を吸った。
その隙を突くように伯父は告げた。
「俺に――――」
「え?」と真理恵が言った瞬間、電話は切られた。
真理恵は呆然とし、真広は恐る恐る妹に尋ねた。
「……な、なんて?」
真理恵はなにも聞こえなくなった子機を耳から離し、そして小白のいる部屋を複雑そうな表情で見つめた。
真理恵は泣きそうになりながら真広を見上げ、震える声で伯父の言葉を繰り返した。
「……あいつはもう飼えないって」
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