双子の姉弟は強すぎます

天藤 深綺

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試合までの日々③

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 教室に戻り午後の授業が始まる。
特に変わったこともなく、いつも通りに先生の話を聞いて黒板に書かれた事をノートにまとめる。

 授業が終わり帰り自宅をしていたら、咲希がやって来た。

「優くん一緒に帰ろ!」
「いいよ、ちょっと待ってて」

 急いで支度をして席をたった。
下駄箱に向かい靴を履き替え学園を出てからの帰り道だった。
物凄く怖い顔をした木下君が居た。
まぁ何も無いことを祈りながら通り過ぎようとしたら声をかけられた。
うん。めんどくさい。

「おい、ちょっと話があるんだが」
「ごめん、これから夕飯の支度があるからまた明日にしてくれない?」
「直ぐに終わるから」
「こっちも急いでるんだ。
行こうか咲希」
「う、うん」

 そう言って僕達は帰ろうとした。
だが、木下君はいきなり殴りかかって来た。もちろん吹き飛ばされる。

「直ぐに終わるから来いって言ってるだろ!」
「こっちにも用事があるんだよ!
どうせ一方的に殴るだけなんだろ?」
「お、分かってたんじゃないか」

 分かってたけど、避けるのが遅れた。
痛みを少し和らげる行動くらいしか無理だった。

「分かってたなら、やっちまうか」
「不意に攻撃するならさっさとやれば良いのに、僕の逃げ足に追いつけるの?」
「はん!そんなのやらなきゃ分からないだろ?」

 そう言う木下君は笑っていた。
何を企んでるんだ?
僕はそう思いつつ魔法を使う。

「咲希ちょっとごめんね」

 一言咲希に謝って抱っこする。
そして全速力で逃げる。
取り敢えず、人通りの少ない道を使って逃げてるけど、なんで追いかけれるんだ?このスピードだぞ?普段の木下君じゃないな?そう思って大きな広場に出た。

「どうした?そんな速さで逃げるつもりだったのか?」
「いつもの木下君じゃ無いね」
「俺はいつも通りだぞ?」

そうは言っても、やはりなにか違う。
咲希を、降ろしてその場で木下君と睨み合う。
ちょっと不味いかもな。
咲希には1人で逃げてもらおうかな。

「咲希、君は関係ないから逃げて」
「でも、危ないよ!」
「大丈夫、なんとかする」
「なんとかって言っても…」
「咲希には怪我をしてもらいたくないんだよ」
「分かったよ、無茶はしないでね」
「ありがとう」

 咲希に逃げるよう言い聞かせ、僕は木下君の違和感を探ろうと戦う姿勢に入った。
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