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16 勇者パーティーの尻ぬぐいをする事になった
しおりを挟む俺達の世界は、滅亡三歩手前くらいの状況にいる。
なぜなら、魔王を倒すために結成された、勇者パーティーがクズの集まりだったからだ。
その尻ぬぐいをするために新しく結成した、新生勇者パーティーが、俺達。
俺達は、各地を回りながら、前勇者パーティーがやらかした尻ぬぐいをしている。
敵に土地を奪われたり、やっかいなもんに汚染されたり、人々の生活が不便になったりと、ほんとうに大変な事をやらかしてくれたもんだ、前の勇者パーティーは。
人類を脅かしている存在ーー魔王や、その魔王が支配している魔族たちは、人類が団結すれば、勝てない相手なんかじゃなかった。
けれど、そうはなからなかったから、滅亡手前状態なんだよな。
とりあえず、一つずつ解決していこう。
「えっと、最初は裏切り者のせいで魔族たちに奪われた土地を奪い返すんだっけ」
俺はこれから頼もしい仲間たちと共に、綿密に打ち合わせをして、世界中を奔走していく。
前勇者パーティーはそりゃ酷いもんだった。
各国のお偉いさんたちが、賄賂でのしあがった(自称)強者を採用して、勇者パーティーにつっこんだせいで。
パーティーの空気はギスギスしていたらしいし、町や村に滞在すれば法を犯し放題。
彼らの人格なんてゴミ箱のゴミのようなものだったらしい。
金を出さないと助けてやらない、なんて事をほざいて、魔族に襲われ目の前で苦しむ人たちをただ見ていた事もあったようだ。
そんな事があったため、今の世界は燦燦たる有様だ。
そんなお偉いさんをトップに君臨させた俺達が悪いと言えばそれまでだが、それで大人しく滅びを待っていられるわけがない。
やらかしたお偉いさんをぽいっとして、今度君臨したお偉いさんは比較的まともだったのが救いだ。
聖人君子だと思っているわけじゃないが、この新生パーティーの他のメンバーはみな良い奴ばかりだ。
俺は攻撃魔法の使い手である仲間を見る。
ちょうどやるべき事を終えたようだ。
今俺達がいる場所は、魔族に占領された土地。
けれど、もうすぐ解放されるだろう。
「リーダー。広範囲爆撃魔法の準備が整いました」
声がかかったので、俺は仲間に合図。
「じゃあ、やってくれ」
数秒後。
隕石のような炎の塊が、魔族たちにふりそそぐ。
戦い(というよりせん滅)は、呆気なく終わって、土地は奪還。
クズの集まりじゃなくて、裏切り者もいなくて、連携をとりながら、ちゃんと計画を立てればすんなりいくもんだな。
あ、ちなみに前勇者パーティーの裏切り者は、魔族たちに殺されてる。
これは本当に自業自得な末路だと思うぜ。
さて、まだまだやる事は残ってる。
世界を救うために、ちゃきちゃき尻ぬぐいしてくか。
お次は汚染された大地の浄化だ。
例によって前勇者パーティーのクズの一人が、自分の欲望を優先させて、化学アイテム兵器を多用した。
栄誉とか名誉が欲しいタイプの人間だったらしい。
とにかく成果をあげたくて暴走したようだ。
それで、人類の敵である魔族はせん滅できたからいいけど、土地が汚染されまくってしまったんだよな。
おかけで、人間が住めないし、食料も動物も生きていけない土地になってしまった。
そんな土地の前に立った俺は、回復魔法使いに声をかける。
「できそうか?」
「はい、大丈夫です。治癒魔法の準備を始めます。何かあったら守ってくださいね。皆さんもお願いします」
そういうわけで、世界で一番癒しの魔法にたけたメンバーが、浄化にあたる。
魔法を使っている時は無防備になるけど、仲間たちで守れば問題はない。
ざっと一時間。
それだけの時間で、土地は元通りになった。
途中そこら辺を歩いていた魔族に襲われたけれど、俺達の敵じゃあなかった。
元通りになった土地には、これから人が増えるだろう。
食料を生産するのは時間がかかるし、動物を育てるのも同じくだが、それは市民たちに頑張ってもらうしかない。
ちなみにやらかしたクズは、自分もその影響を受けて、ベッドの上から起き上がれない体になっている。
一応手当はされているらしいけど、病院の人から酷い扱いを受けているようだ。
生き地獄とはこのことだな。
栄誉とか名誉?
もちろん得られなかったらしいよ。
そして、一番大きな問題。
人類にかかっていた加護を復活させなくちゃいけない。
例によって例の如く、前勇者パーティーのアホーーというかリーダーが、人類すべての加護を手に入れようとして、欲張りをしたらしい。
それで、皆魔法が仕えなくなっている。
加護というものは、神様からの祝福だ。
いつも神の世界で人々を見守っている。
基本的には干渉しないけれど、ほんの少しだけ加護という形で、人の手助けをしているのだとか。
神様は、生きとし生けるもの、皆に平等であるという心情があるらしく。
魔王と人間の戦いには干渉しない。
でも、人間があまりにも弱い存在だったため、慈悲をくれたようだ。
で、その加護があると、体力がない人の生命力を上げたり、怪我や病気の治りを早めたりしてくれるのだ。
生活を豊かにするために、火を出したり、水を出したりも、できる。
なのに、それがなくなったもんだから、皆大変な思いをしたもんだ。
でも、もう今日でそれは終わりだ。
俺達は魔王城ちょっと手前にある、地底ダンジョンの奥に向かった。
そこにいるのは、前勇者パーティーのリーダー。
加護もりもりになった影響なのか、自我をなくして怪物のようになりながら、ダンジョンを徘徊していた。
しかし、欲は残っているみたいだ。
「おお、おカネ、ーーグルるーーカネだ。カネをよこセ」
こいつは、今よりは比較的まともだった頃、ダンジョンにもぐって金儲けしていたらしいから、その時の習性でダンジョンに入り浸っているようだ。
「よし、みんな。(前)勇者を倒すぞ! 気を付けて戦うんだ!」
加護もりもりでかなり苦戦したけど俺達の敵じゃなかったな。
対策をたてて、時折り小銭をなげたり、金目のもので注意を引きながら戦った俺達は、あっけなくそのかつての勇者、でなくアホ、というか怪物を倒した。
そうして人類滅亡三歩手前の状況を改善していった俺たちは、最後に魔王との闘いに臨む。
本来の目的に臨む前の過程が無駄に長かったな。
魔王城に到着したときは、やっと勇者パーティーとしての仕事ができると、ほっとしたよ。
でも、さすが魔王といったところか、前勇者(アホ)よりも強く、手ごわかった。
しかし、俺達だけでなく、団結した他の兵士達なども駆け付けてくれて、皆で力を合わせて戦た。
そこおかけで、何日かの戦いで撃破する事ができたのだ。
俺達は、正真正銘の世界を救った救世主として、皆から称えられる事になる。
その結果、たくさんの褒美をもらる事になったけど、前勇者パーティーの連中のようにはなりたくなかったから、ほどほどにしたよ。
だって、大きすぎる名誉とか、権力とか、富って堕落しそうじゃないか。
皆は俺達の事、見返りを求めない素晴らしい人だとか、聖人君子だとか誤解してるみたいだけどな。
前勇者パーティーのあいつら、見習いとか雑用だった頃とか、初心者だった頃は普通の人間だったらしい。
だから、俺たちはあんな風になりたくないもんだな。
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