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第2章

06 解放の日

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 それは待ち望んだ日だった。

 いつもと変わらない日々だったけれど。

 その日は、確かに来たのだ。

 チップの情報をチェックしたら、安全確率が高かった。

 今までにない数値を示していた。

 だから予感したのだ。

 この日々の終わりを。

 事実。

「通報があった」「何を根拠に」「顔をみせてもらえないか」「そんな事できない」

 にわかに家の外があわただしくなった。

 くる。

 くるぞ。

 そしてそれは来た。

「子供を一人ほごしました」「もう大丈夫よ」

 やっとここから出られる。

 希望が、あった。

 ほっとした。

 今までの頑張りが実った。
 耐え忍んできた苦労が報われた。

 ここまで生きてこれてよかった。

 頑張って生きてきてよかった。

 長い間流れなかった涙が頬を伝った。

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