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02 ミラーハウス
しおりを挟む「〇〇県のミラーハウスって、時々なくなった人の姿が映るらしいよ」
「それで、映し出された人と目を合わせちゃうと、あの世に連れていかれちゃうみたい」
どうなっているの?
鏡の部屋から出られないわ。
もう一時間もここをさまよっているの。
一体ここからそうすれば出られるのかしら。
疲れた私は、その場に腰を下ろした。
死んでもいいと思っていた。
失恋して、嫌になって、川に身を投げようとしていた。
そうなの、私もうこの世がいやになっちゃったの。
でも、偶然遊園地が目に入ったから、死ぬ前に楽しい思いを作りたいなって思って。
それで、ミラーハウスに入ったんだけど、私って駄目ね。
子供の頃から方向音痴なの。
でも、そんな時はいつも二つ上のお兄ちゃんが探しにきてくれたわ。
もう死んじゃったけど。
はぁ、お兄ちゃんに会いたい。
ぐううう。
しまらないわね。
こんな時でも、お腹がすくのね。
私は、なんだか無性に力が抜けてしまった。
自分から死ぬなんてばからしいわ。
家に帰って少しだけ冷静になりましょ。
そう思った私は、立ち上がって再び歩き出す。
その私が去った後に、ミラーハウスの鑑に小さな男の子の姿が映し出された。
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