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〇08 相反する目的 戦士
しおりを挟むどうしてもやらなければならない事があった。
けれど、それはやってはならない事でもあった。
とある世界の戦士は、愛しい人を助けたいと考えていた。
しかし、その愛しい人は世界を滅ぼそうとしる魔王であった。
戦士は、その人が魔王になる前に知り合い、恋をした。
だから、魔王である時の愛しい人がどのようなふるまいをしているのか知らない。
魔王の元へ向かう間、何度も想像しようとしたが、うまくできなかった。
「この助けたいという気持ちは、持ってはいけないものなのだろうか」
相手が助けるにあたいする人間かで悩み、
助けた後どうするのかで悩み、
その愛しい人が救出を望んでいるのかで悩み、
そもそもそんな事で悩んでいいのか、
本当に愛しているなら悩む前に、何もかもかなぐり捨てて助けるべきなのではないかと悩んだ。
二つの相反する行動に囚われた戦士は、魔王の前にたどり着いた時、どちらも選べなかった。
魔王はどこか失望した顔で「何をしにきたの?」と問いかける。
戦士は「分からない」、といって去っていった。
後に魔王は討伐され、年老いた戦士は後悔することになる。
正しいか正しくないか、やるべきかやるべきでないか。
どうしてそんなくだらない事で悩んでいたのだろう。
やりたいと思った事を自分はやるべきだった。
と。
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