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01 噂話

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 少女たちが噂話をしている。

 彼女達はとある噂話に夢中だった。

 それは何気ない通学路での出来事。

 夕方の、人気の少ない路地の道の上の話。

  ーー

 いい年して人形遊びが趣味だなんて、気持ち悪いよね~。

 ねぇ、知ってる?

 ○○丁目の○○って人、この間玩具屋で女の子の人形を買ってたみたいだよ。

 ね~、気持ち悪いでしょ~。

 一体、何するつもり何だろうね。

 もしかして~。

 ごにょごにょ。

 あははっ、冗談だって。こんな所で言うな? 下品? ごめんってば。

 でも、ホント不思議だよね~、一体二体だけじゃなくて何体も買ったんだって。

 どうするつもりなんだろう。


 ーー


 もしもその箱に、狂気を入れることができたなら。

 人はその箱にしまって出さなかっただろう。

 狂気にむしばまれた人間がいたとしても。

 周りの人間が箱を作って、しまうことができたかもしれない。

 しかし、彼らには箱という概念が存在しなかった。

 彼らは複数であるが、心は一つだったからだ。

 だから、彼らの世界は完結していて、だれも入り込めない。

 誰も入ることが許されない。

 誰も、その結末を変えることなどできやしない。


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