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〇01 僕の小さな愛しの彼女
しおりを挟む僕の愛する小さな彼女は小人だ。
僕のポケットには、愛しの彼女が入っている。
いつでも一緒。
どこでも一緒。
どんな時でも、僕らは一心同体だから、決して離れる事はない。
誰にも離される心配がない。
僕は彼女を愛しているから「出して。お願いここから出して」、だから彼女を小人にする前はいつも心配だった「元に戻して」。
だって、彼女はこんな僕なんかじゃ釣りわないほど、綺麗で聡明でとてもとても、素敵な人だったのだから。
不幸な事故で死んでしまったらどうしよう。
それか、変な男に騙されて誰かの物になってしまったら。
考えれば考えるほど、もしもの可能性で頭がいっぱいになって来る。
僕は「できるだけ君と一緒に居たいんだ」って、そう言うんだけど彼女は「監視されているみたいで嫌なの」ってちっとも分かってくれない。でもそんな我が儘な所も好きだよ。僕はちゃんと分かってる。そう言う所も君を輝かせる魅力の一つだよね。
だから僕は、君の心を煩わせないようにこっそりと君を見守り続けていたんだ。
外を歩いている時も、家の中にいる時も。
学校に通っている時も、仕事をするようになっても、テレビを見ている時も、ご飯を作っている時も、趣味の読書をしている時も、寝ている時も、お風呂に入っている時も、何もしてない時も。
全部全部全部。
君のする事のほとんどを見守って来た。
でも、僕は人間だから。
どうやっても不可能はあって、君の全てを見守ってあげる事は出来ない。
けれど。大丈夫。
こうして小さくして、誰にも見つからないようにしまって隠してしまえば。
もう、絶対目を話す事がないから。
いつでも見守っていてあげられる。
何があっても離れないで傍にいられる。
「誰か、私はここにいるの。お願い気づいて」
不安そうにする君を慰める様に、僕はポケットを優しく撫でる。
君に外の世界なんて、もう必要ないんだよ。
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