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〇06 あいうえおホラー

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「あ」いしてると言われた。
 道を歩いていた時だ。
 そう言った人間を、キョロキョロと探したら。
 いなかった。
 「空耳かな」その時はそう思っていた。

「い」やな予感がする。
 もしかして、幽霊なのでは?
 友人が俺の様子を不審がっている。
 「どうしたんだ?」
 「なんでもない」
 でも相談することなんて、できやしない。

「う」そだと思った。
 見慣れた顔。
 聞きなれた声。
 服装は俺があげたプレゼント。
 化粧は初デートの時のまま。
 夢に出てきたのは、以前付き合っていた彼女。
 元カノだ。

「え」がおで詰め寄ってくるのが怖い。
 ーー私達アイしあってイるよね?
 ネエ、ひとリはさびシイよーー
 やめてくれ。
 あれは、事故だったんだ。
 殺すつもりなんてなかったんだ。

「お」そろしい夢だった。
 目が覚めてほっとしたら、ベッドの上にずしりとした重み。
 視線を少しずつずらしていくと。
 いた。
 そこに。
 俺の。
 血だらけの。
 生きてはいない。
 元カノが。



 ーーいっしょにずっとイようネーー



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