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第3話
しおりを挟むようやく5限目が終わり、その頃には二階堂が前いた学校ではアメフトをやっていたこと、この学校にはアメフト部がないため部活をどうしようか迷っていること、初めて日本で暮らすためまだ慣れない生活に戸惑っているということが分かった。何をしていても様になる事に変わりはないが、話してみると意外と二階堂は気さくで話しやすい奴だった。
後気がついた事と言えば、いつもなら一日の間に二、三回絡んで来るあいつ等が、アメフト仕込みのがたいのよい二階堂には敵わないと判断したからか今日はやけに大人しかったということだ。それでも、何か言いたげな奴等の視線を感じた。チキンめ、と心の中で罵る俺も十分チキンだろう。
「浅倉は部活何入ってんの?」
「俺は写真部。畑中も同じ」
「へー、具体的に何撮ったりすんの?」
「あー、基本自分で自由に撮ったりして不定期で休日に写真映えしそーなとこ皆で行って撮ったりする」
前回行ったのはもう一ヶ月くらい前になるからそろそろ行ってもいいかもな、後で部長に相談してみようと心の中で付け足す。
「俺も休日よく景色良さそうなとことか行ったりするからちょっと興味あるわ。写真は浅倉が教えてくれれば良いし?」
「マジ?部員少ねーから入ってくれると助かるかも。あ、でも運動部とかじゃなくて大丈夫なのか?」
二階堂のがたいからすれば様々な運動部が黙っていないであろうことは想像に容易い。そんな人材を廃部寸前の写真部が奪ってしまっていいものだろうか。
今写真部は三年が三人、俺たち二年が二人、一年が二人なため、三年生が受験で引退すると、部員が規定の五人に満たなくなってしまう。そこに二階堂が入ってくれるのは俺らからしたら有り難いけれども。
「んーアメフト以外はあんま興味ないしバイトもするつもりだから長い時間拘束されるのはなー。運動したくなったらジムとか行けば良いし。」
「そっか、ならウチの部大歓迎。とりあえず今度の部の集まり参加してみる?いつになるか分かんないけど」
「ん、そーする。あ、ていうかまだライン聞いてないな、聞いてもいい?」
ライン聞いてもいい?なんてそんな事をこの顔と涼しげな微笑みで言われたら世の女子は卒倒ものだろう。かくいう俺も、緩みそうになる頬を抑えるのに必死になりながらIDを交換した。
「向こうじゃラインって使わないから浅倉が友達第1号だわ。」
「そ、そーなんだ。」
これ以上あまり俺を喜ばせるようなことを言わないでくれ、頼むから、と赤くなっているだろう顔を隠すように俯きながら思った。
まだラインの使い方に慣れていないのか少し手間取っていた二階堂の姿がなんだか可愛かったというのは内緒だ。
「じゃあ俺担任の先生に呼ばれてるから。また明日」
「うん、また明日」
とりあえず部長に今度の部会の日程を相談しに行こうと決め、三年の教室に向かうため荷物を片付け、畑中達に別れを告げ教室を後にした。
***
結局詳しい日程は他の部員に聞いてからでないと結論が出せないと気づいたため、次の部会をそろそろ行おうという旨だけを部長に伝えた。
晩飯を食べお風呂にも入り、一息ついたところで誰かからラインが来てるかどうか確認すると、一番上に初めて見る二階堂の名前があった。タッチして内容を確認すると、そこにはアイコンの写真綺麗だなと書かれていて思わず口の端が上がるのを感じた。
俺のアイコンはこの前学校の帰りに撮った夕焼けの写真だ。対して、二階堂のアイコンは、二階堂が雲一つない空と一面の山をバックに写っているものだった。
サンキュ、二階堂のアイコンの写真もすげー良い景色と返信して他にも誰かから来てないかと画面をトーク一覧にして確認する。
一通り下の方までスクロールすると瀬戸昭という名前が現れ、日付の欄を確認すると最後にやりとりしたのが丁度1ヶ月ほど前で複雑な気持ちになった。
俺はただ本当の俺を理解して欲しいだけなのに、どうしてこんなに上手くいかないのだろうか。
遣る瀬無い気持ちをぶつけるように、スマホをベッドに放り投げた。
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