意味がわかると怖い話

眠れぬ夜に何を見るか？

　最近嫌な夢ばかり見る。
　悪夢。私にとってはそう呼べるもの。
　苦しい。いつも寝るのが苦しい。
　そう思いながら気分転換に路地を歩いていた。
　その時怪しいやつに出会った。
「おや。あなた、そこのあなたですよ。なにか悩みを持っているようで。」
「なに？あなたには関係ない。」
「そう言わずに。察するにあなた。悪夢を見てしまうのでしょう。」
「なんでわかったの？」
「勘は人一倍強いもので。それであなたの悩みをなくせるもの。私は持っていますよ。」
「なに？見ず知らずのあなたを信じろっていうの？」
「別に信じなくても構いませんよ。ですが話だけでも聞いてみては？」
「わかった。話だけ聞いてあげる。」
「懸命な判断です。ええ、私はいま悪夢を見なくなる薬を持っています。」
「それ本当？」
「ええもちろん本当です。良ければ初回サービスで今回は無償で提供しましょう。」
「.....。わかった。もらうだけもらっとく。」
「ああ、そうだ。くれぐれも使用は慎重にお願いしますよ。っともういないですか。話は最後まで聞くものですよ。」


　家に帰ってきた。あの胡散臭い男からもらったこの薬。本当に効くのだろうか。
　でも、私にはこれしかもう希望が残されていないから。
　飲むしかない。
　そう思い私は錠剤を飲み込んだ。
　別になにか変化があるとかじゃない。
　なにか変わった感じはしない。
　まあいいや。眠ればわかるでしょ。
　.........。眠れない。
　今まで嫌だったのに眠気が来たのに。
　眠れない。眠気が来ない。なぜ？
　答えはわかりきっている。あの薬だろう。
　でもなぜ。あれは悪夢を見ないようにする薬のはずなのに。

　.........。
　ああ、そういうことか。
　ああ、やめときゃよかったな。





　<この先解説。スクロール注意>















　<解説>
　もらったのは悪夢を見なくなる薬。それに間違いはない。そして男も嘘はついてない。
　なぜ眠れなくなったのか。それは、悪夢を見ないようにするため。
　眠らなければ夢は見ないから。