告白

ねこじた

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告白

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 なんで流行ったのか。
 まあ、ごく一部であったが、まさか、告白体験なんて奴は、中学生とは言ってもだ。
 綾は、そんなのを無視してた。
 もっとも、どんなに、お洒落な便箋なのか、そっちが軸でもあった。
 真に受けてしまえば、もらった相手は、かえって距離をとられるのだ。


 たしか、サッカー部かな、香もそんな話をしてる。
 試合、がんばって下さい。応援してます。
 ま、こんなか?
「サッカーなんだっけ、達也君」
 綾は、もう、書き上げてしまう。
「いや、基本じゃない、それ」
 香は、そんな綾に対して、だいぶ、呆れ顔となった。
「まったく、なんの基本よ」
 綾も、即座で呆れた。
 香は、肘とかついて、ちらっと読んだ。かと言って、難しい表情である。
「なんか、普通よ」
「だって、どう書けってのよ。あんたの付き添いよ」
 綾は、面倒なのか、みごとに飽きてた。
「がんばってね、ま、応援してますって、こんな一行なわけ?よく見れば、達也君へ、とかもないわ」
 一応、本人の下駄箱のなか、そこに入れるのだ。きっと、分かりもするが、香は、どこか、納得しなかった。
 挙げ句、自分のペンを使うと、スキです。なんて書き込んだ。
「どうせ、綾の名前とかも、無記名よね」
「なんか、それだと、ストーカーだわ」


 先生達は、文化祭での会議らしく、みんな部活もなしで、下校となってた。
 涼は、下駄箱のとこで、綾を見かけるが、なんだか、騒いでるのだ。
 涼になど、気づいてもなくて。
 近づくと、ジャージの巾着袋を短くして、どんっ、と合図だ。
「もう、なんなのよ」
 綾は、ムッとする。そんなでも、巾着で思い出したのか、
「あ、私もだわ。そっか、戻んないと」
 綾は、しっかりと、反撃もするのだが、教室へと帰還か。
「なんか、結局なのよ」
 香は、そんな二人を見ると、この感想となった。
 香の視線を避けてか、涼は逃走してた。
 香は、ちょっと、思いついたのか、達也君の下駄箱から、綾の手紙だけを出す。
 それを、涼の下駄箱に入れてしまった。


 翌朝になるか。
 登校の途中、ま、いつもの所なんだが、涼と合流の形となる。
 なぜか、涼があの手紙を出すんで、綾は、さすがに、思考も止まった。
 どうも、中のイラストで、綾なんじゃないか、と思ったとか。
 あの絵は、何かにつけて、よく書いてたが。あれしか、うまく書けなかった。
 涼だと、たぶん、見てもいた。
 え、なんで?
 あ、一人だけ、犯人がいるわ。
 マジか、香だ。
 カチンと来たのが、綾の事情説明を聞いたのに、まあ、今さら、綾が、こんなの可笑しいもんな。
 涼は、落胆もなかった。そこよ。
 綾は、手紙を奪ってしまう、ノートを下敷き代わりにすると、なにか、書き込みもする。
 それを、返した。
 試合、がんばって下さい。応援してます、のとこは、一応は、とあった。
 スキのとこも、やはり、訂正してた。
 前から、とあった。




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