とある、冒険。

ねこじた

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とある、冒険。

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「あれって、なんか上級魔族なわけ?もう、だから嫌よ」
 レイアは、どうすんの、これ、やったわよ。そんな表情なのだ。
「仲間だって、いるだとか、言ってたもんな。あの件かな」
 ライルは、なんか困った風だ。
「面倒だもん、やんないって、私、宣言とかしたわ。なのに、あんたがよ」
 レイアは、文句ばかり、止まんなかった。
 ロイは、工場裏の森林、モンスターが出るらしくて、なんとか頼めないか?そんな依頼であった。
 まあ、着いたのだが。
 どうも、変なトラブルなのだ。
「あんた、魔族なのか?おい、金はどうなんだよ」
 ロイは、相手が魔族に変化したのに、なんの心配なのか。
「面白い奴だよ。でも、死ぬんだ。金なんか、どう使うんだ?」
 魔族は、さすがに笑うも、金など用意もない。
 ライルは、手負いなのか、右手首から、布地を巻いてあった。
 火傷のような跡が、地肌に見えているのは、若干の違和感もあった。
 ま、体調は、平気そうなんで、もう古傷なのかもしれない。
 ロイは、突然、逃げ出すも、あんなでは、すぐに捕獲である。
 ライルは、どうにか割って入れた。  
 でも、それは、振り下ろされてしまった。
「そいつ、金の為なんかで、あんたを騙したんだ。なぜ、庇うんだかな」
 魔族は、よけいに力を込めて。
 どうにか、受け止めてたライルの手甲へと、そんな爪は食い込んだ。
「あんた、なんでなのよ。俺なんかに、そんな」
 ロイは、とにかく狼狽であった。
「まあ構わんが、人間なんかで力勝負とはね」
 マズイわ、あれ、もたないか。
 レイアは、そんな状況なんで、腹も決めるんだが、奇襲とか?
 もう、何が出来んのよ。
 気配か、いや、物音である。
 同時か、鈍い地響もあった。
 レイアは、そっちを見たくもなかった。
 まあ、未確認だと、どっちにしても危険だから。
 魔族達は、突然での、メンバー追加なのだった。
 どうしてよ、魔転送?
 フル装備なんか、してませんけど、あっても一緒か。
「なんだよ、もう、遅いんだから、若干、不安になったわ」
 と、魔族だ。


「まったく、面倒なもんよ」
 ライルは、なんとか蹴り返すと、魔族と離れるが、あっちも、そんなので動揺もしなかった。
 ライルは、案外、ボロ布でも丁寧に外すのだ。
 やはり、なにか火傷痕のような、だけど、別ものではあった。
 普通の怪我と、空気感だとか、雰囲気なんかも異質であった。
 ライルとは、少し前から、よく仕事をする。
「待ってよ、あんた、盗賊なんでしょ?」
 レイアは、その痕を知っている。
「な、だから、面倒なんだよ。わりと、知ってるのがいんだわ」


 布を取った、その片腕だが。
 火傷なのか、傷痕みたいなのがあった。
 俗に魔障痕とか言われる奴だ。
 魔力量が多いと、傷痕が残ってしまった。
 それも、魔力量が、ある一定を超えないと、出ないものだ。
 それは、発見されても、一部の魔族ぐらい、他種族ではエルフぐらいか。
 しかも、稀であった。
 最近になって、先代の王宮に仕えた、高名な魔術師は、魔障痕があったと、やっと報告があった。
 人間界だと、まず、見なかった。


 魔族達、お、マジかよ。
 ライル、面倒だな、とか。
 で、どーん。

          THE、END。


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