電脳贖罪~汝は何を懺悔し、赦しを乞うのか?~

陰猫(改)

文字の大きさ
1 / 4

序章

しおりを挟む
 私がその道を歩み出したのは去年のゴールデンウィークが終わりを迎え、蒸し暑くなる一歩手前頃だったろうか?

 そのアプリを知ってから私のネット交流は更に広範囲のモノとなった。振り返ると様々な事があったように思う。
 ある人物とは出会い、ある人物とは別れ、また新たな交流の渦へと私は沈んでいく。

 ──私の名は陰猫(改)。

 この話の体験者であり、観測する者であり、いつだって第三者であり、置いていかれる存在である。

 幻想の夢の次に見た世界で次にVの世界に想いを馳せ、電脳の海の底で底辺の世界を漂う趣味の範疇で活動するライバーであり、ネット小説家であり、アナログイラストに鉛筆を走らせる作家である全てが中途半端で止まってしまったしがない存在である。

 これはそんな私のささやかな思い出の一つ。

 夢見た世界から切り離され、また夢を見て、更に深い電脳の海を彷徨ってVライバーとしてガワを残した私のメモリーである。
 これは誰かに届くかも知れないし、私だけの秘密になるかも知れないちょっと特殊な思い出である。

 桜が咲いては散るようにその芽もまた息吹くだろう。

 そして、これは私のいまの意志が存在していた事を残す為の準備の一つ。
 電脳の海に沈殿する屍となる前に綴っておきたかった思い出の整理。

 そう。全ては小説に始まり、幻想を描き、電脳の世界を漂い、再び小説に到着する。
 私の長い長い遠回りな道は最終的にまたネット小説という概念に戻るらしい。
 私の文は願いであり、祈りであり、贖罪だったのかも知れないだろう。
 今更、筆を取る事に意味があるかは私にも解らない。

 ただ、私の長い長い道のりの折り返しに再び、文字起こしをする行為には何かしらの意味があるのだろう。


 ──とある有名な漫画のキャラクターは言った。

「そこに背景があり、リアルがある」と──。

 そうであるのならば、現実にも仮想にも存在があり、その全てが私の存在そのものを作る糧になると言うのなら私は私の語れる範囲で語ろう。

 私の体験したVライバーという世界に新たな夢を見た時のその話を。

 私がその存在を知ったのは動画広告のPRである。なんていう事はない。理由は単純である。
 書籍でVライバーという存在に興味を持ち、実際にその体験を話に私が抱いた理想の物語を作ろうとしたからである。

 概念としてはそれは半分成功した。残り半分は理想と現実のギャップの失敗談であり、私自身がVライバーという存在の虜になった事である。まさに木乃伊取りが木乃伊になって帰ってきたのである。
 私の体験した世界は美しくも残酷であったが、先程も言ったが、私はいつだって残される側である。

 私に残されたのは電脳世界の楽しかった記憶と最後は唯一の個として去って行く存在を見送る事である。

 先に断っておくが、これは私の体験談であり、特定の誰かの存在を公にするつもりはない。
 あくまでも私が個人的に配信を通じて体験し、私が感じた事を話したいと思う。

 物語は私の体験であり、それに関係したり、想定がされないように関わってきた人物などは敢えて明言したりなどはする気もない。
 去って行った人物も残された人物もただ、先へと進んで行くのみである。
 私がここで振り返ったのは、ここが人生の折り返しであるが故の──恐らくだが、天命だったのだろう。

 とある読者から言われた続きを読みたいと言われたから、私は再び筆を取った。ただ、それだけである。

 故に1人でも読者がいるのであるのならば、私は綴ろうと思い、再び戻って来たのである。
 私はいつだって世界の傍観者である。今回もたまたま、そうなっただけ。
 観測履歴に興味を持った人間からこそ、私は私の存在証明をし、ここに記す。再び、誰かが私の作品を見て心動かされ、続きを読みたいと思うならばと思い、私は私が存在した事を証明するのみである。
 いまも昔も自分の存在から自分の物語を探求するのが私である。そこはいまでも変わらない軸線である。

 媚びず、自身を偽らないからこそ、到達した私にのみが出来る物語を再び紡ぐ為に……。

 その先に誰が存在し、何に到達するかは定かではないが、少なくとも私がこうやって筆を取るのは一つの節目なのは間違いない。

 長々と語っしまったが、中身は変わらない。
 人生の折り返しで味を失ったガムを味わうようにこの私が紡いだ記録を読んで欲しい。ただ、それだけが私に赦された贖罪方法だっただけの事である。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

処理中です...