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第一章⓪ 『遺書編』
第一章⓪-6 『三種類だけって本当ですか?』
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ポーテンに帰り着き、2人に早速ユニフォームが渡された。元々ユニフォームは予備を二着用意していたらしくすぐに着ることができた。緑の帽子に真っ白なシャツ。パンツは黒でその上から緑のエプロンという、パン屋でよく見かけるようなありきたりなユニフォームだった。さっそく着てみることにした。
「どうですか?似合ってますかね」
少し照れ臭そうな表情を浮かべパチパチと瞬きをする美少女。先ほどまでの部屋着とは違う恰好に俺は圧倒された。
「ものすごく似合ってると思うよ!」
フラッカは顔のこわばりが少しゆるくなり笑みを浮かべた。
「ナイユフもものすごく似合ってますよ!」
「じゃー二人とも、まずは手を洗ってこい。それが終わったらエリに色々教えてもらえ。俺は下準備とかしてくるから」
「「はい!」」
そう言われ2人は丁寧に手を洗い流しエリがいるカウンターに向かった。
「エリさん手洗ってきました!」
「はいよっ、じゃー二人には今日からここで働いてもらうわけだけど――君達にはまずは店員をしてもらおう!所謂ホールスタッフってやつだよ!」
「パンを運んだりしたらいいんですね!」
「まあ、それもあるね。ほかにもたくさんあるからみっちり教えていくよ!」
「「お願いします!!」」
「まずはこのパン屋について教えよう。このパン屋は回転率を重視することによって売り上げを伸ばしているんだ。だからここで売ってパンはたったの3種類!」
「「さ、三種類!?」」
「そうだとも!」
「た、たった三種類で売り上げあるんですか」
「もちろんバカ売れだよ!ちなみに『食パン・クロワッサン・カレーパン』のこの三つのみだ」
「やはりメロンパンはないんですね」
「メロンパン?それってもしかして地球にあるパンのこと?」
「そうです!クッキー生地でできていてとっても好きなんです!」
「ああ、それならあの人から聞いたことがあるよ」
エリさんは厨房を顎で指しながら話した。
「ジャンはメロンパンが好きじゃないから作らないのかな」
「いいや、そんなことないと思う!多分、作れないだけだと思うわ」
「人には得意不得意がありますもんね」
「それじゃ、まず2人には主に接客をしてもらおうか。接客といってもお客さんに挨拶をしたりレジを打ったりだからすぐ慣れると思うよ!」
あれから2週間が経過したころ。俺らはパンを作ること以外はほぼ完璧に仕事をこなせるようになった。注文も取れる、会計もできる、多少のクレーマーはジャンに頼りながらもちゃんと処理できるようになった。
カンカン照りで燃えてしまいそうなほど暑い、そんなある日の休日のこと。俺とフラッカはエリさんに頼まれ買い物に来ていた。
「小麦よし、塩よし、砂糖よし、スパイスよしっと。これで全部だよな」
「はい!重たそうですけど大丈夫ですか?私も少し持ちましょうか?」
「いいよ平気平気!部活をしてなかった貧弱な俺でもジャンに鍛えられてるからな!」
「確かにジャンさんは鬼ですよね」
「最初はきつかったけどもう慣れっこだよ。ただ……このままでいいのかは正直俺にはわからない」
最後に果物屋さんでリンゴを買おうと覗き込んだその時。とんでもない速さで何かが俺の後ろの道に飛んできた。
「なんだ!何が飛んできたんだ!」
「うぅ、俺の負けだ……」
なんと、そこに飛んできたのは体格のいい一人の男だったのだ。
――ひ、人!?
そして飛んできた男に一人の青年らしき人物が近寄って来た。
「これで俺の勝ちだ!5万キンツさっさとよこせ!」
――げっ、このギラっギラとした声――あいつだ。
「こ……これに5万はいってる……」
ズタボロになった男は金を渡し、片足を引きずりながらその場を去った。
「ナイユフ?どうなされたのですか」
俺の顔色の悪さに気づいたフラッカが心配してきた。
「やばい。あいつとは関わりたくねぇんだよ、さっさと帰ろうぜ」
しかし、もう遅かった。その男はこちらに気づき歩いてきた。
「おう、おめーは確か銭湯であったことあるな」
「いえ、人違いです」
「えっ、人違いか?ってんなわけねぇだろ。んで、隣のやつはー?」
そう言い、カマチがフラッカの顔を覗き込んだ。すると何かに驚き大声を出した。
「おめーは!あん時のメロンパン女じゃねぇか!!」
「めめ、メロンパン女ですって!?いったい誰が私がメロンパンを好きなことを漏らしたのですか!もしかしてナイユフですか」
フラッカは俺の胸ぐらを非力ながらも掴み、問いただす。
「いやいや、言ってないからな!そもそも人に言う事でもないし」
「おい、メロンパン女!忘れたなんて言わせねーぞ!お前はあの『剣豪戦線』を唯一クリアし、そしてさらには唯一俺との勝負で勝ちやがった女!しかも、メロンパンを大量におごらされた!」
「そうなのか?」
「ああ、えっとーどうでしたかね。えへへへ」
どうやら思い当たる節があるらしい。
「そんな剣豪のお前に一つ質問がある、ずっと疑問を持っていた。プレイヤーのみんな、もちろん俺も含めてだ。お前はなぜラスボスを倒した後にもらった貴重な『フォールソード』を売っぱらっちまったんだ?だっておかしいだろ。フォールソードはあのゲームをしていたら必ず手に入れたい最高峰の代物らしいじゃねーか。普通の奴なら売るなんて血迷ったことはしねーだろうよ」
どうやらその剣豪なんちゃらというゲームで二人は一度出会ったことがあるらしい。
「ああ、それはですね、もうあのゲームが飽きてしまったのと新しいゲーム機とゲームソフトを買いたかったのでそれに使おうかと。ほら、今はリアルマネーに変えれるじゃないですか」
「なん……だと……」
脳筋とはいえ、どうやらかなり驚いているようだ。
「メロンパン女、おめー……。やっぱりお前じゃなきゃダメなんだ。どうか、俺を弟子にしてくれ!頼む!」
カマチは突然、頭を地面につけて土下座をした。それはそれは綺麗な土下座だった。
「ちょ、ちょっと顔をあげてくださいよ!私は弟子なんて取りませんし、人前ですのでやめてください!」
「じゃどうしたらいいんだ!お前みたいに感覚がバグってる奴はそうそういやしねぇ。この先もお前みたいなやつに会えるかわからねぇ!頼む!」
「わ、わかりましたからとりあえず顔を上げてください!」
「そうだよカマチ。ここで話すのもあれだからポーテンで話そうか」
変な空気のまま三人でポーテンへ向かった。
そして俺ら三人は四人掛けのテーブルに腰を掛けた。
「お前この世界じゃフラッカって言うのか。おっと、師匠にはまだ名乗ってなかったな。俺の名前はカマチだよろしくな、師匠」
「師匠!?ま、それはとりあえずおいといて。じゃ、カマチって呼びますね!そして彼がナイユフです」
「どうも」
「そういや、ナイユフにはあの時は俺の名前を言って終わっちまったもんな。まさか、2人が知り合いだったとはな。あの時のことはお互い水に流そうぜ。銭湯だけにな」
別にうまくもなんともないだろ今の。
「ところでなぜ私の弟子になりたいんですか。そう言えばカマチはメロンパンを奢ってくださったときもそのようなお話をされていましたよね」
「そうだったな。すっかり忘れてた。なぜって俺はお前みたいに強くなりたいからだ」
「私が強くなれたのはあれゲームだったからですよ」
「ゲームでも何でもいい。俺に素手で勝ったやつはフラッカ、お前が初めてなんだ」
「素手?でも2人がしていたゲームって剣豪なんちゃらだろ?剣はどこ行ったよ」
「それはだな、俺が剣を使わずに戦いに挑んだからだ」
「剣使わないってどういうことだよ。そもそもなんで2人が戦うことになったんだ?RPGなんだろ?プレイヤー同士が戦うなんてことがあるのか?」
「それ自体はなんら不思議なことではないんですよ」
「俺はとんでもなく強い女剣士がいるって聞いたから戦いを挑んだまでよ。俺が剣を使わない理由は二つ。一つ、剣を扱うことが出来ないから。二つ、男は拳だろうよ!」
「なるほど、いたってシンプルだな」
脳筋とはいえ、ちゃんとした理由があることに俺は少し驚いた。
「あのゲーム始めたのも合法でかつプレイヤー同士が戦っても問題ないって理由だけだしな」
「格闘ゲームとかあるだろ。なんでそっちじゃないんだ」
「格闘ゲームなら、すべて制覇した。つまるところ俺は拳相手なら無敵ってわけよ」
最強剣士に最強の拳使いか。
「そういえば、カマチはここが現実世界のどこかってわかっているのか?」
「それゃ、もちろんな」
「カマチはどうやってここに来たのか覚えていますか?」
「それがよ、いつの間にかこの世界で暮らしていたんだ。地球にいたころの記憶はほとんど思い出せねえんだ。親の名前、どこに住んでいたのか。そして、自分の名前もだ」
「自分の名前も……。」
「ああ、覚えているのは自分が日本人だってことくらいだな」
「ところでお前それ、なんで椅子に正座で座ってんだよ」
「え?」
このとき三人はまだ、自分たちに訪れる苦難を知る由もなかった……。
[後書き]
最後まで読んで頂きありがとうございます。
作中では少ししか触れられていませんが、カマチについて話したいと思います。
カマチは幼少期から暴れん坊で、喧嘩が絶えませんでした。それを見兼ねた父はある日カマチにVRMMOをプレゼントしました。VRの世界では相手をケガさせる心配はありませんし、法律を破ることもないからです。最初は格闘ゲームをしていました、カマチはだんだん強くなっていき最終的にゲーム内でトップレベルのプレイヤーにまで成長しました。それから色々な格闘ゲームでトップになっては次の格闘ゲームへという形で続けていましたが彼はとうとう格闘ゲームをやりつくしてしまいました。暇になった彼は遂に別ジャンルのゲームを始めたのです。それが作中で登場した「剣豪戦線」でした。そこで彼は剣で戦おうとしますがしっくりいかずに、最初に手に入れた剣は放棄し素手での戦いに挑むことを決意しました。
今回はここらへんで失礼いたします。
次回の投稿予定日は1月2日(日)です。
「どうですか?似合ってますかね」
少し照れ臭そうな表情を浮かべパチパチと瞬きをする美少女。先ほどまでの部屋着とは違う恰好に俺は圧倒された。
「ものすごく似合ってると思うよ!」
フラッカは顔のこわばりが少しゆるくなり笑みを浮かべた。
「ナイユフもものすごく似合ってますよ!」
「じゃー二人とも、まずは手を洗ってこい。それが終わったらエリに色々教えてもらえ。俺は下準備とかしてくるから」
「「はい!」」
そう言われ2人は丁寧に手を洗い流しエリがいるカウンターに向かった。
「エリさん手洗ってきました!」
「はいよっ、じゃー二人には今日からここで働いてもらうわけだけど――君達にはまずは店員をしてもらおう!所謂ホールスタッフってやつだよ!」
「パンを運んだりしたらいいんですね!」
「まあ、それもあるね。ほかにもたくさんあるからみっちり教えていくよ!」
「「お願いします!!」」
「まずはこのパン屋について教えよう。このパン屋は回転率を重視することによって売り上げを伸ばしているんだ。だからここで売ってパンはたったの3種類!」
「「さ、三種類!?」」
「そうだとも!」
「た、たった三種類で売り上げあるんですか」
「もちろんバカ売れだよ!ちなみに『食パン・クロワッサン・カレーパン』のこの三つのみだ」
「やはりメロンパンはないんですね」
「メロンパン?それってもしかして地球にあるパンのこと?」
「そうです!クッキー生地でできていてとっても好きなんです!」
「ああ、それならあの人から聞いたことがあるよ」
エリさんは厨房を顎で指しながら話した。
「ジャンはメロンパンが好きじゃないから作らないのかな」
「いいや、そんなことないと思う!多分、作れないだけだと思うわ」
「人には得意不得意がありますもんね」
「それじゃ、まず2人には主に接客をしてもらおうか。接客といってもお客さんに挨拶をしたりレジを打ったりだからすぐ慣れると思うよ!」
あれから2週間が経過したころ。俺らはパンを作ること以外はほぼ完璧に仕事をこなせるようになった。注文も取れる、会計もできる、多少のクレーマーはジャンに頼りながらもちゃんと処理できるようになった。
カンカン照りで燃えてしまいそうなほど暑い、そんなある日の休日のこと。俺とフラッカはエリさんに頼まれ買い物に来ていた。
「小麦よし、塩よし、砂糖よし、スパイスよしっと。これで全部だよな」
「はい!重たそうですけど大丈夫ですか?私も少し持ちましょうか?」
「いいよ平気平気!部活をしてなかった貧弱な俺でもジャンに鍛えられてるからな!」
「確かにジャンさんは鬼ですよね」
「最初はきつかったけどもう慣れっこだよ。ただ……このままでいいのかは正直俺にはわからない」
最後に果物屋さんでリンゴを買おうと覗き込んだその時。とんでもない速さで何かが俺の後ろの道に飛んできた。
「なんだ!何が飛んできたんだ!」
「うぅ、俺の負けだ……」
なんと、そこに飛んできたのは体格のいい一人の男だったのだ。
――ひ、人!?
そして飛んできた男に一人の青年らしき人物が近寄って来た。
「これで俺の勝ちだ!5万キンツさっさとよこせ!」
――げっ、このギラっギラとした声――あいつだ。
「こ……これに5万はいってる……」
ズタボロになった男は金を渡し、片足を引きずりながらその場を去った。
「ナイユフ?どうなされたのですか」
俺の顔色の悪さに気づいたフラッカが心配してきた。
「やばい。あいつとは関わりたくねぇんだよ、さっさと帰ろうぜ」
しかし、もう遅かった。その男はこちらに気づき歩いてきた。
「おう、おめーは確か銭湯であったことあるな」
「いえ、人違いです」
「えっ、人違いか?ってんなわけねぇだろ。んで、隣のやつはー?」
そう言い、カマチがフラッカの顔を覗き込んだ。すると何かに驚き大声を出した。
「おめーは!あん時のメロンパン女じゃねぇか!!」
「めめ、メロンパン女ですって!?いったい誰が私がメロンパンを好きなことを漏らしたのですか!もしかしてナイユフですか」
フラッカは俺の胸ぐらを非力ながらも掴み、問いただす。
「いやいや、言ってないからな!そもそも人に言う事でもないし」
「おい、メロンパン女!忘れたなんて言わせねーぞ!お前はあの『剣豪戦線』を唯一クリアし、そしてさらには唯一俺との勝負で勝ちやがった女!しかも、メロンパンを大量におごらされた!」
「そうなのか?」
「ああ、えっとーどうでしたかね。えへへへ」
どうやら思い当たる節があるらしい。
「そんな剣豪のお前に一つ質問がある、ずっと疑問を持っていた。プレイヤーのみんな、もちろん俺も含めてだ。お前はなぜラスボスを倒した後にもらった貴重な『フォールソード』を売っぱらっちまったんだ?だっておかしいだろ。フォールソードはあのゲームをしていたら必ず手に入れたい最高峰の代物らしいじゃねーか。普通の奴なら売るなんて血迷ったことはしねーだろうよ」
どうやらその剣豪なんちゃらというゲームで二人は一度出会ったことがあるらしい。
「ああ、それはですね、もうあのゲームが飽きてしまったのと新しいゲーム機とゲームソフトを買いたかったのでそれに使おうかと。ほら、今はリアルマネーに変えれるじゃないですか」
「なん……だと……」
脳筋とはいえ、どうやらかなり驚いているようだ。
「メロンパン女、おめー……。やっぱりお前じゃなきゃダメなんだ。どうか、俺を弟子にしてくれ!頼む!」
カマチは突然、頭を地面につけて土下座をした。それはそれは綺麗な土下座だった。
「ちょ、ちょっと顔をあげてくださいよ!私は弟子なんて取りませんし、人前ですのでやめてください!」
「じゃどうしたらいいんだ!お前みたいに感覚がバグってる奴はそうそういやしねぇ。この先もお前みたいなやつに会えるかわからねぇ!頼む!」
「わ、わかりましたからとりあえず顔を上げてください!」
「そうだよカマチ。ここで話すのもあれだからポーテンで話そうか」
変な空気のまま三人でポーテンへ向かった。
そして俺ら三人は四人掛けのテーブルに腰を掛けた。
「お前この世界じゃフラッカって言うのか。おっと、師匠にはまだ名乗ってなかったな。俺の名前はカマチだよろしくな、師匠」
「師匠!?ま、それはとりあえずおいといて。じゃ、カマチって呼びますね!そして彼がナイユフです」
「どうも」
「そういや、ナイユフにはあの時は俺の名前を言って終わっちまったもんな。まさか、2人が知り合いだったとはな。あの時のことはお互い水に流そうぜ。銭湯だけにな」
別にうまくもなんともないだろ今の。
「ところでなぜ私の弟子になりたいんですか。そう言えばカマチはメロンパンを奢ってくださったときもそのようなお話をされていましたよね」
「そうだったな。すっかり忘れてた。なぜって俺はお前みたいに強くなりたいからだ」
「私が強くなれたのはあれゲームだったからですよ」
「ゲームでも何でもいい。俺に素手で勝ったやつはフラッカ、お前が初めてなんだ」
「素手?でも2人がしていたゲームって剣豪なんちゃらだろ?剣はどこ行ったよ」
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「剣使わないってどういうことだよ。そもそもなんで2人が戦うことになったんだ?RPGなんだろ?プレイヤー同士が戦うなんてことがあるのか?」
「それ自体はなんら不思議なことではないんですよ」
「俺はとんでもなく強い女剣士がいるって聞いたから戦いを挑んだまでよ。俺が剣を使わない理由は二つ。一つ、剣を扱うことが出来ないから。二つ、男は拳だろうよ!」
「なるほど、いたってシンプルだな」
脳筋とはいえ、ちゃんとした理由があることに俺は少し驚いた。
「あのゲーム始めたのも合法でかつプレイヤー同士が戦っても問題ないって理由だけだしな」
「格闘ゲームとかあるだろ。なんでそっちじゃないんだ」
「格闘ゲームなら、すべて制覇した。つまるところ俺は拳相手なら無敵ってわけよ」
最強剣士に最強の拳使いか。
「そういえば、カマチはここが現実世界のどこかってわかっているのか?」
「それゃ、もちろんな」
「カマチはどうやってここに来たのか覚えていますか?」
「それがよ、いつの間にかこの世界で暮らしていたんだ。地球にいたころの記憶はほとんど思い出せねえんだ。親の名前、どこに住んでいたのか。そして、自分の名前もだ」
「自分の名前も……。」
「ああ、覚えているのは自分が日本人だってことくらいだな」
「ところでお前それ、なんで椅子に正座で座ってんだよ」
「え?」
このとき三人はまだ、自分たちに訪れる苦難を知る由もなかった……。
[後書き]
最後まで読んで頂きありがとうございます。
作中では少ししか触れられていませんが、カマチについて話したいと思います。
カマチは幼少期から暴れん坊で、喧嘩が絶えませんでした。それを見兼ねた父はある日カマチにVRMMOをプレゼントしました。VRの世界では相手をケガさせる心配はありませんし、法律を破ることもないからです。最初は格闘ゲームをしていました、カマチはだんだん強くなっていき最終的にゲーム内でトップレベルのプレイヤーにまで成長しました。それから色々な格闘ゲームでトップになっては次の格闘ゲームへという形で続けていましたが彼はとうとう格闘ゲームをやりつくしてしまいました。暇になった彼は遂に別ジャンルのゲームを始めたのです。それが作中で登場した「剣豪戦線」でした。そこで彼は剣で戦おうとしますがしっくりいかずに、最初に手に入れた剣は放棄し素手での戦いに挑むことを決意しました。
今回はここらへんで失礼いたします。
次回の投稿予定日は1月2日(日)です。
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