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後編
その後すぐに婚約を交わした。
ヴァレンゾ様のご両親にご挨拶に伺った時、お義母様の歓待に喜びで胸が震え、お義父様とのご挨拶で身体が震えた。
お義父様はヴァレンゾ様と同じくお顔は厳つかったけど、とても暖かで気さくな方だった。お酒が進むと泣き上戸なのかドバドバ泣きながら喜びを私に沢山伝えてくれた。
婚約して11カ月後に式を挙げた。
まぁその、中途半端に式を上げる事になったのは私達の愛がその、結晶になったって分かったから。
お父様は複雑そうだったけど、お母様とお義母様はニッコニコ。お義父様は号泣していた。…涙脆いのかしら。
お互いの両親に祝福され、友人達に冷やかされて周囲も私も皆笑顔。きっとこういう時に幸せって強く感じるんだわ。
「ヴァレンゾ。貴方に逢えて、こうして夫婦になれて本当に幸せ!」
「それは俺の台詞だよ。これからは夫婦になるが今までよりももっと沢山の幸せを一緒に育もう」
式を迎える頃には心の中だけで呟くだけだった素の私を見せても可愛いと受け止めてくれ、その頃にはヴァレンゾも同じ様に素をさらして寄り添ってくれた。
毎日お父様の隣で仕事を学び、他愛のない話をし、何もなくとも花を贈ってくれる。小さい頃に夢に見たお父様とお母様の様に毎日少しづつ夫婦を私達なりに作っていってるのだ。
お腹もだんだんと目立つ様になり新しく家族が増える日が楽しみで仕方がない。
「おい!グラツィアがいるだろう?話があるんだ。合わせてくれ!アルヴィオが来たと言えば分かるはず。早く取り次いでくれ!」
「貴様…!平民がレピエトラ侯爵夫人を呼び捨てとは気でも狂っているのか!今ここで斬り伏せられてもおかしくはないのだぞ、2度は言わん。早々に立ち去れ!!」
「夫人?どういう事だ?とにかく早く、いっ!無礼な離せ!私は第3王子だぞ!」
「第3王子など嘘を吐くな!忠告はしたぞ…!」
門前が騒がしかったが何者かが走り去る様な音がし、静かになった。
「お嬢様お手紙が来ております」
「あら、ふふふ、私は愛する旦那様を迎えて夫人になったのよ?」
「おや、これは失礼を。私にとってはいつまでも可愛らしお嬢様のままでしたのでつい」
くすくす笑いながら手紙を受け取る。
親愛なるグラツィアへ
毎日気持ちの良い日が続いて喜ばしいわね。旦那様とは…聞くまでもないわね。
お腹の赤ちゃんはどうかしら?貴女が腕に抱いて紹介してくれる日が待ち遠しいわ!
そうそう、もうすでにグラツィアの耳に届いてるのかもしれないけど、騒ぎを起こしてから姿を見せていなかった第3王子の処分が発表されたようよ。
何でも継承権と身分の剥奪だそうよ。王命で定められた婚約を無視し、己の振る舞いを改める事をしなかった為と発表されたらしいわ。側妃はその事を受けてショックで儚くなられたそうよ。
ああ、そういえば覚えてるかしら?色々な男性と仲良くなってたあの子。
あの子ってばグラツィアから裁判を起こされるまで10日程かしら?通っていたのだけどちょっとびっくりしたわ。
3日程は何も変わらずいつも通りに過ごしていたみたいだけど、貴女が居なくなって止めてくれる人がいないからたっぷり他のご令嬢に現実を見せられてたようね。いなくなる前日に少し見かけたけど、男性が褒め称えてた可愛らしさは無くなってたわ。やつれて髪はバサバサに、制服は泥やら何やらで汚れていたわね。
噂だけど、それはそれは壮絶な嫌がらせを各学年の方達から受けていたそうね。
それから最近聞いた話なんだけど、グラツィアからの裁判に負けた後。すぐにあの子、メーツィオ子爵家に妾として売られてたらしいわ。知ってるわよね?1年で囲った妾の数やら顔ぶれが変わるって噂の。あの子の実家の男爵家もすぐに爵位返上して行方が分からないそうだけど。
幸せ過ぎてすっかり忘れてたわ、あの人達の事。
あ、そうだと手紙を読む途中で顔を上げる。
「ねえ、さっき騒がしかったけど何かあったの?」
「はい。自分は第3王子だ、アルヴィオだ、言えば分かる。お嬢様と会わせろと平民が騒いでいたそうです」
「そうだったのね。誰も怪我しなかったかしら。それにしても、もう平民の方まで身分剥奪された噂が回っているのかしら。警備の方お願いね」
「かしこまりました」
言えば分かるねえ。引き合わされた日から破棄を叫ばれたあの日まで1度も名乗られた事なんて無いのに。私が知っていた元婚約者は第3王子という身分を持っていたという事だけよ。
その平民の名前がアルヴィオという名を名乗っていても、私には只の知らない平民というだけだわ。
それにしても我慢を重ねた先にこんな幸せが待っているだなんて。
今の幸せを噛みしめつつ私はまた続きを読もうと友人の手紙を読みはじめるのだった。
ヴァレンゾ様のご両親にご挨拶に伺った時、お義母様の歓待に喜びで胸が震え、お義父様とのご挨拶で身体が震えた。
お義父様はヴァレンゾ様と同じくお顔は厳つかったけど、とても暖かで気さくな方だった。お酒が進むと泣き上戸なのかドバドバ泣きながら喜びを私に沢山伝えてくれた。
婚約して11カ月後に式を挙げた。
まぁその、中途半端に式を上げる事になったのは私達の愛がその、結晶になったって分かったから。
お父様は複雑そうだったけど、お母様とお義母様はニッコニコ。お義父様は号泣していた。…涙脆いのかしら。
お互いの両親に祝福され、友人達に冷やかされて周囲も私も皆笑顔。きっとこういう時に幸せって強く感じるんだわ。
「ヴァレンゾ。貴方に逢えて、こうして夫婦になれて本当に幸せ!」
「それは俺の台詞だよ。これからは夫婦になるが今までよりももっと沢山の幸せを一緒に育もう」
式を迎える頃には心の中だけで呟くだけだった素の私を見せても可愛いと受け止めてくれ、その頃にはヴァレンゾも同じ様に素をさらして寄り添ってくれた。
毎日お父様の隣で仕事を学び、他愛のない話をし、何もなくとも花を贈ってくれる。小さい頃に夢に見たお父様とお母様の様に毎日少しづつ夫婦を私達なりに作っていってるのだ。
お腹もだんだんと目立つ様になり新しく家族が増える日が楽しみで仕方がない。
「おい!グラツィアがいるだろう?話があるんだ。合わせてくれ!アルヴィオが来たと言えば分かるはず。早く取り次いでくれ!」
「貴様…!平民がレピエトラ侯爵夫人を呼び捨てとは気でも狂っているのか!今ここで斬り伏せられてもおかしくはないのだぞ、2度は言わん。早々に立ち去れ!!」
「夫人?どういう事だ?とにかく早く、いっ!無礼な離せ!私は第3王子だぞ!」
「第3王子など嘘を吐くな!忠告はしたぞ…!」
門前が騒がしかったが何者かが走り去る様な音がし、静かになった。
「お嬢様お手紙が来ております」
「あら、ふふふ、私は愛する旦那様を迎えて夫人になったのよ?」
「おや、これは失礼を。私にとってはいつまでも可愛らしお嬢様のままでしたのでつい」
くすくす笑いながら手紙を受け取る。
親愛なるグラツィアへ
毎日気持ちの良い日が続いて喜ばしいわね。旦那様とは…聞くまでもないわね。
お腹の赤ちゃんはどうかしら?貴女が腕に抱いて紹介してくれる日が待ち遠しいわ!
そうそう、もうすでにグラツィアの耳に届いてるのかもしれないけど、騒ぎを起こしてから姿を見せていなかった第3王子の処分が発表されたようよ。
何でも継承権と身分の剥奪だそうよ。王命で定められた婚約を無視し、己の振る舞いを改める事をしなかった為と発表されたらしいわ。側妃はその事を受けてショックで儚くなられたそうよ。
ああ、そういえば覚えてるかしら?色々な男性と仲良くなってたあの子。
あの子ってばグラツィアから裁判を起こされるまで10日程かしら?通っていたのだけどちょっとびっくりしたわ。
3日程は何も変わらずいつも通りに過ごしていたみたいだけど、貴女が居なくなって止めてくれる人がいないからたっぷり他のご令嬢に現実を見せられてたようね。いなくなる前日に少し見かけたけど、男性が褒め称えてた可愛らしさは無くなってたわ。やつれて髪はバサバサに、制服は泥やら何やらで汚れていたわね。
噂だけど、それはそれは壮絶な嫌がらせを各学年の方達から受けていたそうね。
それから最近聞いた話なんだけど、グラツィアからの裁判に負けた後。すぐにあの子、メーツィオ子爵家に妾として売られてたらしいわ。知ってるわよね?1年で囲った妾の数やら顔ぶれが変わるって噂の。あの子の実家の男爵家もすぐに爵位返上して行方が分からないそうだけど。
幸せ過ぎてすっかり忘れてたわ、あの人達の事。
あ、そうだと手紙を読む途中で顔を上げる。
「ねえ、さっき騒がしかったけど何かあったの?」
「はい。自分は第3王子だ、アルヴィオだ、言えば分かる。お嬢様と会わせろと平民が騒いでいたそうです」
「そうだったのね。誰も怪我しなかったかしら。それにしても、もう平民の方まで身分剥奪された噂が回っているのかしら。警備の方お願いね」
「かしこまりました」
言えば分かるねえ。引き合わされた日から破棄を叫ばれたあの日まで1度も名乗られた事なんて無いのに。私が知っていた元婚約者は第3王子という身分を持っていたという事だけよ。
その平民の名前がアルヴィオという名を名乗っていても、私には只の知らない平民というだけだわ。
それにしても我慢を重ねた先にこんな幸せが待っているだなんて。
今の幸せを噛みしめつつ私はまた続きを読もうと友人の手紙を読みはじめるのだった。
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お話しはテンプレな感じでしたが、
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って所が良かったです。
感想ありがとうございます(*^^*)
読んでくださって嬉しいです!
ヴァレンゾ様、かわいいいい! 辺境伯家族はこうでなくっちゃ。
平民落ち王子は、まあ、がんばれ。
すごい面白かったです! やっぱり、文章の緩急とかリズムがいいと読みやすいなあと思いました。
感想ありがとう御座います!
ストレスなく楽しんでいただいて嬉しいです(*^^*)ヤッタゼー
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ハマりすぎて、大爆笑しながらもサラっと読めました 楽しかったですし、テンポの良い文書が好きです ありがとうございます!
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