AFTER DEAD「最後の帰路」

ハンドアイランド

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終わりのための旅

もう一人の自衛隊

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「ところで、谷風さん」

上泉が谷風に問う。

「あなたはこの街に、何の用で来られたんですか?」

「私ですか!」

谷風は胸を張り、即答した。

「人助けが趣味でして!」

「やつらが動かなくなったでしょう?
  なので、生存者を探しつつって感じです!」

誇らしげに答えた。

「ちなみに私は自衛隊です!」

――自衛隊。
あの男と、同じだ。

だが、谷風の雰囲気はまるで違う。
同じ組織の人間でも、こうも違うのか。

「取り敢えず」

「この街にはまだ武装集団がいる可能性が高いでしょう」

全員の表情が険しくなる。

夜の見張りの強化。
街に出る際は、必ず複数で。


俺と少女、そして上泉夫妻。
そこに、谷風と林が加わった。

人数が増えた分、今日の食材が足りない。

話し合いの結果、俺と少女、そして谷風で食料回収を再度行うことにした。
谷風が、このメンバーで行くことを望んだ。
先程の件があったので、俺と少女との信頼関係を築きたいとのことだった。

この大男が一緒なのは、かなり心強い。

「では、行きましょう!!」

谷風が張り切って先頭を歩く。
背中がでかい。

少女はまだ少し警戒をしているので、俺の後ろに隠れるようにして進む。

「二人とも疲れていると思うので、荷物は私が持つますね!」

そう言って、自慢げに力こぶを見せてきた。
確かに、凄い筋肉だ。

必要な分の食料を回収し、帰路につく。
ほぼほぼ全ての荷物を谷風が背負ってくれた。

帰り道、少し警戒が解けてきた少女が谷風に話しかけた。

「おじさんは、ヒーローなの?」

前を歩いていた谷風の足がピタリと止まる。
そして満面の笑みで振り返る。

「そうだよ!
  おじさんは、ヒーローだ!!」

一段と声量が大きかった。

「実はね、私にも君くらいの娘がいてね」

「その子が、友達に言っていたらしいんだ、
 “うちのお父さんは、ヒーローなんだぞ”って!」

誇らしげに胸を張る谷風。

それを聞いて、少女の目が輝いた。
同じくらいの歳の女の子がいる。
そのことに、興味を持ったようだった。

「そうなんだ!
  私、友達ってできたことがなくて、、、」

この世界で大半を生きてきた少女だ。
友達という存在は、いなくて当然だろう。

「その子はどこにいるの?」

少女が谷風に問う。

――あ、
と、俺は内心で声を漏らした。

ここにその娘がいないということは、多分そういうことだろう。
空気が沈んだのがわかった。

谷風が口を開く。

「私はヒーローだからね」

「娘だけを、特別扱いするわけにはいかなかったんだよ」

その言葉の意味がわからず、きょとんとする少女。

俺も意味がわからなかったが、触れていけないと思い話題を変えた。

「ちなみに、谷風さん」

「自衛隊の生き残りの方たちで、連絡とかって取ってるんですか?」

谷風がこちらを見る。

もちろん、あの自衛隊の男との繋がりがあるのかを確認したかったからだ。
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