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8 ダルメール王国のその後
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「騎士団長、報告を聞こうか?」
「はっ!ダルメール王国を調査した結果、驚くべきことが分かりました!」
「続けろ」
「まず、ダルメール王国では王族による圧政と散財により、国力が低下、民は重税に苦しみ、餓死者も出ていたとのことです。王族に逆らうものは身分を問わずことごとく処刑されており、恐怖によって国を支配していた模様。今回、アレクサンドル様の王宮襲撃に、民や心ある貴族からは賞賛の声が届いております」
「ふんっ、想像以上の屑どもだな。」
「お陰でアレクサンドル様の理不尽な行動が勝手に美化されてラッキーでしたね?」
「うるさい、ゲイン。それで?王族は今どこにいる?」
「はっ!王宮の地下牢にまとめて放り込んでおります。王と王妃が産んだ3人の姫たちしかいないのが妙でしたが、ダルメール王は男児が産まれると母親ごとすぐに殺していたそうです。」
「なぜだ?大事な跡取りではないのか?」
「自分の王位を揺るがす存在という認識なのでしょうね」
ゲインが溜め息をつく。
「愚かな……永遠に生きられるものなど、ないというのに」
「ダルメール王は好色な王としても有名で、後宮には100人近い女奴隷がいました。他国から無理やり攫われてきた見目麗しい娘が多いようです。サリーナ様の母君も元は攫われてきた後宮の奴隷で、サリーナ様を産んだことで側妃の身分を与えられたとのこと。」
「王妃は?」
「すでに処刑されておりました。おそらく男児を産んだときに処刑されたのでしょう」
「狂ってるな……」
「その他の姫たちはすでに国外に嫁いでおります。サリーナ様と同じ様に見目麗しい女奴隷から生まれた女児に一応姫としての身分を与え、結納金を取れるだけ取ってから嫁がせるのがあの国の常套手段だったようです。」
「サリーナだけではなかったということか。娘を売った金で贅沢三昧とは……」
「実態は王のお気に入りである三人の姫しか王族としての待遇を受けておらず、奴隷のような酷い扱いだったようで……サリーナ様も、王族としての教育はおろか、食事も満足に与えられていなかったと報告を受けました」
「もういい。ご苦労だった」
「はっ」
「騎士団の中から身元の確かな者を数名選び、交代でサリーナの護衛にあたらしてくれ。」
「後宮での護衛ならば、女性騎士を派遣いたしましょうか?」
「そうだな。なるべく穏やかで優しい性格の騎士を派遣してやってくれ」
報告を終えた騎士団長が部屋を出て行くと、
「ゲイン、事後処理を頼む。ダルメール王国の国庫を開き、まずは飢えた民衆に食糧を与えろ。我が国からも医師団の派遣と食糧支援を行うように。必要なら技術支援も行え。当分の間税は課さずに国力の回復に努めろ」
「王族はどういたしますか?」
「一般公開で裁判を行う。王族をどうしたいか、ダルメールの民衆の手に委ねるがいい」
「それはそれは……一番厳しい結果になりそうですね」
「身からでたサビだな。民たちが正しく裁きを下すだろう」
「ところでアレクサンドル様」
「なんだ?」
「メイド長から、アレクサンドル様がサリーナ様に破廉恥な行いを強要していると苦情がきておりますが?」
「そんなことはない」
「メイド服を手配されたとか?」
「サリーナが欲しがっただけだ」
「ちなみに本日はどこでお休みになる予定ですか?」
「……サリーナに夜、顔を出すと約束した」
「もうあんた明日にでも結婚したらどうですか?」
「考えておく……」
◇◇◇
「サリーナ様、どこか痛いところ、辛いところはございますか?」
後宮に派遣された侍医は元は王妃の主治医であり、優しい雰囲気の女性医師だった。
「いいえ、エレン先生。」
「持病は無さそうですが、お体が大分弱っているようです。しっかりした休養が必要ですわ。体調管理のための食事メニューをお作りしますね。好きなもの、逆に食べられないものはございますか?」
「ここのハーレムのお食事はどれもとても、美味しいです。たくさん食べることが出来なくて申し訳ないのですけど」
「後宮は王妃様のためだけに整えられる場所ですからね。ダルメールの味が恋しいと思ったら、サリーナ様のお好みに合わせて料理人を変えることもできます。美味しいと言っていただけて、料理長はさぞ胸を撫で下ろしたでしょうね。」
穏やかに微笑むエレンを見てサリーナはきょとんとする。
「私に合わせて?ハーレムには他にも大勢の女奴隷がいるのではないのですか?」
「ああ、ダルメールのハーレムの噂は聞いたことがございます。そのような誤解をなさるのもご無理はございませんね。ラクタスには奴隷制度はございません。先代から側妃制度もなくなりました。ラクタスの後宮は、王妃様のプライベートサロンを意味します。この後宮の主は次期王妃様たるサリーナ様お一人ですよ。」
「次期王妃?私が?」
「ええ。私は王妃様付きの主治医ですから。ご婚約を結ばれてから、サリーナ様がいらっしゃるのをいまかいまかとお待ちしておりましたよ。」
「嘘だわ……」
「どうなさったのですか?」
「アル様……アレクサンドル様は、私のことを、女奴隷としてハーレムで仕えろと仰ったのです。」
「まぁ!」
「初めてお会いしたとき、私にひどく怒ってらしたわ。だから、王妃になど、思っていらっしゃらないと思います」
「まぁ!すっかり立派になられたと思っていたのに、アレクサンドル様にも困ったものね」
「アレクサンドル様にはとても優しくして頂いてます。私は奴隷で十分幸せなのです」
「本当に、困ったこと……」
エレンが溜め息をつくのを不思議そうに見つめるサリーナだった。
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