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10 追放聖女と騎士団
◇◇◇
「これでよし!あとはこれを忘れないようにしないとね」
テレサは手早く荷造りを終えると、ハンカチに包んでいたペンダントをそっと首に掛けた。レオンから貰った石をペンダントに加工したもので、テレサにとって唯一の宝物だ。
十年間過ごした、狭くて小さな部屋を振り返る。思い出らしい思い出もないけれど、今日でお別れだと思うと少し寂しい。心を込めてお世話をしてきた馬や薬草園の管理は、馬番のおじさんや庭師のおじさんに頼んできた。テレサがいなくなっても、きっとなんとかなる──そう、思うことにした。
テレサは誰の見送りもないまま、たった一人で静かに神殿を後にした。
◇◇◇
ローレンス領までは馬車を乗り継いでも三日はかかる。途中宿屋に泊まったり、お土産を買ったりすると金貨三枚で足りるだろうかと、テレサは辻馬車の待合室の前で、頭を悩ませていた。
するとそこに、
「あれ?テレサじゃないか。こんな所でどうしたんだ?」
「カールさん!」
ほかの隊員達とともに、王国騎士団第二部隊の赤いマントをはためかせたカールが通りがかった。
あれからカールは、研鑽を積み、数多の功績を挙げて、数年前に、王国騎士団第二部隊の隊長に任命された。ただ、騎士団の仕事が忙しくなったことで、以前のように気軽に神殿に顔を出せず、テレサのことを気掛かりに思っていたのだ。
今日もようやく遠征が一段落し、これから長期休暇に入るため、久し振りにテレサに会いに行こうかなと思っていた所だった。
◇◇◇
「えっ……聖女になれなかったのか……」
「えへへへ。恥ずかしながら……」
テレサの話を聞いて、カールは何とも言えない顔をしていた。
「それで、これからどうするんだ?」
「実家に帰ろうと思います。ただ、ローレンス領までどのくらい路銀が必要になるか分からなくて……退職金代わりに頂いた、金貨三枚で足りるでしょうか?」
(金貨3枚だと?新兵の一月分の給料にも満たないぞ。十年間も無償奉仕をさせておいて……)
カールはテレサに対する神殿の対応に、腹が立って仕方がなかった。そして、少し考えた後、隊員たちに目配せをする。
「なぁテレサ、俺たちはこれからローレンス領の近くに行く予定だったんだ。良かったら一緒に行かないか?」
「えっ!?良いんですか?凄く嬉しいけど、でも、皆さんのお邪魔じゃないでしょうか……」
カールと一緒なら慣れない旅も心強いけれど、騎士団の皆さんのご迷惑にならないかなと心配するテレサ。
けれど、
「テレサちゃんが来てくれたら嬉しいな!」
「俺たちも助かるよ!」
と皆が口々に言ってくれてホッとする。
「では、よろしくお願いします」
ペコリと頭を下げるテレサ。
もちろん、ローレンス領の近くに行く用などなく、完全にカールの嘘なのだが。文句を言う者は一人もいなかった。
聖女候補の奉仕活動には、騎士団の慰問もある。けれど、ほとんどの聖女候補たちは、おざなりに訓練を見学をした後、とっとと帰ってしまう。
そんな中テレサだけは、傷を負った騎士の治療をしたり、手作りの薬を届けてくれたりしてくれたのだ。騎士団員にとって、テレサは可愛い妹分的存在だった。
「私、馬のお手入れも得意なんです!一杯お手伝いしますね!」
(他の聖女候補たちは、馬の世話なんて絶対にしないのに……)
張り切るテレサを見て、胸を痛める騎士たちなのだった。
「これでよし!あとはこれを忘れないようにしないとね」
テレサは手早く荷造りを終えると、ハンカチに包んでいたペンダントをそっと首に掛けた。レオンから貰った石をペンダントに加工したもので、テレサにとって唯一の宝物だ。
十年間過ごした、狭くて小さな部屋を振り返る。思い出らしい思い出もないけれど、今日でお別れだと思うと少し寂しい。心を込めてお世話をしてきた馬や薬草園の管理は、馬番のおじさんや庭師のおじさんに頼んできた。テレサがいなくなっても、きっとなんとかなる──そう、思うことにした。
テレサは誰の見送りもないまま、たった一人で静かに神殿を後にした。
◇◇◇
ローレンス領までは馬車を乗り継いでも三日はかかる。途中宿屋に泊まったり、お土産を買ったりすると金貨三枚で足りるだろうかと、テレサは辻馬車の待合室の前で、頭を悩ませていた。
するとそこに、
「あれ?テレサじゃないか。こんな所でどうしたんだ?」
「カールさん!」
ほかの隊員達とともに、王国騎士団第二部隊の赤いマントをはためかせたカールが通りがかった。
あれからカールは、研鑽を積み、数多の功績を挙げて、数年前に、王国騎士団第二部隊の隊長に任命された。ただ、騎士団の仕事が忙しくなったことで、以前のように気軽に神殿に顔を出せず、テレサのことを気掛かりに思っていたのだ。
今日もようやく遠征が一段落し、これから長期休暇に入るため、久し振りにテレサに会いに行こうかなと思っていた所だった。
◇◇◇
「えっ……聖女になれなかったのか……」
「えへへへ。恥ずかしながら……」
テレサの話を聞いて、カールは何とも言えない顔をしていた。
「それで、これからどうするんだ?」
「実家に帰ろうと思います。ただ、ローレンス領までどのくらい路銀が必要になるか分からなくて……退職金代わりに頂いた、金貨三枚で足りるでしょうか?」
(金貨3枚だと?新兵の一月分の給料にも満たないぞ。十年間も無償奉仕をさせておいて……)
カールはテレサに対する神殿の対応に、腹が立って仕方がなかった。そして、少し考えた後、隊員たちに目配せをする。
「なぁテレサ、俺たちはこれからローレンス領の近くに行く予定だったんだ。良かったら一緒に行かないか?」
「えっ!?良いんですか?凄く嬉しいけど、でも、皆さんのお邪魔じゃないでしょうか……」
カールと一緒なら慣れない旅も心強いけれど、騎士団の皆さんのご迷惑にならないかなと心配するテレサ。
けれど、
「テレサちゃんが来てくれたら嬉しいな!」
「俺たちも助かるよ!」
と皆が口々に言ってくれてホッとする。
「では、よろしくお願いします」
ペコリと頭を下げるテレサ。
もちろん、ローレンス領の近くに行く用などなく、完全にカールの嘘なのだが。文句を言う者は一人もいなかった。
聖女候補の奉仕活動には、騎士団の慰問もある。けれど、ほとんどの聖女候補たちは、おざなりに訓練を見学をした後、とっとと帰ってしまう。
そんな中テレサだけは、傷を負った騎士の治療をしたり、手作りの薬を届けてくれたりしてくれたのだ。騎士団員にとって、テレサは可愛い妹分的存在だった。
「私、馬のお手入れも得意なんです!一杯お手伝いしますね!」
(他の聖女候補たちは、馬の世話なんて絶対にしないのに……)
張り切るテレサを見て、胸を痛める騎士たちなのだった。
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