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それぞれのバトン
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2028年、中国某所の研究所で爆発がおきた。
その研究所では表向きは細菌の研究が行われていたが、実際は生物兵器の開発が行われており、つい先日その試作が完成していた。その生物兵器は感染し何も対処しなかった場合、人間の24時間以内の致死率98%、72時間以内の致死率100%。症状はほとんど風邪と同じ、感染者は死ぬまで自分が感染していることに気が付かない。どんな温度帯でも爆発的に増殖し大気圏突入の熱にも耐えられるというまさに最強の生物兵器だった。もちろん対応する薬やワクチンも作られていたが爆発によって焼失していた。
つまり最強の生物兵器が現状、何の対抗手段も持たない人類へと放たれたのであった。
それとほぼ同時刻、マリアナ海溝の底で探査を行っていたアメリカ海軍の潜水艦が金属製の箱を回収した。それは明らかに不自然だった。深海の水圧は1000バールで、人間1人の上にジャンボジェット航空機が50機乗った状態と同等といわれているが、その箱はそれに耐え傷一つ無い状態で回収された。内部には空洞があるようで、精密な調査の後に箱を切断することに決定された。しかし、その必要は無かった。箱を切断しようとした瞬間、箱は自動的に開いた。
箱の中身は人類に関する衝撃の事実を知らせることとなった。
3日後には全人類がこの2つについて知ることとなった。1つは中国での1億人以上の突然死と中国の国家主席による発表によって1つはアメリカ大統領の衝撃的な発表によって。
中国では異様な光景が広がっていた。研究所周辺の街や村には死体が転がり、それよりも少し離れた場所では中国軍と住民との衝突があちこちで起きていた。大量の死体を見てパニックに陥った住民は死に物狂いで離れた場所に逃げようとした。しかし、そんな住民らは軍に容赦なく射殺されていった。そして死体の波が半径50kmまで広がった時、中国政府は核兵器による研究所周辺の浄化を決定した。核兵器はそこにあったはずの人々の営みの痕跡を消し去った。しかし、ウィルスは生きていた。
中国国家主席は自国内での事態の収拾は不可能と判断し、周辺の国への避難勧告と同時に秘密裏に開発されていた生物兵器の詳細を公表した。また、対応する治療薬が研究所ごと焼失し現在感染者の治療は不可能であることなどを全て隠さずに発表した。そして最後に残された人類への謝罪と自分も既に感染者となっている可能性が高い事を告げ、中国国家主席は自殺した。
その発表の後、アメリカ大統領が更に衝撃的な発表をした。マリアナ海溝から回収された箱の存在とその中身についてだった。その箱は明らかに現在の人類が作れる物では無かったということ、そして箱の中身は我々現在の人類がたった50年程度の歴史しか持たないことと我々以前の人類は滅んでいたことを示していた。アメリカ大統領はこれらの事が事実であることが証明されたことを告げた。
それを証明したのはアメリカのイエローストーン国立公園の地下で発見された超巨大施設だった。その施設には世界中の人間のDNAとそこからクローン人間を作り出す機械や文明を再構築するための道具が全てそろっていた。そして、この施設は過去に1度起動された痕跡があった。つまり、現在の人類は全てこの施設から作り出されたということが証明された。それによって、この施設の場所を指し示した箱の中身は全て事実であるということも同時に証明された。
ウィルスは着々とその感染範囲を拡大させ逃げ遅れた人々を飲み込んでいた。また、ロシア、インド、パキスタン、北朝鮮は少しでも自国民が避難する時間を稼ごうと中国に向け大量の核兵器を打ち込んだ。これにより、中国という国は事実上消滅した。
その稼がれた時間を利用して周辺国の人々は、アメリカやヨーロッパに避難しようとした。しかし、各国はウィルスを自国に招き入れることを恐れた。アメリカに向かおうとした船は全てアメリカ海軍の原子力潜水艦に撃沈され、ヨーロッパに向かおうとした人々は無慈悲な爆撃によって殲滅された。そんな惨劇はウィルスが研究所から放たれてから僅か一週間で起きたことだった。
アメリカのイエローストーン国立公園にはウィルスの難を逃れた世界各国の科学者たちが集結し、この超巨大施設及び、装置についての解析を行った。それによって、新たに分かったことがあった。この装置は現在不安定な状態で、いつ壊れてもおかしくなく、壊れた場合の修理は不可能であるということ。そして、起動の為に全人類が滅んでいる必要があるということだった。地球全域にわたる人感センサーによって装置の起動が制限されており、全人類が滅んだときのみ起動されるよう設定されていたからだ。また、この設定は装置の中枢に組み込まれているらしく、変更や削除は不可能だった。
ウィルスが北アメリカ大陸に上陸した。原因はカナダだった。カナダはアジア諸国からの難民を受け入れていた。その難民の中に感染者がいた。カナダは感染者と接触者の処分をした。しかし、もう遅かった。カナダ東海岸側から、ウィルスは感染範囲を拡大させ始めた。アメリカは装置を守る為にカナダへの核攻撃を即座に開始した。しかし、残された時間が決して多くないことは誰の目にも明白だった。
人類に取れる手段は、もはや2つしか残されていなかった。装置を起動しクローンの人類に再興の夢を託すか、装置を起動せず我々現人類が世界の再興を試みるか。この人類最大の決断に際し、アメリカが主導する世界倫理委員会が結成された。
テレビで世界倫理委員会トップの会見が始まった。彼は会見が始まると直ぐにまくしたてた。
「マリアナ海溝から回収された箱の中身からわかったことがある。我々は我々以前の人類祖先ともよべる存在に生かされたのだ。おそらく、それ相応の犠牲をはらって。そうして生かされた我々は祖先からバトンを渡されている。人類を繋ぐ、生かすという使命を。我々現人類は繋がなければならない。次の人類へと。このバトンを。可能性のある次の者たちへと繋ぐこと、これこそが、これだけが、我々現人類に残された最後の使命である。その為に我々が滅びることなど恐れるに…」
突然テレビの向こうで爆発音が聞こえ、放送が中断された。おそらく何かが起きたということは分かったが、何が起きたのか分からず混乱していると放送が再開された。
先ほどまで世界倫理委員会のトップがスピーチをしていた場所に男は立っていた。男は無造作にマイクを掴むと、力強く語りかけ始めた。
「君たちの守りたかったものはなんだ? 本当に守るべきものはなんだ?自分たちの頭で考えるんだ。自分が守るべき世界がどんな世界なのかはっきりさせろ。」
…そう、私が本当に守りたかったのは人類なんかじゃない。家族や恋人、友人たちじゃないか。それが私にとっての世界だ。
「そして、覚悟を決めろ。我々はまだ終わっていない。我々はまだここにいる。全てを捨てる覚悟はできたか?非難を受けて背中を刺される覚悟はできたか?私はすでにできている。」
目を閉じる。そして、私も覚悟を決める。
「親愛なる君たちの多くが私の後に続くことを確信している。」
ああ、続いていくとも。私の世界の為に。
「さあ、悪を始めるぞ。」
男は最後にそう静かに告げ、その場から立ち去った。
男に続いた人々はウィルスと世界倫理委員会と戦い始めた。ドイツに世界中の技術、研究者が集結しウィルスに対抗するための研究を始めた。また、現人類を滅ぼし装置を起動しようとする世界倫理委員会による核攻撃を迎撃し、逆にウィルスに蝕まれ始めたアメリカごと核で滅却した。これにより装置は破壊され、世界倫理委員会は解散された。ウィルスは既にユーラシア大陸の半分以上を飲み込んでいた。アジア州とヨーロッパ州の境界を最終防衛ラインとし、残された核兵器、通常兵器を全て投入し浄化が行われた。
そして、死闘が報われる時が来た。ウィルスに対抗するワクチンがドイツの研究所で開発された。人類の英知が結集されたワクチンはすぐに残された全人類に接種された。
ウィルスが発生してから3カ月後、65億人の犠牲の上に、人類は最強の生物兵器に勝利したのだった。今後このような脅威が再度人類を襲った場合の対抗策が必要とされた。
そして、人類は世界政府を発足させた。
世界政府初代大統領は急ピッチで進む人類の再興を眺めながら、演説を始める。
「やあ、また会ったな悪人ども。」
世界中に声援が響き渡った。そこにはウィルスに侵されていた頃には見られなかった笑顔が広がっていた。
その研究所では表向きは細菌の研究が行われていたが、実際は生物兵器の開発が行われており、つい先日その試作が完成していた。その生物兵器は感染し何も対処しなかった場合、人間の24時間以内の致死率98%、72時間以内の致死率100%。症状はほとんど風邪と同じ、感染者は死ぬまで自分が感染していることに気が付かない。どんな温度帯でも爆発的に増殖し大気圏突入の熱にも耐えられるというまさに最強の生物兵器だった。もちろん対応する薬やワクチンも作られていたが爆発によって焼失していた。
つまり最強の生物兵器が現状、何の対抗手段も持たない人類へと放たれたのであった。
それとほぼ同時刻、マリアナ海溝の底で探査を行っていたアメリカ海軍の潜水艦が金属製の箱を回収した。それは明らかに不自然だった。深海の水圧は1000バールで、人間1人の上にジャンボジェット航空機が50機乗った状態と同等といわれているが、その箱はそれに耐え傷一つ無い状態で回収された。内部には空洞があるようで、精密な調査の後に箱を切断することに決定された。しかし、その必要は無かった。箱を切断しようとした瞬間、箱は自動的に開いた。
箱の中身は人類に関する衝撃の事実を知らせることとなった。
3日後には全人類がこの2つについて知ることとなった。1つは中国での1億人以上の突然死と中国の国家主席による発表によって1つはアメリカ大統領の衝撃的な発表によって。
中国では異様な光景が広がっていた。研究所周辺の街や村には死体が転がり、それよりも少し離れた場所では中国軍と住民との衝突があちこちで起きていた。大量の死体を見てパニックに陥った住民は死に物狂いで離れた場所に逃げようとした。しかし、そんな住民らは軍に容赦なく射殺されていった。そして死体の波が半径50kmまで広がった時、中国政府は核兵器による研究所周辺の浄化を決定した。核兵器はそこにあったはずの人々の営みの痕跡を消し去った。しかし、ウィルスは生きていた。
中国国家主席は自国内での事態の収拾は不可能と判断し、周辺の国への避難勧告と同時に秘密裏に開発されていた生物兵器の詳細を公表した。また、対応する治療薬が研究所ごと焼失し現在感染者の治療は不可能であることなどを全て隠さずに発表した。そして最後に残された人類への謝罪と自分も既に感染者となっている可能性が高い事を告げ、中国国家主席は自殺した。
その発表の後、アメリカ大統領が更に衝撃的な発表をした。マリアナ海溝から回収された箱の存在とその中身についてだった。その箱は明らかに現在の人類が作れる物では無かったということ、そして箱の中身は我々現在の人類がたった50年程度の歴史しか持たないことと我々以前の人類は滅んでいたことを示していた。アメリカ大統領はこれらの事が事実であることが証明されたことを告げた。
それを証明したのはアメリカのイエローストーン国立公園の地下で発見された超巨大施設だった。その施設には世界中の人間のDNAとそこからクローン人間を作り出す機械や文明を再構築するための道具が全てそろっていた。そして、この施設は過去に1度起動された痕跡があった。つまり、現在の人類は全てこの施設から作り出されたということが証明された。それによって、この施設の場所を指し示した箱の中身は全て事実であるということも同時に証明された。
ウィルスは着々とその感染範囲を拡大させ逃げ遅れた人々を飲み込んでいた。また、ロシア、インド、パキスタン、北朝鮮は少しでも自国民が避難する時間を稼ごうと中国に向け大量の核兵器を打ち込んだ。これにより、中国という国は事実上消滅した。
その稼がれた時間を利用して周辺国の人々は、アメリカやヨーロッパに避難しようとした。しかし、各国はウィルスを自国に招き入れることを恐れた。アメリカに向かおうとした船は全てアメリカ海軍の原子力潜水艦に撃沈され、ヨーロッパに向かおうとした人々は無慈悲な爆撃によって殲滅された。そんな惨劇はウィルスが研究所から放たれてから僅か一週間で起きたことだった。
アメリカのイエローストーン国立公園にはウィルスの難を逃れた世界各国の科学者たちが集結し、この超巨大施設及び、装置についての解析を行った。それによって、新たに分かったことがあった。この装置は現在不安定な状態で、いつ壊れてもおかしくなく、壊れた場合の修理は不可能であるということ。そして、起動の為に全人類が滅んでいる必要があるということだった。地球全域にわたる人感センサーによって装置の起動が制限されており、全人類が滅んだときのみ起動されるよう設定されていたからだ。また、この設定は装置の中枢に組み込まれているらしく、変更や削除は不可能だった。
ウィルスが北アメリカ大陸に上陸した。原因はカナダだった。カナダはアジア諸国からの難民を受け入れていた。その難民の中に感染者がいた。カナダは感染者と接触者の処分をした。しかし、もう遅かった。カナダ東海岸側から、ウィルスは感染範囲を拡大させ始めた。アメリカは装置を守る為にカナダへの核攻撃を即座に開始した。しかし、残された時間が決して多くないことは誰の目にも明白だった。
人類に取れる手段は、もはや2つしか残されていなかった。装置を起動しクローンの人類に再興の夢を託すか、装置を起動せず我々現人類が世界の再興を試みるか。この人類最大の決断に際し、アメリカが主導する世界倫理委員会が結成された。
テレビで世界倫理委員会トップの会見が始まった。彼は会見が始まると直ぐにまくしたてた。
「マリアナ海溝から回収された箱の中身からわかったことがある。我々は我々以前の人類祖先ともよべる存在に生かされたのだ。おそらく、それ相応の犠牲をはらって。そうして生かされた我々は祖先からバトンを渡されている。人類を繋ぐ、生かすという使命を。我々現人類は繋がなければならない。次の人類へと。このバトンを。可能性のある次の者たちへと繋ぐこと、これこそが、これだけが、我々現人類に残された最後の使命である。その為に我々が滅びることなど恐れるに…」
突然テレビの向こうで爆発音が聞こえ、放送が中断された。おそらく何かが起きたということは分かったが、何が起きたのか分からず混乱していると放送が再開された。
先ほどまで世界倫理委員会のトップがスピーチをしていた場所に男は立っていた。男は無造作にマイクを掴むと、力強く語りかけ始めた。
「君たちの守りたかったものはなんだ? 本当に守るべきものはなんだ?自分たちの頭で考えるんだ。自分が守るべき世界がどんな世界なのかはっきりさせろ。」
…そう、私が本当に守りたかったのは人類なんかじゃない。家族や恋人、友人たちじゃないか。それが私にとっての世界だ。
「そして、覚悟を決めろ。我々はまだ終わっていない。我々はまだここにいる。全てを捨てる覚悟はできたか?非難を受けて背中を刺される覚悟はできたか?私はすでにできている。」
目を閉じる。そして、私も覚悟を決める。
「親愛なる君たちの多くが私の後に続くことを確信している。」
ああ、続いていくとも。私の世界の為に。
「さあ、悪を始めるぞ。」
男は最後にそう静かに告げ、その場から立ち去った。
男に続いた人々はウィルスと世界倫理委員会と戦い始めた。ドイツに世界中の技術、研究者が集結しウィルスに対抗するための研究を始めた。また、現人類を滅ぼし装置を起動しようとする世界倫理委員会による核攻撃を迎撃し、逆にウィルスに蝕まれ始めたアメリカごと核で滅却した。これにより装置は破壊され、世界倫理委員会は解散された。ウィルスは既にユーラシア大陸の半分以上を飲み込んでいた。アジア州とヨーロッパ州の境界を最終防衛ラインとし、残された核兵器、通常兵器を全て投入し浄化が行われた。
そして、死闘が報われる時が来た。ウィルスに対抗するワクチンがドイツの研究所で開発された。人類の英知が結集されたワクチンはすぐに残された全人類に接種された。
ウィルスが発生してから3カ月後、65億人の犠牲の上に、人類は最強の生物兵器に勝利したのだった。今後このような脅威が再度人類を襲った場合の対抗策が必要とされた。
そして、人類は世界政府を発足させた。
世界政府初代大統領は急ピッチで進む人類の再興を眺めながら、演説を始める。
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