なんで俺ばっかり!

黒滝ヒロ

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数々の爆弾発言を言い放って、女神様は早々に立ち去ってしまった。
残されたのは呆然とする人々と神様1人。

「ま、詳しいことは後でゆっくり話に来るから、とりあえず僕も一度退散するね。じゃあねサトル、またすぐに来るからね。」とサピセン様は言いながら僕に近寄って頬にちゅっと口付けすると、誰も反応できないうちにさっと消えてしまった。

台風のような出来事の後、しばらく静寂が教会を支配する。
この状況を打破したのはやっぱり領主様だった。

「コホン。皆もよく状況が掴めないとは思うが、それは私も同様だ。この後状況を整理してまた改めて皆に説明する。とりあえず大会の結果は女神アルテイシア様よりもたらされた通りだ。この場は解散とする。」

ドゥーガルがそう告げると、会場にいたものたちが撤収に動く。じゃ、俺たちも移動するかと席を立ったとき、神官長デニムが小走りで俺の元に駆け寄ってきた。

「た、大変なことになりました!神が直接人に求婚することなど前代未聞の出来事ですぞ!」
それはそれは興奮した様子で、フガフガ言いながら捲し立ててくる。
そんなの俺だって誰かにどうなってんの?って聞きたいよ。

「デニム殿。サトルも混乱している。ちょっと落ち着いてくれ。」
ルシアーノが庇ってくれる。
「ああ、申し訳ありません。まずは祝福でしたな!サトル殿今回のことは誠におめでとうございます!この領の実力者である3人だけでなく、知恵の神サピセン様まで配偶者にされるとは!これは歴史に残る偉業といえます!」
「あ、ありがとうございます?」
頭が混乱しているが、とりあえずお礼は言っておく。

「デニム神官長、先ほども話したが今後のことはまた改めて相談したい。今は状況を整理することが必要だ。」
「そうですな!いやそうでしょうとも!私とてまだよく飲み込めておりません!ぜひ早急にお願いいたします!」
そう言ってデニムはまた小走りで、まだ呆然としている神官たちの元へ行き、撤収の指示を出した。
きっと神官様たちも混乱してるんだろうな…いや俺もだけど。

「ドゥーガル。とりあえず館に戻らない?一旦休憩してから今日のことを整理しようよ。」
俺は一旦落ち着いて事態を整理したいのでそう提案した。
「そうだな。そうしよう。我々のことはともかく、サピセン様の対処を考えないとな…。」
そういうとドゥーガルは悩ましい表情で出口に向かって歩き出した。苦労性だな…俺が支えないと。
「じゃ戻ろう!」そう言って俺はルシアーノとレメと一緒に後を追いかけた。


領主の館に戻ってしばらくそれぞれに休憩を取った。疲れている時のジナさんの紅茶は格別に美味しい。
体の芯まで温まるようだ…。そう思って私室でのんびりしていると、ドゥーガルたち3人が部屋に現れた。
「サトル。今いいか?」
「どうぞ~」

俺の部屋には3人が集まってもいいように4人分の椅子が用意されている。後で一応もう一脚椅子を用意してもらうつもりだ。神様が椅子に座るのかよくわからないけど。

「ふう。まずは皆お疲れ様。そして今後ともよろしくお願いいたします。」
俺は3人に向かって頭を下げた。3人ともが僕にとって夫になる人たちだ。改めて挨拶をする。
「こちらこそよろしく頼む、サトル殿。まさか3人ともが配偶者になれるとは思っていなかった。」
ドゥーガルはこちらにも頭を下げて返答する。
「おう。こちらこそよろしくなサトル。」
「僕の方こそよろしくサトル。」
続けて2人も挨拶を返してくれた。よかった不満とかはなさそうだ。

レメがちょっと心配げな顔で話を続ける。
「僕たちはいいんだけど、サトルはこれでよかった?無理してるんじゃない?」
もちろん自分の気持ちは固まっているけれど、気遣ってくれるのは素直に嬉しい。
「ああ、俺はその…よかったと思ってる。3人ともその…気持ちは嬉しかったし。今回の結果に不満はないよ。」
そこまでいうと3人があからさまにホッとした顔をする。
そうか…3人とも今回の決定には不安だったんだろうな。成り行きとはいえ、最初はまだ受け入れる勇気はなかったしな。

「俺はこの世界でやってくって決めたし、3人の思いも本当に嬉しかったよ。3人ともその…格好いいし。」
改めて面と向かって言うのは照れる。でも実際旅の間でかわるがわる気を遣って話しかけてくれたし、ノジアムの時は3人とも格好良かったし。もう配偶者なんだから素直に言ってもいいだろう。だが、俺にとっても心配なことがあるので、話を替えることにする。

「でもまさか本当にあの時の言葉通りにサピセン様までとは、思わなかったけど。」
「そうだよなあ…あれは本気なのか?一体どう言うつもりでああおっしゃったんだ?」
ルシアーノが俺の言葉に共感してくれる。ほんとそうだよ。
4人でその件について話し始めた時だった。

「どういうつもりも何もそのままだよ。僕もサトルの配偶者であり、サトルは僕の妻になるんだよ。」
気がついたら扉の近くにサピセン様が立っていた。
慌てて椅子を持ってきてもらい、サピセン様にも座っていただいた。神様でも普通に座るんだな。

「母様があそこで全部話してしまうとは僕も思わなかったけど、多分嬉しかったんだと思う。反対されても絶対サトルから離れないつもりではあったけどね。」
その後サピセン様はこれまでのことを訥々とつとつと話し始めた。
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