臨時雇用執事の使用人育成記

椿

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4 0日目

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 ランドルフの背中を追いながら屋敷内を移動している途中、レイノルドはあることが気になって仕方がなかった。

「(…また埃だ)」

 通路の隅や、窓の縁に微妙に寄り集まっている汚れを、ついつい視線で追ってしまう。

 …何か、玄関側から離れていくほどに清掃が雑になっていってないか?

 決して汚いというわけではないし、注視してみない限り気付かれることも無いくらい些細な汚れだが、客室付近の通路が綺麗すぎたために余計に粗が目立って見える。
 庭も、玄関から見えるあたりは何も思わない程自然に整えられていたが、今レイノルドがいる位置から見るとお世辞にも美しいとは言えない状態だ。
 せっかくこんなに広い土地に植木用の木々が列をなしているというのに、それぞれが自由に成長していて見た目に統一感が見られない。
 そこかしこに雑草が伸びている様子も見受けられ、一見するとちょっと小綺麗な荒地という感じだ。
 ありのままの自然や、野生の植物の力強さを表現の一つとして利用しているのだろうか?
 しかし庭園というものは、得てして人工的に整えられた美しさが魅力とされているもの。
 これでは、ただ手入れが行き届いていないように見られても仕方がないと思うのだが…。

 うっすらと、まだ明確な形を持たない不穏な気配にレイノルドが首を傾げていると、廊下の先にひとつの人影が見えた。
 その人物に近づくと同時、ずっと背面しか見せなかったランドルフが久方ぶりにレイノルドの方を振り返る。

「紹介します。 ――スティーフ」

「――はい」

 裾の長い、白と黒の清楚なメイド服を身に纏った女性が、ランドルフの呼びかけに一歩足を前に進めた。
 サラリ、 短く切りそろえられた指通りのよさそうな金の髪と、白いヘッドドレスの両端を飾る細身のリボンが小さく揺らめく。
 髪と同じ色で輝く長い睫毛で伏せられていた、どこかの湖のように澄んだ水色の瞳が、ぱちりとレイノルドを写し数度瞬いた。

 彼女――スティーフの、まるで天使を思わせる愛らしく可憐な容姿に、レイノルドは一瞬見惚れてしまう。
 誇張無しに、彼女はレイノルドが今まで出会った女性の中で最も美しかった。

「初めまして、スティーフです。 よろしくお願いします」

「レイノルドです。 こちらこそ、短い間ですが、よろしくお願いいたします」

 ふわりと優しく微笑むスティーフに、レイノルドはほぼ反射的にドキリとさせられながらも、なるべく平静を装って頭を下げる。

 うん。少し気になるところもあったけど、主人はあのルイス・マクレーン様だし、ランドルフさんも強くて尊敬できそうな方だ。それに同僚のスティーフさんも、物腰柔らかで丁寧な印象を受ける……し、凄く可愛い!!
 いや、全くもってこれは不純な感情ではない。ただ、可愛い異性が一緒に居ないよりは居る方がテンションが上がるかもな~とかそういったあれだから。本当に何も下心とかないから。

 誰に向けてかわからない言い訳を連ねながら、レイノルドが今後の仕事にやる気を漲らせていた、その矢先。

「―――じゃあ、俺は寝るので。 スティーフ、後の案内は頼みました」

 平坦な声でそう言ったランドルフは、首元で綺麗に絞められていたネクタイを気怠そうに緩めながら立ち去ろうと足を動かした。
 あまりにも自然な声音と動作に、レイノルドは反射で返事をしようとして、しかし脳を通り過ぎた言葉を今一度無理矢理引き戻して反芻する。

 寝る…、寝る!?!?今この人寝るって言った!?!?

「え!? 待ってください!? 寝るって何ですか!?」

「睡眠のことですが?」

「定義ではなく!! まだ、業務時間だと、思うのです、が…」

 まっすぐこちら見つめる曇りのないランドルフの目に、レイノルドは自分の言い分が間違っていると錯覚してしまいそうになり、言葉に詰まってしまった。

 外は当然明るいし、今はまだ午前中!間違ったこと言ってないよな!?
 逆に何でそんな透き通った目で俺のこと見れるんだよ!?

「屋敷の案内ならスティーフが引き継ぎますのでご安心ください。 では、おやすみなさい」

「ちょ、ちょっと!!」

 背を向けて歩き出そうとするランドルフの腕を、レイノルドが咄嗟に掴んで引き留めた。

「お給金を頂いていながらそれに見合った働きをしないのは、執事としてどうかと思います!」

「……昨日今日は、沢山動いて疲れたんです」

「子供ですか!? 確かに沢山動いてらっしゃいましたけど!」

 ランドルフは、拘束された自身の腕を静かに見やると、

「っるさいな…」

 心底鬱陶しそうに顔を逸らして、ぼそりと呟く。
 それは小声だったが、レイノルドの距離であれば問題なく聞こえてしまうくらいの声量で呟かれた言葉だった。
 反省の様子など欠片も見えない、こちらのやり方に口を出すなと言わんばかりの横柄な態度に、レイノルドの理想の上司像が早々に崩れ去る音が聞こえる。

「なっ、…っ! スティーフさん! あなたは本来やらなくても良いランドルフさんの仕事を押し付けられて、嫌ではないんですか!?」

「えっ! ……えっと、はい。 ランドルフさんがお疲れなら、僕、頑張ります!」

「!?」

 ランドルフに言っても無駄だと直感したレイノルドは、訴えかける対象をスティーフに移したが、彼女は驚きに目を丸くした後に、何とも健気な言葉を言ってのけた。

 駄目だ!!良い子が搾取される典型だこれ!!

 レイノルドが、信じられないものを見る目でスティーフのキラキラしいはにかみ笑顔を浴びているところで、「スティーフもそう言っているので、俺はこれで」と、了承を得たとばかりにランドルフが足を進める。

 悔しさと困惑半々の感情でレイノルドがその後ろ姿に視線を突き刺していると、彼は「ああそうだ」と言って首だけで振り返った。

 ランドルフは、口角を片方だけ上げた嘲るような表情でレイノルドの名を呼ぶと、

「明日から10日間、どうぞよろしくお願いしますおせわになります

 そう言って緩く笑む。
 そして、誰に止められるとも考えていなさそうな余裕の態度で、そのまま廊下をゆっくりと歩いて行った。

 …『お世話になる』ってそういうこと!?全ての業務を、俺に任せるつもりでいるのか!?

 ふつふつと湧き上がってくる怒りの感情に、わなわな身体を震わせながら俯くレイノルドを、スティーフが不安げな顔で覗きこむ。

「あ、あの?」

「……、…案内を、お願いします」

「っはい!」

 こちらの機嫌を窺うようなスティーフの表情に申し訳なさが勝ってしまったレイノルドは、一度大きな深呼吸をして気持ちを落ち着けてから、案内の続きを申し込み、頭を下げた。
 彼女は、そんなレイノルドに恐縮そうに両手を顔の前でわたわたと動かした後、張り切って返事をする。

 スティーフさんはまともそうだから、きちんと案内をしてもらえるだろう。
 目的は達するわけだし大丈夫。
 不真面目な上司も…まあ想定内だ。

 自身のアンガーマネジメントも執事なら完璧に出来る。

 レイノルドはもう一度大きく息を吐くと、姿勢を正して一歩を踏み出した。


 *

 ザリッ
 ひょろりと伸びた数多の雑草を躊躇なく踏み倒しながら、歩みを進める。

 案内の前に、もう一人の同僚を紹介してくれると言ってくれたスティーフさんに連れられて、俺は今敷地内の庭園を歩いていた。
 話を聞くと、想像していた通り使用人は少数で、日々の通常業務はランドルフさんとスティーフさんの2人で回しているらしい。
 …ランドルフさんとあの人2人でなんて、スティーフさんの負担が大きいんじゃなかろうか…。
 1人優雅に惰眠を貪っているランドルフと、涙を流しながらこき使われるスティーフを想像してセルフで心を痛めていたレイノルドだったが、リアルスティーフの困り声に現実へと引き戻される。

「あれ…居ないな…、」

「庭師の方なんですか?」

「いいえ、何というか、使用人ではなくて…、」

「使用人ではない?」

 それなのに屋敷に住んでるって…?と、レイノルドがその困惑のまま首を傾げると、スティーフは少し思いを巡らせるようにしてから、

「――犬…?」

「ああ、ペットですか」

「犯罪者…?」

「犯罪者!?」

「ええと、ちょっと経歴が特殊な方で…、確かこの前はここら辺で野宿をしていたはずなんですけど…」

「庭で、野宿…?」

 使用人ではなくて、犬で、犯罪者で、庭で野宿をしていて……ん?改めて復唱して考えても全く分からないぞ。どういうことなんだろう…。

 生い茂る植木をかき分けて、此処にも居ない、そこにも居ないと、何者かを探すスティーフを手伝うため、レイノルドはとりあえず何かしらの生物を探そうかなと周辺を見渡す。

 そうして、ふいに視界に入った『ある物』を、更によく見るために無意識で目を細めた。

 この庭からは、屋敷の外観を一望することが出来る。
 だからこそ気付けた、異質な一窓。
 デザイン性などは考えられていない、武骨な鉄の面格子がガラス窓に二重に設置されており、まるでその一室だけ監獄か何かのようにも思えた。

 何だあれ…?

「…スティ――」

 スティーフに聞こうと声を出したその時、何かが物凄いスピードでレイノルドの元に近づいてきていることに気付き、咄嗟に振り向くが――、

 遅い


「―――っ!?」

「レイノルドさん!!」

 自分の身体より大きな何かに飛びかかられ、その勢いのままレイノルドは地面に倒れ伏す。
 すぐさま身体を起こそうとするが、胴に決して軽くはない体重をかけられた上、いつの間にか両腕も地面に固定されてしまっており、簡単に抜け出すことは出来そうも無かった。

 動けない!……突然何だ、――!!

 言葉通りレイノルドに飛びかかり、押し倒してきた男性は、おもむろにレイノルドの首筋あたりに顔を埋めると、スウゥッと大きく息を吸う。
 滅多にない人との距離感に、反射的な嫌悪を感じて身体を強張らせると、その男は初めて意味のある言葉を発した。

「あれぇ? うっすーいルイス様の匂いがしたと思ったんだけどぉ、お前誰?」

「匂、いっ…?」

「ニカさん!! レイノルドさんから離れてください!!」

「スティーフちゃん、久しぶりぃ! でもそのお顔、全く久しぶりな感じしないや! あはは」

 レイノルドから物理的に顔が離れたことで、男の全貌を認識することが出来る。

 彼は、腕まくりをした白い――土か何かで汚れているためかろうじて白と認識できる程度だが――シャツに、黒いベスト、同色のスラックスという使用人らしい格好をしていた。
 体格はレイノルドより少し大きく、地面に押さえつけてくる腕は、ランドルフ程ではないがそこそこ鍛えられているらしい。程よい筋肉の盛り上がりが見え、力の強さをありありと感じられる。
 固そうな黒髪は後ろで乱雑に縛られ、そこには届かなかった長い前髪が、男の切れ長な右目を少し覆い隠していた。

 ――しかし、最も目につくのは、彼の首で嫌に存在感を主張してくる
 重々しさがありいかつい見た目をした、恐らく金属製であろう黒い首輪が、彼の首をガチリと窮屈そうに拘束している。

 スティーフと話す際の軽薄そうに間延びした声を聞きながら、レイノルドが下から男を観察していると、ふいにズイッと顔との距離を縮められた。

「まあいっかぁ、残りカスみたいな匂いだけでも興奮できるし」

「!?」

 男の言葉の意味を理解する前に、
 彼の熱い呼吸、腰に意図をもって擦りつけられる少しの硬度を伴ったブツによって、己が今からどんなことをされようとしているのか、レイノルドは直感的に把握した。

「いっただきまぁす」

 一定時間抵抗を見せなかったレイノルドを、逃げる意志が無いと判断したのだろうか、いや、それとも逃げる力が無いとでも思ったか、男は腕の拘束を外すと、その手をレイノルドのスラックスのベルトにかけだす。

 ――良いようにされてたまるか!

 レイノルドは、すぐさま解放された手で男の鳩尾に打撃を入れ、バランスを崩した彼をそのまま押し倒し、
 形成逆転。
 先ほどまでのレイノルドのように地面に磔にして見せた。
 そうして極めつけに、男の象徴をつぶさんばかりに強く握って――、

「二度とそんな気が起こらないように、潰してあげましょうか?」

 驚きに目を丸く見開く男に向かって、脅迫の言葉を吐く。

 一番大切な身体の部位を人質に取っているような今の状況。大体の奴がこれで萎えて大人しく――、

「ん?」

 レイノルドの想像と反し、手の中の一物は縮こまるどころか、どんどん固く、大きく成長しだしている。

 ギギギ、と油を指していない機械人形のような動きでレイノルドが男の表情を窺うと、
 彼は赤い顔でとろんと恍惚の表情を浮かべ、息遣いを更に荒くして、その興奮を全身で示していた。

「ハァ、ハァ、…はぁん゛っ!」

「うわっ…」

 野太い男の喘ぎ声に咄嗟に我に返ったレイノルドは、素早く彼の上から飛び退き、出来るだけ距離を取った。

 まさかの被虐趣味の持ち主(しかも結構ハードな方の)だったとは。…ただただドン引きである。
 先ほどまで例のブツを握り込んでしまっていた、未だありありと感触が残る手をどうすべきかと空中で彷徨わせていると、スティーフが心配そうにこちらに駆け寄ってくる。

「レイノルドさん!! 大丈夫でしたか!?」

「一応は…」

「っ、ニカさん!!」

「あっは…、今の…、さいっこお…」

 咎めるようなスティーフの言葉を歯牙にもかけず、男は興奮しきって震える身体を自身の両腕で抱きしめていた。

「初めて犯そうとした時の、ルイス様の顔とおんなじくらいイイっ…! 名前はぁ? 今日からここに住む? 入れたい方? 入れられたい方? どんなプレイに興味ある?」

「は? 犯…???」

「……会わせるべきではありませんでした…。 早くここから離れましょう」

 頬を染めた男からの矢継ぎ早な質問を、レイノルドが正確に理解し回答する前に、その麗しい顔を限界まで軽蔑に歪めたスティーフに手を引かれる。
 それに従って足を進めるレイノルドだったが、今男が発した言葉は到底聞き逃すことが出来るはずの無いもので、

「待ってよぉ! 仲良くしよう? 俺、すっげぇ優しいよ? 好きな人の言うことは何でも聞いちゃう」

「今ルイス様を犯そうとしたって――、」

「耳を貸してはいけません」

 速足で進むスティーフとレイノルドの後ろを、浮足立っているような動きで男も追いかけて来る。
 不穏な単語をスティーフに確認しようとするが、彼女はレイノルドを振り返ること無く、更に歩くスピードを速めた。

 これ、早歩きのままで男を撒ける気がしないんだけど!?ずっと後ろついて来てるし!!
 というかこのままだったら屋敷内に侵入を許してしまうことに――!?

 ルイス様に危害を加えかねない男の発言を思い返して、屋敷内に戻ろうとしているスティーフに焦りを覚え始めていると、
 一歩、レイノルドが屋敷内に足を踏み入れたと同時、しつこく追ってきていた男の動きが完全に停止した。
 彼は「また会いにきてねー! 待ってるからぁー」と、ヘラリとした顔で手を振っているが、その足がレイノルド達の今居る場所に近づくことは無い。

「…追ってこない?」

「ニカさんが屋敷内に侵入すれば、彼の首輪が爆発する仕組みになっていますので。 流石に命は惜しいみたいです」

 淡々と説明するスティーフの言葉に、一瞬レイノルドは耳を疑う。

 爆発??あの首輪爆発するの???
 相当に物騒なんだが???

「…危険な目に合わせてしまってすみません…、僕の判断ミスでした…。 お互い顔を合わせておいた方が良いかと思いまして…」

「いえ! 俺もそうしてもらった方が助かりますが…。 …彼は一体?」

「ニカさんは、1年ほど前にご主人様を暗殺兼強姦しようと屋敷に侵入した犯罪者です」

「!!? 何故そんな危険人物を、庭に放っているんですか!?」

「…ご主人様に一目ぼれしたとかで、何度牢獄に入れても、間を空けずに脱獄して屋敷ここに侵入してくるんです。 それが二桁を超えたあたりで、どうせなら監視できる場所にいられた方が安心できるとの理由で、ご主人様が様々な拘束を施した状態で庭に…」

 申し訳なさそうにするスティーフに気に病まないよう告げて、先ほどの男についてのことを聞くと、レイノルドの理解が及ばぬ情報が語られた。

『様々な拘束』というものが首輪以外にもあるのかはわからないが、それにしたって敷地内に主人を狙う犯罪者を置いておくのは危険すぎる。屋敷内は安全だとしても、外出する時には必ず庭園を通ることになるし…、

 しかも――、

「…恐らく、レイノルドさんも目をつけられてしまったようなので、庭に出る際は気を付けてください。 …すみません…。 まさかあんなことになるなんて…。」

「はは…」

 しゅんと眉を下げるスティーフを安心させるため、レイノルドは空笑いをして見せたが、その固く引きつった頬のぎこちなさはごまかしようが無かった。

 どうやら主人の暗殺&強姦目的で侵入してきた(元)犯罪者が、俺にも標的を定めたらしい。

 ……勘弁してくれ。


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