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23王子様に見つかっちゃった!
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ブライアン父は部屋に入り込み、二人と距離を保ちつつ、こちらの様子を伺うように言葉をかけてくる。
「こんなに可愛い奥さんを娶れて良かったな!」
「……生きていたんだね。てっきり死んだと思ってた」
「ブライアン様!」
いくらなんでもそれは酷いじゃないかと名前を呼んだけど、その顔はまるで子供のように頬を膨らませていた。
父親を前にして、すっかり子供に戻ってしまったようだ。
――ど、どうしよう。おもしろい。
笑うのを必死に我慢していると、それに気づいたブライアン父が、肩を竦める。
「さて。ブライアン、お前は自分の妻を愛しているのか?」
「なんですか、いきなり」
「お前の妻は、異世界人だ。なんにも分からない異世界人の妻を、お前は無条件で愛しているというのか?」
「当然です!」
叫ぶと、ブライアンはシンヤを抱きしめてきた。
相変わらず熱い胸板についうっとりすると、それを見たブライアン父は大声で笑う。
「ハハハハッまあ、見れば分かる! だがなあ……異世界で生きていく彼が、安心して生きていくには、権力が必要だろう」
「……それは、その通りですが」
「ならば、今は、陛下に背くような真似はやめなさい。胎をもう一度使えるようにする術もわかる。陛下には、私から事情を説明しよう」
その話を聞いたブライアンは、瞳を細めて、腕に力を込めた。
シンヤは、ブライアン父の話はまともだと感じた。
「ブライアン様」
「シンヤ……」
「俺は、ブライアン様が俺の為にひどい目にあうのは嫌です」
「ブライアン、妻の気持ちを汲んでやれ」
ブライアンは、ため息をつくと、シンヤの額にキスをして、耳元に囁く。
「もう少しだけ、ここで一緒に過ごして欲しい」
「ブライアン様」
「心配しなくても、陛下を説得するには時間がかかる。二人でじっくり考えるんだ」
そう言い残して、ブライアン父は立ち去った。
シンヤはブライアンに、父親と話し合わなくて良かったのかと訊きたかったが、感傷に浸っている様子だったので口を閉ざす。
その夜、自分の膝で眠る旦那様の寝顔を見つめて、胸に愛しさが込み上げる。
コンコン。
ふと、窓を叩く音がした。
窓にはりつく人物を見て、声を張り上げてしまう。
「ユリアム様!」
ブライアンを起こさないように、口元を手で押さえながら、そっとブライアンの頭をソファーにうつして腰を上げた。
窓を開けて、ユリアムと言葉を交わす。
「ユリアム様、どうして」
「お前を迎えに来たんだ」
「まだ戻れません」
「シンヤ……!」
「!」
むちゅっと唇を奪われて、シンヤはよろめくが、ユリアムにしっかりと腕を掴まれて、舌を絡められた。
――ユリアムさまあ……っ。
シンヤは瞳を閉じて、熱い口づけを受け止めた。
「こんなに可愛い奥さんを娶れて良かったな!」
「……生きていたんだね。てっきり死んだと思ってた」
「ブライアン様!」
いくらなんでもそれは酷いじゃないかと名前を呼んだけど、その顔はまるで子供のように頬を膨らませていた。
父親を前にして、すっかり子供に戻ってしまったようだ。
――ど、どうしよう。おもしろい。
笑うのを必死に我慢していると、それに気づいたブライアン父が、肩を竦める。
「さて。ブライアン、お前は自分の妻を愛しているのか?」
「なんですか、いきなり」
「お前の妻は、異世界人だ。なんにも分からない異世界人の妻を、お前は無条件で愛しているというのか?」
「当然です!」
叫ぶと、ブライアンはシンヤを抱きしめてきた。
相変わらず熱い胸板についうっとりすると、それを見たブライアン父は大声で笑う。
「ハハハハッまあ、見れば分かる! だがなあ……異世界で生きていく彼が、安心して生きていくには、権力が必要だろう」
「……それは、その通りですが」
「ならば、今は、陛下に背くような真似はやめなさい。胎をもう一度使えるようにする術もわかる。陛下には、私から事情を説明しよう」
その話を聞いたブライアンは、瞳を細めて、腕に力を込めた。
シンヤは、ブライアン父の話はまともだと感じた。
「ブライアン様」
「シンヤ……」
「俺は、ブライアン様が俺の為にひどい目にあうのは嫌です」
「ブライアン、妻の気持ちを汲んでやれ」
ブライアンは、ため息をつくと、シンヤの額にキスをして、耳元に囁く。
「もう少しだけ、ここで一緒に過ごして欲しい」
「ブライアン様」
「心配しなくても、陛下を説得するには時間がかかる。二人でじっくり考えるんだ」
そう言い残して、ブライアン父は立ち去った。
シンヤはブライアンに、父親と話し合わなくて良かったのかと訊きたかったが、感傷に浸っている様子だったので口を閉ざす。
その夜、自分の膝で眠る旦那様の寝顔を見つめて、胸に愛しさが込み上げる。
コンコン。
ふと、窓を叩く音がした。
窓にはりつく人物を見て、声を張り上げてしまう。
「ユリアム様!」
ブライアンを起こさないように、口元を手で押さえながら、そっとブライアンの頭をソファーにうつして腰を上げた。
窓を開けて、ユリアムと言葉を交わす。
「ユリアム様、どうして」
「お前を迎えに来たんだ」
「まだ戻れません」
「シンヤ……!」
「!」
むちゅっと唇を奪われて、シンヤはよろめくが、ユリアムにしっかりと腕を掴まれて、舌を絡められた。
――ユリアムさまあ……っ。
シンヤは瞳を閉じて、熱い口づけを受け止めた。
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