ポチの嘆き

コアラ

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ポチの嘆き

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私の名前はアケミ。

残業で遅くなった夜分。会社の同僚のシオリと一緒に道を歩いていると、突然、前方に犬を連れたお爺さんが現れた。
「わぁ、めっちゃ可愛い!!」
シオリはそう言って、興奮した様子でお爺さんに声をかけた。
「撫でてもいいですか?」
お爺さんはにこやかにうなずき、シオリに犬を触らせてくれた。
私はその犬をじっと見つめた。何が可愛いんだろう、あんなに不気味で、どこか狂気を感じる動きの生き物なのに。

お爺さんと犬と別れた後、シオリが話しかけてきた。
「実は最近、犬を飼い始めたんだ。名前はポチって言うんだけど」
「へぇ、奇遇だね。実は私もポチって名前の子飼ってるんだ。でも今は手足が不自由なんだけど、でもすごく可愛いんだ」
「えっ、アケミも犬飼ってたんだ!?来週家に見に行ってもいい?」
私は少し沈黙を保ってから、冷たく言った。
「んー、それはちょっと難しいかな。私のポチ、来週まで持たないかもしれないんだ」
「えっ…ごめん、そうだったんだ…」
シオリは気まずそうに謝ったけれど、私はそんなことで気分が悪くなることはない。

「大丈夫だよ。じゃあ、私はこっちだから」
そう言って、私は家に帰ることにした。

「ただいまー。ポチー、まだ生きてるー?」
返事はない。ポチは2階の押し入れにいるから、声が届いてないだけだろう。私は2階に上がり、押し入れを開けた。

「ポチー、ただいまー」
「んっんんー…んんー!!んっんん!!」
ほっとした。まだ生きていた。

私の可愛いポチ。ずっと水しか与えず、私が出した糞しか食べさせていないせいか、肋骨が浮き出ているポチ。手足がぐちゃぐちゃに折れ、猿ぐつわで口を塞がれているポチ。

ポチが私を見上げて、何か言いたげにモゴモゴ動くのが見える。私はその目を見て、冷たく微笑んだ。

「ねぇポチ、次に逃げようとしたら手足だけじゃなくて目も潰すからね」

ポチが私の言葉に反応して、さらに必死に動く。もしかしたら助けを求めているのかもしれない。けれど、私はその痛々しい顔に何の感情も抱かなかった。ポチが望んでいるものなんて、どうでもいい。

「ポチ、君はただ私のペットで、ただの存在に過ぎない」
ポチが何か言おうとしても、それは私には意味を持たない。彼の苦しみが続こうが、死のうが、私にはどうでもよかった。

私はその顔を見下ろし、静かに微笑んだ。私の支配する世界では、ポチが望むことなど、ひとつも叶えない。

「君が何を思っていようと、もう遅いんだよ」
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