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洗濯物
しおりを挟む「ほら!美香!雨が降ってきたから、早く洗濯物取り込んで!!」
「分かったお兄ちゃん!」
美香は急いで部屋を出て、ベランダへと向かう。
その背後で、兄はリビングのソファに座り、テレビをボーっと見ていた。
美香がベランダに出ると、空気が湿っていて、どこからか不安定な音が聞こえる。雨の音が、じわじわと強くなっている。
「お兄ちゃん、ベランダに放置したお母さんは取り込む?」
美香はその言葉を呟きながら、無表情で洗濯物を手に取った。
まるで普段通りのように。
その言葉に驚きもなく、兄の声がリビングから返ってきた。
「そんなのは放置で大丈夫だから、服を取り込め。」
美香はその言葉を聞きながら、また洗濯物を次々と取り込んでいく。
外はどんどん暗くなり、雨が降りしきる音が部屋に響く。
その音の中、兄と妹はまるで何事もなかったかのように、日常を続けている。
「お母さん、さっきまであんなに苦しそうだったのに」
美香は呟くように言いながら、洗濯物を一枚ずつ丁寧に畳んでいった。
外の雨が激しくなり、窓の外では、ただ静かな夜の気配が漂っている。
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