お婆ちゃんの優しさ

コアラ

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お婆ちゃんの優しさ

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「サユリちゃん2歳の誕生日おめでとう」

お婆ちゃんがそう言って、私の鼻に誕生日用のスリムキャンドルを詰めた。右の鼻に赤、左の鼻に青。私は18歳だというのに、こんなことをされる理由がわからなかった。

「もうやめてよ、お婆ちゃん!」

私は必死に声をあげたが、お婆ちゃんは無邪気に笑って言った。

「誕生日だからキャンドルをつけなきゃ!」

「今日は誕生日じゃないし、18歳だってば!!」

私は叫んだが、お婆ちゃんはキャンドルをしっかり押し込んでいた。息が苦しくなり、慌てて声をあげると、部屋で服を畳んでいた母が呆れたように言った。

「サユリ、しょうがないのよ。お婆ちゃん認知症なんだから。それに、春巻きのことを思い出して。今されてる事もお婆ちゃんの優しさだってわかるでしょ?」

母が服を持って別の部屋に移動した後、私はお婆ちゃんと二人きりになった。

「春巻きの件…あれのこと?」

私はその言葉を聞いて、何となく記憶がよみがえった。幼稚園の頃、晩御飯に春巻きが出てきた。私はそれが大嫌いで、泣いていた。お婆ちゃんが言った。

「サユリちゃん、食べられないの?お婆ちゃんが代わりに食べてあげるから」

私はその時、お婆ちゃんが優しさで食べてくれると思っていた。でも違った。お婆ちゃんはただ春巻きが大好きだったのだ。

「お母さん、違うよ…」私は心の中でつぶやいた。

お婆ちゃんは認知症だと言われているが、私はそう思えなかった。認知症なんて、ただのフリだ。お婆ちゃんは、私をいじめるためにわざとおかしなことをしているだけだ。

「あれ、サユリちゃんもしかして」

お婆ちゃんがそう言った。その目は、まるで私の思考を見透かしているかのようだった。私は震えながら、視線を避けようとしたが、どうしても目が合ってしまう。

「お婆ちゃん…」

その目の奥には、恐ろしい何かが宿っている気がした。まるで、私を試すように、楽しむように、私を見つめていた。私はその目から逃れられなかった。

「サユリちゃん、私のこと、わかってきたのかな?」お婆ちゃんはにっこりと笑いながら言った。

その笑顔が、無邪気なものではなく、冷酷な何かに見えてきて、私は恐怖に震えた。春巻きの夜、あの時の記憶が、今また私を追い詰めてくる。

「お婆ちゃん…お願い、もうやめてよ…」

私は震える声で言った。しかし、お婆ちゃんはただ静かに、私の目を見つめていた。どこまでも冷たく、どこまでも暗い目で。

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