婚約破棄?上等よ!─気づいたときにはもう遅いんですよ?

R.K.

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前編 新生活の始まり

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 辺境の地に送られてからしばらく歩いていると、一つの小さな村を見つける。

 その村では疫病が流行っていた。

 そのせいで、その村ではたくさんの人が死んでいるとのことだった。

 だから、私はことにした。
 辺境の地にある小さな村だけど、それでも私にはこの人たちを見捨てるという選択はできなかった。
 王国は嫌いだし、王子はもっと嫌い。
 けど、この人たちは悪くない。

 その村では、人間と魔人が共存している。

 どうやって?
 て、思うかもしれないけど、魔人は基本的には人間と同じ暮らしをするので、共存することは容易にできる。
 それに、一部の魔人しか人をむやみに襲ったりはしない。
 どっちかというと、人間の方が魔人を襲っている。
 魔王は随分前に倒され、今では良識のある魔人が魔王の代わりとなっている。
 と、つまらない世界のことを考えてる時間なんてないんだった!
 私は街にある診療所に入る。
 そこには、苦しそうにしている人間と魔人らがいた。

 見た感じ、重症なのはより奥にいる(魔)人らだとわかった。

「あ、あの、危ないので出てってもらえますか?」

 いい感じの歳のおじさんが私にそう言ってくる。
 まあ、そうだよね。部外者が疫病の中心なんかにいたら邪魔だしね。

「私はこのことができます」

 だから、私はそう言った。
 さすがにそう言われたら、一か八か試してみるはずだからね。

「そ、それは本当ですか?でしたら、お願いします!私達をお助けください!」

 私はそう言われ、二つ返事で返すと、意識を集中させ、一つの魔法を発動する。

「ハイ・アライザー」

 私がそう唱えると、さっきまで重症で苦しんでいた患者がみるみる回復していく。
 さっきのおじさんはその光景にあっけにとられ、言葉も出ない様子だった。
 私はその場にいた全員に同じ魔法をかける。
 まあ、魔人に同じ魔法が効くのか少し不安だったけどね。


 あのあと、私は村の人(魔人も)全員に感謝された。
 まあ、私はそういうのは苦手だからすぐに自分の事情を説明したんだけどね。
 その事情を知った村の人(魔人も)たちは、私を一つの家の前まで連れていくと、ここを自由に使っていいとのことだった。
 そんなとき、どこかからを感じたような気がしたけど、たぶん気のせいだよね!
 
 そうして、私の新生活は始まったのだった。
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