ゲームを始めたはずの私は、なぜか異世界で勇者《最弱職》になりました

R.K.

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二章 ダンジョン探索は冒険者のロマンでしょ?

ダンジョンドラーズ、ハラハラドキドキ探索! 48

 予想通り、そこには誰もいなかった。
 さっきまで、そこで話してたのが嘘であるかのように。
 彼女がそこにいたのが嘘であったかのように。
 そもそも、彼女というのは、声から判断しただけで、実際の姿を見たわけではない。
 私は、彼女について、その人について、その存在について、発さられた声という音以外のなにもかもを知らない。
 つまり、私は彼女を知らない。
 聞いたことがある声でもない。
 知ってる喋り方でもない。
 ただただ、気味が悪い。気味だけが悪い。気持ち悪い。彼女という存在が。彼女という存在に対する私の感情が。
 ──っと、なにともなしに、目の前の扉のドアノブに触れてみる。
 冷たくはなかった。
 彼女から感じていたすべてが、今はなかった。感じられなかった。
 彼女は部屋の中で待っていると、言っていた。しかし、今は彼女を感じられない。
 だから、私は扉を開けた。なんの躊躇ためらいもなく。なんの躊躇ちゅうちょもなく。
 だから、思いもしなかった。部屋の中に──

「はじめまして、というのは些か不自然ではありますが。私の名は、アルートと申します。どうぞ、ご自由に、お好きな愛称で、お呼びになってください」

 穏やかな彼女が存在するとは。
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