『無頼勇者の奮闘記』 ―親の七光りと蔑まれた青年、異世界転生で戦才覚醒。チート不要で成り上がる―

八雲水経・陰

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第六章 マリオネット教団編(征夜視点)

EP168 屈服 <☆・♡・キャラ立ち絵あり>

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 瞬く星空の下、セレアは忍び足で町を進んでいた。
 一人の男を尾行し、気付かれずに近寄っていくのが彼女の目的だ。

(バカな子ね!そっちは行き止まりよ♡)

 男が進む先が行き止まりである事を、彼女は知っていた。
 この町は彼女の庭であり、隅から隅まで地理を把握しているのだ。

 淫らな色に満ちた風俗街を抜け、浮浪者で溢れかえるスラム街を抜けた。
 この先にあるのは小さな広場である。抜け道はなく、全方位がコンクリートの壁に囲まれた場所だ。

 遂に男は、その場所に到着した。
 人通りは一切なく、”目撃者”も存在しない――。

(ちょっと痛いかもだけど、我慢してね・・・♡)

 セレアは胸ポケットから、細長い鞭を取り出した。
 魔装拳士のメインウェポンは素手であるが、サブウェポンは鞭やヌンチャクが一般的だった。
 これらを使えば、素手では届かない距離に居る相手を、容易に攻撃できるのだ。

 しかしそれだけなら、魔法を使えば良いだろう。
 鞭で打つよりも遥かに早く、強力な攻撃を出来る筈である。

(大人しく捕まってね・・・すぐに気持ち良くなれるから・・・♡)

 結論から言うと、セレアは男を生け捕りにする気で居る。
 そして彼女は、その男を既に知っていた。クエストボードに、暗殺の依頼が来ていたのだ。

 ただ、捕らえてから教団に突き出そうという訳ではない。むしろ逆である。
 男の暗殺を容認する気はないので、彼を保護する気でいる。

 ただもしも、彼が彼女を満足させられる男なら、それ以上の関係になれるかもしれない。

 喧騒に任せて杯を交わす男たちに混ざらず、ただ一人ダーツを投げる姿に彼女は気を惹かれていた。
 この町の男達には無い、溢れ出すインテリジェンス。それを、女の勘で濃厚に感じていた。

(久しぶりに、良い男と出会っちゃった・・・♡やだ・・・さっきしたばかりなのに・・・もう濡れちゃってる・・・♡)

 セレアは自らの股下を見下ろした。
 興奮と期待からくる感情で、既に彼女の体は雄を受け入れる準備をしていた。
 生殖への欲求が全身を駆け巡り、雌としての本能で満たされてしまう。

(そろそろ・・・行きましょうか!)

 こうしていても始まらないと思ったセレアは、右手に持った鞭を振るった。
 行き止まりに追い詰められた男は、背後を振り返ってすらいない。勝負は決したかに見えた――。





「俺に何の用だ。」

「・・・ハッ!?」

 背後から声がして、肩を叩かれた。
 気がつくと、視界に写っていた人影は跡形もなく消えている。

(ま、まさか・・・!気付いてた!?私が、反応できない速度で!?)

 セレアは、正直言ってかなり驚いた。
 尾行は得意だった彼女にとって、存在を悟られる事は初めての経験である。
 そして、自分が反応できない速度で攻撃を回避する者など、生まれて初めて出会った。

「俺を行き止まりに追い詰めて、殺そうとした。さしずめ、教団の差金だろ。」

「ま、待ちなさい!私はあなたを保護・・・。」

「手を上げて後ろを向け。」

 完全に背後を取られた状況はマズいと思い、セレアはゆっくりと後ろを向いた。
 後をつけていた男の顔が、暗闇の中で朧げに映る。



 彼女が追っていたのは他ならぬトーシン・バンカー、もとい"金入俊彦"であった――。

「答えろ。俺を知ってるのか?」

「トーシン・・・バンカー・・・。」

 セレアは本能的に、逆らわない方が良いと察した。
 目撃者が居ないのは、彼女とて同じである。この場で殺されても、何も文句は言えない。

 男が放つ殺気を全身に受け、鳥肌が立ってしまう。
 これまでに出会った男とは違う。彼は本気で、必要を迫られれば人を殺すだろうと察したのだ。

(マズいわ・・・このままだと・・・。)

 セレアはここに来て、やっと状況を把握した。
 彼女はシンを追い込んでいたのではない。彼によって、都合の良い場所に誘い込まれていたのだ。

「俺の偽名を知ってる・・・やはり暗殺者か。
 悪いが死んでもらうぞ。生きててもらっちゃ困るんでな。」

「ま、待ちなさい!私はあなたを保護、うわっ!?」

 セレアは紙一重で、シンの殴打を避けた。
 人間とは思えないほどの速度で繰り出される攻撃は、セレアの予想を遥かに超えている。

(は、早すぎでしょ!ほんとに人間なの!?)

 多くの闘士と手合わせをした経験のあるセレアだが、シンはその中でも頭ひとつ抜けていた。
 恐らく、なんらかの拳法を会得している事は分かる。だがそれ以上に、潜ってきた"修羅場の数"がまるで違う。

「俺のを躱すか・・・やはり、ただの女じゃ無いらしい。」

 シンの中で、セレアに対する疑念が確信に変わった。
 相手は自分と互角なほど、強靭な動体視力と瞬発力を誇っている。
 ワイシャツを着た娼婦ではなく、確かな実力を持った暗殺者として認識したのだ。

 シンとしては手加減し、生け捕りにする予定だった。
 しかし敵が危険な存在だと分かり、生死を問わない制圧に切り替えた。

(あの格好を見る感じ、話して通じる相手じゃなさそうだ。良い女だが、殺すしか無い・・・!)

(あの殺気を見る感じ、話して通じる相手じゃ無いわね。気絶させて、冷静にさせないと・・・!)

 お互い、早々に見切りをつけて戦闘態勢に入った。

~~~~~~~~~~

 実力は完全に互角。
 人間ではない女と、人間とは思えない男が、互いに全力をぶつけ合っている。

 閑静な住宅街に、二人の拳と足が空を切る音が響き、超高速の戦闘を物語っていた。

 電柱に手をかけ、回転と共に遠心力を込めた飛び蹴りを繰り出すシン。
 持ち前の超常的な動体視力でそれを掴み取り、空へと投げ飛ばすセレア。

 お互いに一歩も譲らない死闘が続くが、お互いに一切の傷もない。
 紙一重で攻撃を回避し続けながら、鋭い一撃を叩き込んでいるのだ。

(征夜君と同じくらい強いのに・・・強さがまるで違う!)

 セレアとて、相手の力量が分かるくらいには武術を極めている。
 "同じくらいなのに全然違う"という感想は、ある意味で的を得ていた。

 征夜の強さは、目標の力。
 花に会いたい、もっと成長したい、人を救いたい。
 ある意味で、かなり人間的な思いの篭った力なのだ。
 だからこそ、太刀筋も足捌きも読みやすい。それはたとえ、激昂していても変わらない。

 しかしシンは、その点ではまるで違った――。

 シンの強さは、計算高さ。
 どのように攻撃を避けるか、どのように相手を制圧するか、どのように相手を追い詰めて"屈服"させるか。
 ある意味で、どこまでも機械的な思考で戦闘を行なっている。それでいて、相手を"敗北させる欲求"に満ちている。
 その点で征夜は勿論のこと、セレア以上に人間味の無い戦闘だ。足捌きも攻撃の軌道も、読めるはずがない。

(あの子は、温室から屋外に出されたミカン・・・なのにこっちは、飢えた野良犬じゃない!)

 適切な喩えである。二人の本質的な違いを、一撃で見抜いている。
 征夜の中にある"坊ちゃん的な向上心"も、シンの中にある"猛り狂うハングリー精神"も、彼女にはお見通しなのだ。

(怖い・・・!これが・・・男の本気・・・!)

 重さと速さ、一撃一撃が必殺級の威力を持つシンの攻撃を前に、セレアは思わず恐怖した。
 シンの全身から、殺気ではなく"覇気"のような物が溢れ出し、彼女を取り囲んでいるのだ。

 "実力は互角"と言った。あれはどうやら、訂正しなければならないようだ。
 "お人好し"のセレアと、"野良犬"のシンでは勝負にならない。
 どこまで行っても、所詮は防戦の彼女では心の底で負けているのだ。

 だが一つ、彼女に勝機があるとすれば――。

(負けたら・・・どうなっちゃうのかしら・・・。
 きっと捕まって・・・レイプされて・・・殺されちゃう・・・。)

 自分の末路は容易に想像できる。
 その豊満な女体を、若い男が放っておくはずがない。
 きっと散々に弄ばれ、慰み者にされ、殺されるだろう。

 それを想像すれば、普通の人は慌てふためくだろう。
 自分の悲惨な末路が、目の前に口を開けて待っているのだから。

 しかしやはり、セレアは常人ではなかった――。

(あぁっ・・・♡ゾクゾクしちゃう・・・♡)

 決して彼女も、"殺されたい"訳ではない。
 ただし彼女にとっては、"迫り来る危機を回避する"という感覚が、堪らなく気持ち良いのだ。
 感覚としてはチキンレースが近い。どれほど差し迫った危機を回避出来るか、そこに"快楽"を見出している。

 セレアは気を引き締め、再び闘志を燃え上がらせた。

~~~~~~~~~~

 それから数分後、セレアは段々と追い詰められ、消耗し、回避するのがやっとの状態になっていた。
 やる気を出した程度で勝てるほど、シンは甘い男ではないという事だ。

 これは決して、女と男の差ではない。生き方の差である。
 セレアは強力な悪魔の血を引いてるとはいえ、本業は娼婦である。言い方は悪いが、男に股を開き、媚を売る事が仕事なのだ。
 魔装拳士としての仕事は、あくまで副業。謂わば教団の実働部隊、その"助っ人"のような存在なのだ。

 対してシンは、この半年間は常に臨戦態勢にいた。
 眠っていた不良魂を覚醒させ、気に入らない物は破壊しないと気が済まない。そんな男として、気を張って生きてきたのだ。
 
 勝負になるはずがなかった。
 始まる前から敗北していた理由として、彼女の体調も挙げられる。
 ダーツを打てるほど冷静なシンに対し、セレアはアルコール度数が60度を超えるウイスキーを飲んでいた。
 一応、酔いは覚めているとはいえ、その差は埋め難い。

 そして、何よりも彼女を追い詰めているのは、飲み過ぎによる弊害である――。

 死闘が続く中、セレアはモジモジと足を動かし始めた。
 その場に立ったまま、心ここに在らずな感じである。

(ど、どうしよ・・・飲み過ぎて・・・おしっこ行きたい・・・。)

 早く戦闘を切り上げて、トイレに駆け込みたい。
 セレアの頭にあるのは、もはやそれだけだった。



 その一瞬の隙を突いて、シンの鋭い攻撃が差し込まれた――。

ドスッ!!!

「ひぎゅっ!?」

 腹の中から、苦痛に呻く声が自然と漏れ出た。
 下腹部を殴られたセレアは、意識が朦朧としてしまう。

「腹がガラ空きだぞ。それじゃ、"殴ってください"って言ってるようなもんだ。」

「あ・・・うっ・・・。」

 気を失えば殺されてしまう。
 セレアは必死で意識を繋ぎ、シンに反撃する方法を考える。しかし足はヨタヨタと震え、とても戦える状態ではない。

 瞼に涙が溢れ出した。これから自分がどうなるのか、一人の女として止めどない恐怖に支配される。
 圧倒的な暴力を前にして思うのは、楽しむ余地のない敗北の恐怖である。
 流石のセレアも、ここまで一方的に捩じ伏せられた事は初めてであり、怖くて仕方がない。

 そんな彼女に対し、シンは一切の情けをかけない。

「もう一発くれてやる。」

ドスゥッ!!!

「へ?・・・ひぎゅうぅぅっ!!!???」

 セレアの下腹部に、再び拳が打ち込まれた。
 彼女が女である事を分かった上で、女の急所を攻撃する。彼はどこまでも無慈悲だった。

「おっ・・・おふっ・・・。」

ショワアァァァ・・・

 下腹部を殴打されたセレアは、その場に倒れ込んだ。
 衝撃で膀胱が緩んでしまったのだろう。惨めにも、その場で失禁してしまっている。

「腹にまともに食らえば、まぁ普通に漏らすよな。」

 レンガの敷き詰められた地面に広がる、半透明の水溜まりを見下ろしたシンは、冷淡な口調で言った。

 勝負は決した。セレアのKO負けである。
 女にとって一番の急所を責められては、たとえ彼女であってもひとたまりもない。
 子を孕むための器官を攻撃され、脳内は混乱する。ありとあらゆる電気信号が駆け巡り、彼女に思考を許さない。

(子宮・・・殴られ・・・な、なんで・・・い、良いのっ・・・?)

 セレアは痛みで倒れ込んだのではない、快楽に屈したのだ。
 腹を殴られると、人は脳内麻薬を分泌させる。そうして、痛みを快楽に変換するのだ。

 子宮を殴られた事が彼女にとって痛いのか、それとも気持ち良いのか、それは彼女自身にも分かっていなかった。
 ただ分かるのは、自分の体が目の前の男に屈服し、本能的に運命を受け入れたという事。

 下腹部から全身に広がる"激痛を伴った快楽"。それを弱めるために、セレアは必死に腹を抑えた。
 しかしそれでも、尿とは違う体液が股間から分泌され、脳内をピンク色に染める。

 失禁と共に深い絶頂を繰り返したセレアは、その場で痙攣しながら目を虚ろにした――。

~~~~~~~~~~

「さて、どうするか。素性を知られた以上、タダで帰すわけにはいかない。なら、やっぱり殺すか?」

 シンの中に、殺人への抵抗は殆どなかった。
 殺さなくて良いならしないが、いざとなったら迷わない。それが、彼の本性である。

「・・・まずは脱がすか。」

「・・・あぁんっ!♡」

ビリィッ!

 シンはセレアの胸元を掴むと、勢いよくワイシャツを破いた。

「あ・・・あぁ・・・。」

「下着とか股に、何か隠してないだろうな?・・・一応見とくか。」

「んっ・・・んんっ・・・。」
(あ、脱がされちゃう・・・。)

 露出した赤色の派手な下着も剥ぎ取られ、瞬く間に全裸を晒してしまった。

「デッッッッッカ・・・!この乳・・・Kはあるだろ!?尻もデカくて、抱き心地良さそうだな・・・。」

「ん・・・あ・・・。」
(み、見られちゃった・・・。おっぱいも・・・お尻も・・・品定めされちゃってるよぉ・・・///)

 レンガで作られた歩道に横たわる裸婦は溢れ出す色気で、無自覚に男の欲情を誘う。
 しかしシンは、至って冷静に彼女を観察していた。一切の反撃を許さないために、細心の注意を払っている。

「子宮に入ったぽいな。取り敢えず、動けなさそうだ。」

「え・・・あ・・・あぁうぅ・・・。」

 あらゆる感覚に襲われて、セレアはショック状態に陥っていた。思考もままならず、ただ虚な表情で喘ぐ事しか出来ない。
 しかし服を脱がされた事で、少しだけ意識がハッキリしてくる。

(路地裏に連れ込んで、まずは楽しむとするか。尋問はその後で良い。)

 シンはそう思い、セレアを持ち上げようとした。
 だが、彼女にもその思考は読めていた。

 勝機があるならこの一瞬、淫魔にとって切り札であり、反撃の一撃でもある"あの技"を使うなら、今しかない。

<<<ぷ・・・淫魔プライドの色香オブサキュバス・・・!!!>>>

ポフッ・・・!

 彼女の豊満な乳房から、ピンク色の煙が噴出した。
 一撃で男を瀕死状態にまで追いやる霧を、シンはまともに吸い込んでしまう。

(か、勝った・・・。)

 セレアは自分の勝利を確信した。これを耐えられる男など、存在するはずがないからだ。



 だがシンは、一切の反応を示さなかった――。

「隠し武器か?なんも起こらないが。」

「うそ・・・そん・・・な・・・。」

 いよいよ、自分に終わりが近付きつつある。
 もはや反撃の手はなく、生殺与奪は完全にシンが握ってしまった。

「犯そうかと思ったが、まだ色々持ってるらしいな?仕方ない。さっさと殺して、死体を処理させてもらう。」

「あっ・・・まっ・・・待って・・・もう・・・何も・・・!」

 セレアは既に、反撃の手段を失っている。それなのにシンは、彼女を徹底的に無力化する気のようだ。
 彼女の言い分を聞く気がないシンは、ゆっくりと首筋に手を伸ばした。そして、両手で首を締め上げようとする。



 その時、突如としてセレアの背後の壁が崩れた――。

バゴーンッ!

「うぉっ!?・・・なんだお前か。」

 シンはレンガ造りの壁が崩落する音に動揺したが、すぐに落ち着いた。崩落の原因がなんなのか、すぐに理解したからだ。

 セレアが向きを変え壁の方を見つめると、そこには巨大な穴が空いていた。そしてその隙間から、不思議な物が見えている。

「サラン・・・外で待ってろと言っただろ。」

グゥー・・・ヒヒィーンッ!!!

 純白の体毛に、黄金の立髪。そして何より目を引くのは、1本の鋭いツノ。

 そこに居たのは、だった――。

(まぁ・・・綺麗・・・。)

 不機嫌そうなユニコーンをよそに、セレアは思わず目を奪われた。
 生死の瀬戸際だというのに、その姿に感動して他の何も手につかない。

「なんだ?"花が待ってる"から、早く帰れって言いたいのか?・・・しょうがねぇな。」

 シンはそう言うと、近くに落ちていたセレアの鞭を拾った。
 長くて、よくしなる鞭の使い方は、何も打ち付けるだけではない。

「お前を俺の拠点に連れて帰る。・・・命拾いしたな。」

 シンはそう言うと、セレアの鞭を彼女の体に巻きつけ始めた。
 谷間をくぐり、股間をすべらせ、両手両足を締め付ける。それはまるで、"亀の甲"のような模様を描いていた。

「こうして・・・こうして・・・縄を引っ張れば・・・。」

「ひきゅぅっ!?♡」

 最後の締めとして、文字通り縄を締め上げられたセレアは、思わず声が出てしまった。
 体に食い込む縄の感覚が気持ち良く、快感を抑えきれない。
 それと同時に、フワフワとした夢見心地からも解放され、現実に引き戻された。

「おっ、やっとお目覚めか?」

「わ、私をどうする気!?」

「見りゃ分かんだろ。"お持ち帰り"だよ。
 拠点に連れて帰ってから、お前をどうするか決める。」

 セレアはひとまず安堵した。
 この場で締め殺される事は、取り敢えず無いらしい。

 それと同時に思うのは、これから目の前にいる男に抱かれる"喜び"だ。
 客とは全く違うオーラを放つ彼に対し、雌としての生殖本能が抑えられない。
 股間に広がった粘液は、彼女の発情を感知して溢れ出し、太腿を伝い始めた――。

「お、お持ち帰り・・・♡それは・・・別に構わないけど・・・♡でも、私はあなたを保護、ふんむぅっ!?」

「うるせぇ。」

 シンはそういうと、突然セレアの口に彼女の下着を詰め込んだ。
 先ほど漏らしてしまった尿の味が、赤いTバックを通して口全体に広がっていく。

 その後セレアは目隠しをされ、首輪を繋がれた。
 詰め込まれた下着を吐き出さないように、口にも縄を噛ませられる。

「ふんむぅ・・・♡ふむぅぅ・・・♡」

 艶やかな喘ぎ声を漏らしながら、全身を緊縛された彼女は荷台に詰め込まれた。
 そこそこの広さを持つ馬車、正確には"ユニコーン車"の中には野菜や日常品の類いが敷き詰められている。

「よしサラン、全速力でソントに帰るぞ。・・・全てをぶっちぎれ!」

 シンに命令されたサランは、少しだけ不機嫌そうにしていた。
 しかし花に会いたい気持ちの方が強かったので、命令通りの全速力で走り出した。

 星空の元で草原を駆ける"稲妻"は、何物にも例え難いほど美しかったという――。
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