31 / 40
31.筋肉令嬢、代わりになる
しおりを挟む
すぐに私たちはルシアン様に集められた。
その場にはガレスさん、アシュレイの他に動物使いのブレーメンがいた。
「みんなに集まってもらったのはウラギールで起きている魔物襲撃についてだ」
優しいルシアン様のことだから、すぐに魔物の討伐に向かうと決断するだろう。
「今回は静観するつもりでいる」
「話と違う――」
「なんですって!!」
私の声はブレーメンの声をかき消すほどに部屋に響いた。
だって魔物と戦えないなんて――。
「リリナ、少し静かにしようか」
「はい……」
ルシアン様は笑顔なのに、どこか笑っていない視線で私を見つめてくる。
その笑みは、まるで凍りついた湖の上に貼りつけた仮面のようだった。
普段のような温もりはどこにもなく、静かに何かを押し殺しているように見えた。
普段見たことないルシアン様の表情に胸が苦しくなる。
ルシアン様って、たまに少年ぽくない大人のような真面目な表情をする。
それが魅力でもあるんだけどね。
「くくく、怒られてる」
怒られた私を見て、アシュレイは笑っていた。
「アシュレイも無駄口を挟まない」
「はい……」
変なこと言うから、アシュレイも一緒になって怒られていた。
誰も話さない静かな空気が流れた後に、ブレーメンが静かに立ち上がった。
「俺は家族を助けに行きます」
低く芯の通った声だった。
「家族……ですか?」
私は話したことに気づいて、すぐに手で口を押さえたが遅かった。
みんなの視線が私に向いている。
「家族を捕虜にされているブレーメンの気持ちはわかる」
「捕虜ですって!?」
ルシアン様の言葉に驚いて声が出てしまった。
「リリナー? 君はすぐに忘れちゃうのかなー?」
「すみません」
だって、急に捕虜の話が出てきたら、誰だってびっくりする。
ブレーメンの家族が捕まっているなら、助けに行かないといけない。
ただ、ルシアン様が動けないってことは、何か問題に繋がるのだろうか。
「今、私が動けば魔物を使ってウラギールを襲撃したと思われる」
「それはわかってます」
あれ? どういうこと?
ルシアン様がウラギールを襲撃して利益があるのだろうか。
ブレーメンだけではなく、ガレスさんやアシュレイも頷いているから、理解できていないのは私だけのようだ。
なんで、みんなわかっているの?
胸の奥がざわざわする。
この場にいる全員が、あらかじめ何かを共有しているような、そんな空気だった。
まるで私だけが知らない地図の上に立たされているみたい。
私だけが知らない話題、私だけが理解していない空気。
ガレスさんも、アシュレイも、ブレーメンも――まるで事前に答え合わせを済ませているような顔だった。
私がここにいる意味って、なんだろう。
胸の奥がキリキリと痛み、知らない地図の上に一人きりで立っているような錯覚に襲われる。
視線が自然とルシアン様に向く。
彼の表情はどこまでも静かで、優しげなまま、どこか張り詰めていた。
普段のような朗らかさはなく、その瞳には冷たい水面のような光が宿っていた。
まるで、何かに縛られているような……。
「まずは状況の確認だが――」
「状況の確認をしている場合ではないですよね?」
私は我慢できずに口を挟む。
理由がわからないだけで、動けないなんて納得できなかった。
ブレーメンの家族は今魔物に襲われているウラギールにいるんだよね?
それにウラギールにもセラフのように住んでいる人がいる。
「リリナ?」
「次はここかもしれないし……」
私はブレーメンに近づき肩に手をかけた。
彼の体温がじんわりと手のひらに伝わる。
きっとさっきの決意は本物だろう。
私だって、誰かが家族を助けたいと思う気持ちを止めることなんてできない。
ルシアン様が動けない理由はわからない。
でも、動かないまま誰かが傷つくのは、もっとわからない。
なら――私が代わりに動けばいい。
魔物と正面から戦えない……手合わせできないなら、見つからなければいいだけだ。
私は私なりに力を使いたい。
せっかく作ったこの町がまた住めなくなるのは悲しいからね。
「ルシアン様がいけないなら私が行きます」
「えっ!?」
「「はぁん!?」」
私はブレーメンを肩に担ぐ。
その行動に私以外のみんなは驚いている。
「彼の家族を助けられたらいいんですよね? 私、隠密行動も得意なんです!」
魔物と手合わせができないなら、見つからないように素早く動けばいいだけだ。
魔物って動物よりも感覚が鋭いって聞くから、それも訓練の一つになりそう。
プロテイン公爵家の使用人たちも、よく隠密訓練って言って、私の後を追いかけてきたからそれと似たようなものだろう。
「勝手な行動は――」
「それに……今のルシアン様は……なんかあまり好きじゃないです」
私がルシアン様の側で働きたいと思ったのは、優しくて眩しい笑顔をしたルシアン様。
どこか暗くて、大人っぽいのはルシアン様ではない。
そんなルシアン様になってしまうなら、側付きマッチョとして『正々堂々と力で勝負』して解決すれば問題ない。
ブレーメンを抱えたまま外に出る。
「おい、ここは屋敷の3階……うぎゃあああああ!?」
肩に抱えているブレーメンもやる気があるのか、大きな声で叫んでいた。
私は森の奥にあるウラギールに向かった。
その場にはガレスさん、アシュレイの他に動物使いのブレーメンがいた。
「みんなに集まってもらったのはウラギールで起きている魔物襲撃についてだ」
優しいルシアン様のことだから、すぐに魔物の討伐に向かうと決断するだろう。
「今回は静観するつもりでいる」
「話と違う――」
「なんですって!!」
私の声はブレーメンの声をかき消すほどに部屋に響いた。
だって魔物と戦えないなんて――。
「リリナ、少し静かにしようか」
「はい……」
ルシアン様は笑顔なのに、どこか笑っていない視線で私を見つめてくる。
その笑みは、まるで凍りついた湖の上に貼りつけた仮面のようだった。
普段のような温もりはどこにもなく、静かに何かを押し殺しているように見えた。
普段見たことないルシアン様の表情に胸が苦しくなる。
ルシアン様って、たまに少年ぽくない大人のような真面目な表情をする。
それが魅力でもあるんだけどね。
「くくく、怒られてる」
怒られた私を見て、アシュレイは笑っていた。
「アシュレイも無駄口を挟まない」
「はい……」
変なこと言うから、アシュレイも一緒になって怒られていた。
誰も話さない静かな空気が流れた後に、ブレーメンが静かに立ち上がった。
「俺は家族を助けに行きます」
低く芯の通った声だった。
「家族……ですか?」
私は話したことに気づいて、すぐに手で口を押さえたが遅かった。
みんなの視線が私に向いている。
「家族を捕虜にされているブレーメンの気持ちはわかる」
「捕虜ですって!?」
ルシアン様の言葉に驚いて声が出てしまった。
「リリナー? 君はすぐに忘れちゃうのかなー?」
「すみません」
だって、急に捕虜の話が出てきたら、誰だってびっくりする。
ブレーメンの家族が捕まっているなら、助けに行かないといけない。
ただ、ルシアン様が動けないってことは、何か問題に繋がるのだろうか。
「今、私が動けば魔物を使ってウラギールを襲撃したと思われる」
「それはわかってます」
あれ? どういうこと?
ルシアン様がウラギールを襲撃して利益があるのだろうか。
ブレーメンだけではなく、ガレスさんやアシュレイも頷いているから、理解できていないのは私だけのようだ。
なんで、みんなわかっているの?
胸の奥がざわざわする。
この場にいる全員が、あらかじめ何かを共有しているような、そんな空気だった。
まるで私だけが知らない地図の上に立たされているみたい。
私だけが知らない話題、私だけが理解していない空気。
ガレスさんも、アシュレイも、ブレーメンも――まるで事前に答え合わせを済ませているような顔だった。
私がここにいる意味って、なんだろう。
胸の奥がキリキリと痛み、知らない地図の上に一人きりで立っているような錯覚に襲われる。
視線が自然とルシアン様に向く。
彼の表情はどこまでも静かで、優しげなまま、どこか張り詰めていた。
普段のような朗らかさはなく、その瞳には冷たい水面のような光が宿っていた。
まるで、何かに縛られているような……。
「まずは状況の確認だが――」
「状況の確認をしている場合ではないですよね?」
私は我慢できずに口を挟む。
理由がわからないだけで、動けないなんて納得できなかった。
ブレーメンの家族は今魔物に襲われているウラギールにいるんだよね?
それにウラギールにもセラフのように住んでいる人がいる。
「リリナ?」
「次はここかもしれないし……」
私はブレーメンに近づき肩に手をかけた。
彼の体温がじんわりと手のひらに伝わる。
きっとさっきの決意は本物だろう。
私だって、誰かが家族を助けたいと思う気持ちを止めることなんてできない。
ルシアン様が動けない理由はわからない。
でも、動かないまま誰かが傷つくのは、もっとわからない。
なら――私が代わりに動けばいい。
魔物と正面から戦えない……手合わせできないなら、見つからなければいいだけだ。
私は私なりに力を使いたい。
せっかく作ったこの町がまた住めなくなるのは悲しいからね。
「ルシアン様がいけないなら私が行きます」
「えっ!?」
「「はぁん!?」」
私はブレーメンを肩に担ぐ。
その行動に私以外のみんなは驚いている。
「彼の家族を助けられたらいいんですよね? 私、隠密行動も得意なんです!」
魔物と手合わせができないなら、見つからないように素早く動けばいいだけだ。
魔物って動物よりも感覚が鋭いって聞くから、それも訓練の一つになりそう。
プロテイン公爵家の使用人たちも、よく隠密訓練って言って、私の後を追いかけてきたからそれと似たようなものだろう。
「勝手な行動は――」
「それに……今のルシアン様は……なんかあまり好きじゃないです」
私がルシアン様の側で働きたいと思ったのは、優しくて眩しい笑顔をしたルシアン様。
どこか暗くて、大人っぽいのはルシアン様ではない。
そんなルシアン様になってしまうなら、側付きマッチョとして『正々堂々と力で勝負』して解決すれば問題ない。
ブレーメンを抱えたまま外に出る。
「おい、ここは屋敷の3階……うぎゃあああああ!?」
肩に抱えているブレーメンもやる気があるのか、大きな声で叫んでいた。
私は森の奥にあるウラギールに向かった。
41
あなたにおすすめの小説
『婚約破棄されましたが、孤児院を作ったら国が変わりました』
ふわふわ
恋愛
了解です。
では、アルファポリス掲載向け・最適化済みの内容紹介を書きます。
(本命タイトル①を前提にしていますが、他タイトルにも流用可能です)
---
内容紹介
婚約破棄を告げられたとき、
ノエリアは怒りもしなければ、悲しみもしなかった。
それは政略結婚。
家同士の都合で決まり、家同士の都合で終わる話。
貴族の娘として当然の義務が、一つ消えただけだった。
――だから、その後の人生は自由に生きることにした。
捨て猫を拾い、
行き倒れの孤児の少女を保護し、
「収容するだけではない」孤児院を作る。
教育を施し、働く力を与え、
やがて孤児たちは領地を支える人材へと育っていく。
しかしその制度は、
貴族社会の“当たり前”を静かに壊していった。
反発、批判、正論という名の圧力。
それでもノエリアは感情を振り回さず、
ただ淡々と線を引き、責任を果たし続ける。
ざまぁは叫ばれない。
断罪も復讐もない。
あるのは、
「選ばれなかった令嬢」が選び続けた生き方と、
彼女がいなくても回り続ける世界。
これは、
恋愛よりも生き方を選んだ一人の令嬢が、
静かに国を変えていく物語。
---
併せておすすめタグ(参考)
婚約破棄
女主人公
貴族令嬢
孤児院
内政
知的ヒロイン
スローざまぁ
日常系
猫
貧乏奨学生の子爵令嬢は、特許で稼ぐ夢を見る 〜レイシアは、今日も我が道つき進む!~
みちのあかり
ファンタジー
同じゼミに通う王子から、ありえないプロポーズを受ける貧乏奨学生のレイシア。
何でこんなことに? レイシアは今までの生き方を振り返り始めた。
第一部(領地でスローライフ)
5歳の誕生日。お父様とお母様にお祝いされ、教会で祝福を受ける。教会で孤児と一緒に勉強をはじめるレイシアは、その才能が開花し非常に優秀に育っていく。お母様が里帰り出産。生まれてくる弟のために、料理やメイド仕事を覚えようと必死に頑張るレイシア。
お母様も戻り、家族で幸せな生活を送るレイシア。
しかし、未曽有の災害が起こり、領地は借金を負うことに。
貧乏でも明るく生きるレイシアの、ハートフルコメディ。
第二部(学園無双)
貧乏なため、奨学生として貴族が通う学園に入学したレイシア。
貴族としての進学は奨学生では無理? 平民に落ちても生きていけるコースを選ぶ。
だが、様々な思惑により貴族のコースも受けなければいけないレイシア。お金持ちの貴族の女子には嫌われ相手にされない。
そんなことは気にもせず、お金儲け、特許取得を目指すレイシア。
ところが、いきなり王子からプロポーズを受け・・・
学園無双の痛快コメディ
カクヨムで240万PV頂いています。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!
クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。
ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。
しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。
ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。
そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。
国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。
樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。
「君は悪役令嬢だ」と離婚されたけど、追放先で伝説の力をゲット!最強の女王になって国を建てたら、後悔した元夫が求婚してきました
黒崎隼人
ファンタジー
「君は悪役令嬢だ」――冷酷な皇太子だった夫から一方的に離婚を告げられ、すべての地位と財産を奪われたアリシア。悪役の汚名を着せられ、魔物がはびこる辺境の地へ追放された彼女が見つけたのは、古代文明の遺跡と自らが「失われた王家の末裔」であるという衝撃の真実だった。
古代魔法の力に覚醒し、心優しき領民たちと共に荒れ地を切り拓くアリシア。
一方、彼女を陥れた偽りの聖女の陰謀に気づき始めた元夫は、後悔と焦燥に駆られていく。
追放された令嬢が運命に抗い、最強の女王へと成り上がる。
愛と裏切り、そして再生の痛快逆転ファンタジー、ここに開幕!
【完結】カノン・クライスラーはリンカネーション・ハイである。~回数制限付きでこの世界にある魔法なら何でも使えるという転生特典を貰いました
Debby
ファンタジー
【最終話まで予約投稿済み】
カノン・クライスラーは、辺境に近い領地を持つ子爵家の令嬢である。
頑張ってはいるけれど、家庭教師が泣いて謝るくらいには勉強は苦手で、運動はそれ以上に苦手だ。大半の貴族子女が16才になれば『発現』するという魔法も使えない。
そんなカノンは、王立学園の入学試験を受けるために王都へ向かっている途中で、乗っていた馬車が盗賊に襲われ大けがを負ってしまう。危うく天に召されるかと思ったその時、こういう物語ではお約束──前世の記憶?と転生特典の魔法が使えることを思い出したのだ!
例えそれがこの世界の常識から逸脱していても、魔法が使えるのであれば色々試してみたいと思うのが転生者の常。
リンカネーション(転生者)・ハイとなった、カノンの冒険がはじまった!
★
覗いてくださりありがとうございます(*´▽`人)
このお話は「異世界転生の特典として回数制限付きの魔法をもらいました」を(反省点を踏まえ)かなり設定を変えて加筆修正したものになります。
平民に転落した元令嬢、拾ってくれた騎士がまさかの王族でした
タマ マコト
ファンタジー
没落した公爵令嬢アメリアは、婚約者の裏切りによって家も名も失い、雨の夜に倒れたところを一人の騎士カイルに救われる。
身分を隠し「ミリア」と名乗る彼女は、静かな村で小さな幸せを見つけ、少しずつ心を取り戻していく。
だが、優しくも謎めいたカイルには、王族にしか持ちえない気品と秘密があり――
それが、二人の運命を大きく動かす始まりとなるのであった。
老伯爵へ嫁ぐことが決まりました。白い結婚ですが。
ルーシャオ
恋愛
グリフィン伯爵家令嬢アルビナは実家の困窮のせいで援助金目当ての結婚に同意させられ、ラポール伯爵へ嫁ぐこととなる。しかし祖父の戦友だったというラポール伯爵とは五十歳も歳が離れ、名目だけの『白い結婚』とはいえ初婚で後妻という微妙な立場に置かれることに。
ぎこちなく暮らす中、アルビナはフィーという女騎士と出会い、友人になったつもりだったが——。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる