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1.荷物持ちのお荷物さん
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「今日からアイテムボックス持ちをパーティーに入れることになったからお前はいらねえよ」
勇者パーティーのポーターとして所属している俺はある日突然パーティーから追放された。
「おい、それはどういうことだ……?」
何を言っているのかわからない俺はその場で固まるしかなかった。急にパーティーを追放されるなんて誰も思っていなかっただろう。
「ほんとにお前は馬鹿だな。荷物も持てないポーターなんて勇者パーティーにはいらないんだよ」
「ぐはっ!?」
幼馴染で勇者の称号を持っているアドルに腹を蹴られるとそのまま屈み込む。息をしようにも、ステータスの差で強く蹴られた腹が痛くて、まともに息も吸えない。
俺は体を起こそうとするが、アドルの足が背中に乗っていて顔しか上げることが出来なかった。
そもそも俺は冒険者にもポーターにもなる気はなかった。謎のスキル【証券口座】の力でお金の管理がしやすいという理由だけで俺はポーターとなった。
この世界のお金は金額が上がるほど質量は重くなる。基本的に遠く移動する冒険者にとっては、お金を管理できる職業は必須になる。
その職業のことをポーターと呼んでいる。
一般的にポーターはスキル【アイテムボックス】を持っている人が、ポーションや日用品など様々な物と共に管理していることが多い。
俺のスキル【証券口座】はお金を収納しておくことができるスキルだ。ただ、スキル【アイテムボックス】と違い、お金のみしか収納することができない特徴がある。
勇者パーティーと呼ばれているアドル達は、報酬や素材売却で手に入れるお金の額が自然と高くなる。結果、自然と質量が重いお金を持って移動することになってしまう。
だから、俺はそのポーターとしてお金を中心に管理する役を任されていた。
息も出来ず苦しい中で俺は今までのことが頭の中を走馬灯のように駆け巡る。
♢
「俺がお前に良い夢を見させてやるよ! 戦えなくても勇者の相方にポーターは必要だからな!」
アドルから声をかけられた時は何を言っているんだと思ったが、昔から同じ村で過ごしている幼馴染に影響されたのだろう。
男ならどこか心の奥底にある"勇者になりたい"という憧れが俺の中にもあったからだ。
しかし、俺のスキルでは勇者にはなれないと気づいた頃には諦めてひっそりと暮らすはずだった。それなのにあいつのスキル【剣豪】に魅せられた。
そして夢見てた俺はアドルがリーダーを務めるパーティーのポーターになっていた。
♢
「これで私達も勇者になったから使えないお荷物はいらないのよ! 女の私があんたみたいなお荷物を守らなくていいって思うと清々する」
「ほんとそうよね! 聖女の私ですら魔物と戦っているのに何もしないやつなんていらないわ」
「ははは、相当お前って嫌われてるんだな」
今まで仲間だと思っていた【女剣士】のアテナと【聖女】のシャルロにもそんな風に思われているとは思ってもいなかった。
彼女達はいつも優しく俺に接してくれていた。ふと隣を見ると、もう一人いるパーティーメンバーも俺を睨んでいた。
「そもそも、男はアドルだけでいいのよ。いつも邪魔だったのよ」
【魔女】のマリベルはアドルに熱い口づけをした。
「いやん、マリベルだけずるいわ」
「そうよ、私も相手して」
アドルを囲むようにシャルロとアテナは近づき、自身の体を曝け出している。
こんなところで淫らな行為をしようとしているこいつらに嫌悪感しか感じない。俺の背中にずっと置かれた足はやっと退けられた。
だが、今度は精神的な重しを乗せられる。
「あっ、全てのアイテムと金は俺達のだから置いてけよ」
アイテムが入った鞄とスキル【証券口座】からお金を取り出し地面に置く。
「おい、アイテムって言ったらお前の装備もだろ?」
「これは俺が買ったや――」
さすが勇者パーティーと言われるほどだ。気づいたらまたアドルに蹴り飛ばされていた。全くアドルが蹴った姿が俺には見えなかった。
これが勇者と一般人の違いだ。
「俺らが稼いだ金で買ったやつは俺らのもんだろ? なぁ?」
俺の頭を掴み見下ろすその顔は昔のような優しいアドルはいない。
"勇者"という称号はそれだけ人を変えてしまうのだろう。
こんなに人を変えてしまう称号なら俺はアドルについて行かずにひっそり暮らすべきだった。でも、今頃悔しても遅い。
あの時、目の前にいる男の夢と俺の夢が重なってしまったのだ。
――勇者になりたい
そんな馬鹿げた夢を俺は持つべきではなかったのだ。
「こいつが使ってた装備なんていらないわよ?」
「いや、売れば金になるだろ?」
「あはは、さすがアドル!」
「だから、マリベルばかりキスしてずるい!」
「ははは、これからみんなで楽しもうぜ」
俺のことは既に頭にないのか、アドルは女達と肩を組んで街の中へ消えて行った。
「これが私の仕事なのでごめんなさいね」
新しくパーティーに加入した綺麗な顔をした女性がアイテムや装備などをアイテムボックスに入れていく。
銀髪でスタイルも良くてどこか高嶺の花のような女性だ。
ああ、アドルはこいつの見た目が気に入ってパーティーに入れたんだとすぐに理解した。
全てのアイテムと装備を回収された俺に残っているのはポーターとしての冒険者カードと謎スキル【証券口座】だけだった。
勇者パーティーのポーターとして所属している俺はある日突然パーティーから追放された。
「おい、それはどういうことだ……?」
何を言っているのかわからない俺はその場で固まるしかなかった。急にパーティーを追放されるなんて誰も思っていなかっただろう。
「ほんとにお前は馬鹿だな。荷物も持てないポーターなんて勇者パーティーにはいらないんだよ」
「ぐはっ!?」
幼馴染で勇者の称号を持っているアドルに腹を蹴られるとそのまま屈み込む。息をしようにも、ステータスの差で強く蹴られた腹が痛くて、まともに息も吸えない。
俺は体を起こそうとするが、アドルの足が背中に乗っていて顔しか上げることが出来なかった。
そもそも俺は冒険者にもポーターにもなる気はなかった。謎のスキル【証券口座】の力でお金の管理がしやすいという理由だけで俺はポーターとなった。
この世界のお金は金額が上がるほど質量は重くなる。基本的に遠く移動する冒険者にとっては、お金を管理できる職業は必須になる。
その職業のことをポーターと呼んでいる。
一般的にポーターはスキル【アイテムボックス】を持っている人が、ポーションや日用品など様々な物と共に管理していることが多い。
俺のスキル【証券口座】はお金を収納しておくことができるスキルだ。ただ、スキル【アイテムボックス】と違い、お金のみしか収納することができない特徴がある。
勇者パーティーと呼ばれているアドル達は、報酬や素材売却で手に入れるお金の額が自然と高くなる。結果、自然と質量が重いお金を持って移動することになってしまう。
だから、俺はそのポーターとしてお金を中心に管理する役を任されていた。
息も出来ず苦しい中で俺は今までのことが頭の中を走馬灯のように駆け巡る。
♢
「俺がお前に良い夢を見させてやるよ! 戦えなくても勇者の相方にポーターは必要だからな!」
アドルから声をかけられた時は何を言っているんだと思ったが、昔から同じ村で過ごしている幼馴染に影響されたのだろう。
男ならどこか心の奥底にある"勇者になりたい"という憧れが俺の中にもあったからだ。
しかし、俺のスキルでは勇者にはなれないと気づいた頃には諦めてひっそりと暮らすはずだった。それなのにあいつのスキル【剣豪】に魅せられた。
そして夢見てた俺はアドルがリーダーを務めるパーティーのポーターになっていた。
♢
「これで私達も勇者になったから使えないお荷物はいらないのよ! 女の私があんたみたいなお荷物を守らなくていいって思うと清々する」
「ほんとそうよね! 聖女の私ですら魔物と戦っているのに何もしないやつなんていらないわ」
「ははは、相当お前って嫌われてるんだな」
今まで仲間だと思っていた【女剣士】のアテナと【聖女】のシャルロにもそんな風に思われているとは思ってもいなかった。
彼女達はいつも優しく俺に接してくれていた。ふと隣を見ると、もう一人いるパーティーメンバーも俺を睨んでいた。
「そもそも、男はアドルだけでいいのよ。いつも邪魔だったのよ」
【魔女】のマリベルはアドルに熱い口づけをした。
「いやん、マリベルだけずるいわ」
「そうよ、私も相手して」
アドルを囲むようにシャルロとアテナは近づき、自身の体を曝け出している。
こんなところで淫らな行為をしようとしているこいつらに嫌悪感しか感じない。俺の背中にずっと置かれた足はやっと退けられた。
だが、今度は精神的な重しを乗せられる。
「あっ、全てのアイテムと金は俺達のだから置いてけよ」
アイテムが入った鞄とスキル【証券口座】からお金を取り出し地面に置く。
「おい、アイテムって言ったらお前の装備もだろ?」
「これは俺が買ったや――」
さすが勇者パーティーと言われるほどだ。気づいたらまたアドルに蹴り飛ばされていた。全くアドルが蹴った姿が俺には見えなかった。
これが勇者と一般人の違いだ。
「俺らが稼いだ金で買ったやつは俺らのもんだろ? なぁ?」
俺の頭を掴み見下ろすその顔は昔のような優しいアドルはいない。
"勇者"という称号はそれだけ人を変えてしまうのだろう。
こんなに人を変えてしまう称号なら俺はアドルについて行かずにひっそり暮らすべきだった。でも、今頃悔しても遅い。
あの時、目の前にいる男の夢と俺の夢が重なってしまったのだ。
――勇者になりたい
そんな馬鹿げた夢を俺は持つべきではなかったのだ。
「こいつが使ってた装備なんていらないわよ?」
「いや、売れば金になるだろ?」
「あはは、さすがアドル!」
「だから、マリベルばかりキスしてずるい!」
「ははは、これからみんなで楽しもうぜ」
俺のことは既に頭にないのか、アドルは女達と肩を組んで街の中へ消えて行った。
「これが私の仕事なのでごめんなさいね」
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