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9.みんなで無視するのは流行りですか?
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清々しい朝に俺はいつもより早く目を覚ました。初めての個別依頼のために昨日は早く寝たのだ。
俺は体を起こすと枕もとには知らない外套が置いてあった。以前もどこか似たようなことがあった気はしたが、とりあえずリーチェに渡すことにした。
「リーチェさんおはようございます」
「今日は早いね!」
「初めての個別依頼なので気合いを入れてきました」
朝の冒険者ギルドはたくさんの人で溢れており、話していても聞き取りにくいほどだった。
「この外套が置いてあったんですが知ってますか?」
俺は外套をリーチェに渡すと鑑定を使っていた。その表情は不思議そうな顔をしている。
「この外套の所有者はウォーくんになっているよ?」
「えっ?」
「短剣の時もだけどウォーくんって忘れ坊なのかしら?」
リーチェに言われて気づいたが、短剣の時もいつのまにか置いてあったのだ。
「ついでにお金はかかるけど鑑定してみる?」
俺はリーチェに10Gを渡し鑑定をお願いした。
「やっぱりウォーくんので間違いないしシリーズ物なんだね」
俺は鑑定した後に書き出した紙を見て驚いた。
――――――――――――――――――――
《匠の外套》
レア度 ★★★★★
説明 あるドワーフが感謝の気持ちとして作った外套。なるべく安全に探索できるようにと願われたこの外套は持ち主の隠密度を上げる。
持ち主 ウォーレン
――――――――――――――――――――
シリーズ物っていうのはこの"匠"のことを言っているのだろう。しかもレア度も短剣と同じだ。
「じゃあ、今日も頑張ってね」
俺は冒険者ギルドを出ると外套を羽織り森に向かった。
いつもなら門番にいるライオが声をかけてくれるが今日は俺が話しかけても、どこかキョロキョロとして無視された。何か嫌われることでもしたのだろうか。
いつもの場所に着くと今日も薬草がしっかりと生えていた。やはり昨日考えた通りで短剣での採取が影響しているのだろう。
いつも通りに短剣で採取して、薬草と毒消し草を詰めると袋はすぐにいっぱいになっていた。
「よし、帰ろうか」
あまり時間は経ってはいないが、帰ろうとすると茂みから何かが近づいて来る音がした。
「グギャギャ!」
飛び出してきたのはゴブリンだった。しかも、その後ろをこの間の年下冒険者が追いかけていた。
「ヒロトまた逃したでしょ!」
「こうやって倒した方がスリルがあっていいだろう」
俺は短剣を構えたがゴブリンは、俺のことに気づかずに前を素通りしていく。
ゴブリンを追いかけるヒロトと女の子の後ろをめんどくさそうにもう1人の男がついてきていた。
その男はなぜか俺の前で足を止めた。
「マヒロどうしたの?」
「いや、どこかに人がいる気配がして……」
「そう? 私には見えないよ! ちょっとヒロト待ってよー!」
「そうか」
慌ただしく年下の冒険者達はゴブリンを追いかけて行った。俺はゴブリンに驚き短剣を構えていたが昨日のこともあり動けなかった。
ゴブリン程度で固まっていたら冒険者としては失格だ。俺はそんなことを思いながら、街に帰ったがまた門番のライオには無視された。
「ライオのやつ俺が何か悪いことでもしたか?」
俺はそのままモーリンの薬屋に寄ることにした。
扉を開けたが目の前にいるモーリンからは反応がなかった。少しずつ近づくと急に何かが飛んできた。
「何者だ!」
俺の顔を横切ったのは小さなナイフだった。ナイフは扉に刺さり、少し場所が違えば俺の顔面を刺していただろう。
「姿を表さないのならこちらから――」
モーリンがカウンターを飛び越えようとしていたため俺は急いで外套のフードを外した。
「俺で――」
「うぎゃ!? お前さんだったんかい!」
モーリンは俺の顔を見ると驚いていた。俺にしたらおばあちゃんがカウンターを勢いよく飛び越えたり、ナイフを顔スレスレに投げて来たことの方が驚きだ。
「私を早死にさせるつもりかい!」
モーリンはよっぽど驚いたのだろう。人前に出る時はなるべくフードを外すように注意された。
どうやら俺が思っているよりも、匠の外套はすごい効果があるらしい。
「それでどうしたんだ?」
「薬草を持ってきました」
俺は薬草をモーリンに手渡した。依頼にはなかったが毒消し草も渡すとモーリンは震えていた。
ひょっとして質が基準よりも足りなかったのだろうか。
「おっ……お主は天才か?」
「えっ?」
「全て基準以上じゃ! こんなに良質な物なら良いポーションが作れるぞ。しかも毒消し草まで……」
どうやらモーリンが求めていた物を持ってくることができたようだ。
「報酬は上乗せしとくからまたいつでも持ってきな」
俺はモーリンに依頼完了のサインをもらうと冒険者ギルドに戻った。フードを外した状態であればリーチェも普通に話しかけてきた。
「今日のウォーくんは目を凝らしてないと見失いそうですね」
どうやら外套のフードを外すだけでは見えづらいらしい。
「これが今日の報酬です。そういえばモーリンさんがいつでも受けられるように個別依頼を出しておくと言ってました」
「えっ……今なんて言いました?」
俺は渡された金額に驚き、最後の方は何を言っていたのか聞き取りづらかった。
「もう! 明日からはいつでも薬草を持ってきておいでって言ってましたよ」
2回目でやっと言われた内容が理解することができた。それだけ今回の破格の報酬に俺はついていけなかったのだ。
俺が今回手に入れたお金は1500Gだった。この間の魔石と同じ値段を薬草で稼いだのだ。
これだけ稼げたらこのまま薬草採取専用の冒険者になってもいいと俺は思った。
俺は体を起こすと枕もとには知らない外套が置いてあった。以前もどこか似たようなことがあった気はしたが、とりあえずリーチェに渡すことにした。
「リーチェさんおはようございます」
「今日は早いね!」
「初めての個別依頼なので気合いを入れてきました」
朝の冒険者ギルドはたくさんの人で溢れており、話していても聞き取りにくいほどだった。
「この外套が置いてあったんですが知ってますか?」
俺は外套をリーチェに渡すと鑑定を使っていた。その表情は不思議そうな顔をしている。
「この外套の所有者はウォーくんになっているよ?」
「えっ?」
「短剣の時もだけどウォーくんって忘れ坊なのかしら?」
リーチェに言われて気づいたが、短剣の時もいつのまにか置いてあったのだ。
「ついでにお金はかかるけど鑑定してみる?」
俺はリーチェに10Gを渡し鑑定をお願いした。
「やっぱりウォーくんので間違いないしシリーズ物なんだね」
俺は鑑定した後に書き出した紙を見て驚いた。
――――――――――――――――――――
《匠の外套》
レア度 ★★★★★
説明 あるドワーフが感謝の気持ちとして作った外套。なるべく安全に探索できるようにと願われたこの外套は持ち主の隠密度を上げる。
持ち主 ウォーレン
――――――――――――――――――――
シリーズ物っていうのはこの"匠"のことを言っているのだろう。しかもレア度も短剣と同じだ。
「じゃあ、今日も頑張ってね」
俺は冒険者ギルドを出ると外套を羽織り森に向かった。
いつもなら門番にいるライオが声をかけてくれるが今日は俺が話しかけても、どこかキョロキョロとして無視された。何か嫌われることでもしたのだろうか。
いつもの場所に着くと今日も薬草がしっかりと生えていた。やはり昨日考えた通りで短剣での採取が影響しているのだろう。
いつも通りに短剣で採取して、薬草と毒消し草を詰めると袋はすぐにいっぱいになっていた。
「よし、帰ろうか」
あまり時間は経ってはいないが、帰ろうとすると茂みから何かが近づいて来る音がした。
「グギャギャ!」
飛び出してきたのはゴブリンだった。しかも、その後ろをこの間の年下冒険者が追いかけていた。
「ヒロトまた逃したでしょ!」
「こうやって倒した方がスリルがあっていいだろう」
俺は短剣を構えたがゴブリンは、俺のことに気づかずに前を素通りしていく。
ゴブリンを追いかけるヒロトと女の子の後ろをめんどくさそうにもう1人の男がついてきていた。
その男はなぜか俺の前で足を止めた。
「マヒロどうしたの?」
「いや、どこかに人がいる気配がして……」
「そう? 私には見えないよ! ちょっとヒロト待ってよー!」
「そうか」
慌ただしく年下の冒険者達はゴブリンを追いかけて行った。俺はゴブリンに驚き短剣を構えていたが昨日のこともあり動けなかった。
ゴブリン程度で固まっていたら冒険者としては失格だ。俺はそんなことを思いながら、街に帰ったがまた門番のライオには無視された。
「ライオのやつ俺が何か悪いことでもしたか?」
俺はそのままモーリンの薬屋に寄ることにした。
扉を開けたが目の前にいるモーリンからは反応がなかった。少しずつ近づくと急に何かが飛んできた。
「何者だ!」
俺の顔を横切ったのは小さなナイフだった。ナイフは扉に刺さり、少し場所が違えば俺の顔面を刺していただろう。
「姿を表さないのならこちらから――」
モーリンがカウンターを飛び越えようとしていたため俺は急いで外套のフードを外した。
「俺で――」
「うぎゃ!? お前さんだったんかい!」
モーリンは俺の顔を見ると驚いていた。俺にしたらおばあちゃんがカウンターを勢いよく飛び越えたり、ナイフを顔スレスレに投げて来たことの方が驚きだ。
「私を早死にさせるつもりかい!」
モーリンはよっぽど驚いたのだろう。人前に出る時はなるべくフードを外すように注意された。
どうやら俺が思っているよりも、匠の外套はすごい効果があるらしい。
「それでどうしたんだ?」
「薬草を持ってきました」
俺は薬草をモーリンに手渡した。依頼にはなかったが毒消し草も渡すとモーリンは震えていた。
ひょっとして質が基準よりも足りなかったのだろうか。
「おっ……お主は天才か?」
「えっ?」
「全て基準以上じゃ! こんなに良質な物なら良いポーションが作れるぞ。しかも毒消し草まで……」
どうやらモーリンが求めていた物を持ってくることができたようだ。
「報酬は上乗せしとくからまたいつでも持ってきな」
俺はモーリンに依頼完了のサインをもらうと冒険者ギルドに戻った。フードを外した状態であればリーチェも普通に話しかけてきた。
「今日のウォーくんは目を凝らしてないと見失いそうですね」
どうやら外套のフードを外すだけでは見えづらいらしい。
「これが今日の報酬です。そういえばモーリンさんがいつでも受けられるように個別依頼を出しておくと言ってました」
「えっ……今なんて言いました?」
俺は渡された金額に驚き、最後の方は何を言っていたのか聞き取りづらかった。
「もう! 明日からはいつでも薬草を持ってきておいでって言ってましたよ」
2回目でやっと言われた内容が理解することができた。それだけ今回の破格の報酬に俺はついていけなかったのだ。
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