23 / 141

23.愛される子供達

しおりを挟む
 俺が一度子供達の様子を見るために宿屋に帰ると、ロンとニアは玄関で待っていた。どことなく帰りを待っている愛犬のようだ。

 獣人ってこんなに動物みたい生態をしているのだろうか。

「にいちゃ!」
「お兄ちゃん!」

 二人は俺が帰ってきたことに気づくと尻尾を立たせて俺に近づいてきた。

「おい、お前がいなかったとき大変だったぞ」

 その様子を後ろで見ていたロビンは俺が居ない時のことを話し出した。

 二人は目を覚ましたら俺がいないことに気づき大泣きし、何をやっても泣き止まなかったらしい。

 その後、静かになったと思ったら泣き疲れて寝るを何度も繰り返し最終的には帰ってくるまで玄関で待っていた。

 幼い二人にとって頼れる人は俺だけと認識しているのだろうか。

「明日からはこいつらも連れて行けよ」

 今も帰ってから二人は離れようとせずに俺にべったりとしている。明日からは常に行動を共にしないといけなくなった。

 そのためメジストの錬金術店にも一緒に連れていく。

「メジストさーん!」

 俺は普段通りに声をかけると、奥の工房にいたのかめんどくさそうに出てきた。

「今日も風属性のませ……いつ子供を産んだんだ!?」

 メジストは俺の足元にいた二人を見て驚いていた。そりゃー、昨日まで一人だったのに、急に子供を連れてきたらびっくりするだろう。

「色々訳があってですね……」

「お前はそんなに節操なしだった――」

「それは違います! 俺はまだ……」

「まだ何だね? ウォーよ」

 俺は良からぬことを言いそうになり口を閉じた。それを聞いたメジストはニヤニヤと笑っている。

「二人とも挨拶して」

 俺は逃げるようにロンとニアに挨拶するように声をかけた。

「ロンはロンだ!」

「私はニアです」

 うん、どちらも個性があって可愛い。それにしても妹のニアの方が大人っぽいのはやはり女の子だからだろうか。

「じいじの名前は?」

「じいじだと……」

 俺はロンが言ってはいけないことを言ってしまったと思ったがどうやら違うようだ。

「おー、ロンとニアって言うのか!」

 メジストはカウンターから飛び越えると子供達を抱きかかえていた。どうやらメジストは獣人に抵抗はなく子供好きらしい。

「わしとモーリンには子供ができなかったからな……」

「じいじ大丈夫?」

 どこか寂しそうな顔をしたメジストだったが、ロンとニアに呼ばれてすぐにご機嫌になっていた。

「それで魔石はどれじゃ?」

「実は違う魔石を持ってきました」

「なに!?」

 俺がオークから手に入れた魔石を取り出すとメジストは止まっていた。

「また珍しい属性なのじゃ」

 メジストは魔石を手に取ると様々な角度で見ていた。

「どうですか?」

 琥珀色の魔石とは違うが、オークの魔石もホーンラビットのように高価になると思っている。ただ、属性がわからない限りは、メジストも買い取りにくい可能性もあった。

 ホーンラビットとは違って色が混ざり澄んではいない。

「今回だけは一つ5000Gで買い取るのじゃ! またスキル玉で何ができるかによっては買取金額を変更するから楽しみにしておくといい」

 初回ということもありホーンラビットの魔石よりも1000G高く買い取ってもらった。

「じいじ! 魔石ってなに?」

 子供達はキラキラとした魔石に興味津々のようだ。

「魔石は生活に必要な元が入っているのじゃ! 火をつけたり電気をつけたりするのも全ては魔石のおかげなのじゃ」

「ほぉーじいじは物知りだね」

「んー、お前達は可愛いのう」

 子供達に褒められたメジストはデレデレだ。

「ウォーレンはその中でも良い魔石を持ってきてくれるからな。それで魔法を強くしたりスキル玉を作ることができるんじゃ」

 俺が持ってくる魔石は普通の魔石とは異なるため、しっかりと説明しておかないと魔石=値段が高いと覚えてしまう。

 特に見た目に関してはわかりやすく、メジストは普通の魔石と俺が持ってきた魔石を比較して説明をしていた。

 色が混ざって何色かわからないものではなく、はっきりと色がついていればわかりやすいはずだ。

「じいじすごいね!」

「そうじゃろ!」

 メジストの機嫌は絶好調になっていた。もはや俺は隣で笑うしかない。

「ロンもスキル玉欲しいな……」
「ニアも欲しい!」
 
「うっ……」

 子供のキラキラした瞳にメジストは勝てなかったのか、工房から風属性のスキル玉を持ってきた。

 あれって普通に買うと結構高いはず。冒険者達も貯金を使って買うぐらいの値段だ。それを幼い子供達に簡単に渡すとは、相当子供達を気に入っているのだろう。

「大事に使うんじゃぞ」

「じいじありがとう」
「じいじ大好き」

 子供達はスキル玉を受け取ると嬉しそうに微笑んでいた。子供にとっては大切な宝物になるだろう。いや、普通の冒険者に取っても大事な宝物だ。

「じゃあ、また魔石を持って――」

「次もこやつらを連れてくるんじゃぞ」

「わかりました」

 どうやらメジストは相当ロンとニアのことを好いているようだった。それにしても一つだけでも値段が高いスキル玉を二人に持たせて俺は若干ハラハラとしていた。
しおりを挟む
感想 23

あなたにおすすめの小説

現代錬金術のすゝめ 〜ソロキャンプに行ったら賢者の石を拾った〜

涼月 風
ファンタジー
御門賢一郎は過去にトラウマを抱える高校一年生。 ゴールデンウィークにソロキャンプに行き、そこで綺麗な石を拾った。 しかし、その直後雷に打たれて意識を失う。 奇跡的に助かった彼は以前の彼とは違っていた。 そんな彼が成長する為に異世界に行ったり又、現代で錬金術をしながら生活する物語。

異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!

枕崎 削節
ファンタジー
〔小説家になろうローファンタジーランキング日間ベストテン入り作品〕 タイトルを変更しました。旧タイトル【異世界から帰ったらなぜか魔法学院に入学。この際遠慮なく能力を発揮したろ】 3年間の異世界生活を経て日本に戻ってきた楢崎聡史と桜の兄妹。二人は生活の一部分に組み込まれてしまった冒険が忘れられなくてここ数年日本にも発生したダンジョンアタックを目論むが、年齢制限に壁に撥ね返されて入場を断られてしまう。ガックリと項垂れる二人に救いの手を差し伸べたのは魔法学院の学院長と名乗る人物。喜び勇んで入学したはいいものの、この学院長はとにかく無茶振りが過ぎる。異世界でも経験したことがないとんでもないミッションに次々と駆り出される兄妹。さらに二人を取り巻く周囲にも奇妙な縁で繋がった生徒がどんどん現れては学院での日常と冒険という非日常が繰り返されていく。大勢の学院生との交流の中ではぐくまれていく人間模様とバトルアクションをどうぞお楽しみください!

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。

昼寝部
キャラ文芸
 俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。  その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。  とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。  まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。  これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。

転生したら『塔』の主になった。ポイントでガチャ回してフロア増やしたら、いつの間にか世界最強のダンジョンになってた

季未
ファンタジー
【書き溜めがなくなるまで高頻度更新!♡٩( 'ω' )و】 気がつくとダンジョンコア(石)になっていた。 手持ちの資源はわずか。迫りくる野生の魔物やコアを狙う冒険者たち。 頼れるのは怪しげな「魔物ガチャ」だけ!? 傷ついた少女・リナを保護したことをきっかけにダンジョンは急速に進化を始める。 罠を張り巡らせた塔を建築し、資源を集め、強力な魔物をガチャで召喚! 人間と魔族、どこの勢力にも属さない独立した「最強のダンジョン」が今、産声を上げる!

僕のギフトは規格外!?〜大好きなもふもふたちと異世界で品質開拓を始めます〜

犬社護
ファンタジー
5歳の誕生日、アキトは不思議な夢を見た。舞台は日本、自分は小学生6年生の子供、様々なシーンが走馬灯のように進んでいき、突然の交通事故で終幕となり、そこでの経験と知識の一部を引き継いだまま目を覚ます。それが前世の記憶で、自分が異世界へと転生していることに気付かないまま日常生活を送るある日、父親の職場見学のため、街中にある遺跡へと出かけ、そこで出会った貴族の幼女と話し合っている時に誘拐されてしまい、大ピンチ! 目隠しされ不安の中でどうしようかと思案していると、小さなもふもふ精霊-白虎が救いの手を差し伸べて、アキトの秘めたる力が解放される。 この小さき白虎との出会いにより、アキトの運命が思わぬ方向へと動き出す。 これは、アキトと訳ありモフモフたちの起こす品質開拓物語。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します

名無し
ファンタジー
 毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。

処理中です...