104 / 141
104.彼の想い
しおりを挟む
空を飛んできたホークスとハリスは俺達の目の前に降りるとジッとこちらを見ていた。
「お兄さん達怪我はないですか?」
「特にないよ」
俺の言葉に2人は大きく息を吐いた。
「今みんなが王都で探しているよ」
どうやら王都に住んでいる人達が俺達を探しているようだ。何か悪いことをしたか考えてみるが思いつくことはない。
「でも無事でよかったね。 私達は先にみんなに伝えてくるね」
2人はまた獣化し王都の方に戻って行った。
「3日も帰ってこなかったから心配してるのかな?」
「んー、それ以外にもなにかあると思うよ? にいちゃ何かやらかした?」
「ん? それは俺が何かやらかしたのが前提なのか?」
俺の言葉にロンとニアは頷いていた。いつから俺はそういうキャラになったのだろう。
「そういえば2人のところに行く前に触手を吸収してきたわ」
俺は住民に連れられるまま触手を吸収していた。いつからか意識が遠のいていたからどれだけ吸収したのかは覚えていない。
「うん、きっとそれがお兄ちゃんを探している原因じゃないのかな」
ロンも同じ意見なのか頷いていた。
「そうか……。 まぁ、疲れたから気長に帰ろうか」
「そこは相変わらずマイペースなんだね」
俺はロンとニアの手を繋ぎゆっくりと歩きながら王都に向かった。
♢
王都が見え始めると門の前にはなぜかたくさんの人が待っていた。
「にいちゃ!」
「ん?」
どこかロンは嬉しそうに俺の名前を読んでいた。
「お兄ちゃん見えてないの? ばあばとじいじがいるよ」
ロンとニアは門に向かって勢いよく走った。獣人の2人には遠い先が見えているのだろう。
俺には人がたくさんいるぐらいにしか見えない。
2人を追いかけるように走っていくとそこには確かにモーリンとメジストが立っている。
俺の顔を見ると大きくため息をついていた。久しぶりに見た2人の顔はどこか疲れているような気がした。
「やっと帰ってきたと思ったらそんな姿になりおって」
「ずいぶん男らしい姿になったじゃないか」
2人の姿を見るとどこか溜まっていたものが吐き出しそうになった。やはり家族の顔を見ると安心するようだ。
「ははは、でも根は変わっていないようだな」
自分自身が本当に俺なのかわからないままだったからこそ、この言葉を言って欲しかったのだろう。
ロンとニアの前ではずっと不安だったが、兄とした強がっていた部分が一瞬にして剥がれた。
「ほらそんなところで突っ立ってないでこちらにおいで」
優しく手を広げているモーリンに俺は勢いよく飛びついた。
「ただいま」
俺から出た言葉はこれだけだ。どこかに感じるあの人もこの言葉をずっと待っていたのだろう。
「孫はいつになっても孫だね」
優しく俺を撫でるその手に何かが溶かされる暖かさを感じた。
溜めていた涙が彼の想いとともにそっと流れた。
「お兄さん達怪我はないですか?」
「特にないよ」
俺の言葉に2人は大きく息を吐いた。
「今みんなが王都で探しているよ」
どうやら王都に住んでいる人達が俺達を探しているようだ。何か悪いことをしたか考えてみるが思いつくことはない。
「でも無事でよかったね。 私達は先にみんなに伝えてくるね」
2人はまた獣化し王都の方に戻って行った。
「3日も帰ってこなかったから心配してるのかな?」
「んー、それ以外にもなにかあると思うよ? にいちゃ何かやらかした?」
「ん? それは俺が何かやらかしたのが前提なのか?」
俺の言葉にロンとニアは頷いていた。いつから俺はそういうキャラになったのだろう。
「そういえば2人のところに行く前に触手を吸収してきたわ」
俺は住民に連れられるまま触手を吸収していた。いつからか意識が遠のいていたからどれだけ吸収したのかは覚えていない。
「うん、きっとそれがお兄ちゃんを探している原因じゃないのかな」
ロンも同じ意見なのか頷いていた。
「そうか……。 まぁ、疲れたから気長に帰ろうか」
「そこは相変わらずマイペースなんだね」
俺はロンとニアの手を繋ぎゆっくりと歩きながら王都に向かった。
♢
王都が見え始めると門の前にはなぜかたくさんの人が待っていた。
「にいちゃ!」
「ん?」
どこかロンは嬉しそうに俺の名前を読んでいた。
「お兄ちゃん見えてないの? ばあばとじいじがいるよ」
ロンとニアは門に向かって勢いよく走った。獣人の2人には遠い先が見えているのだろう。
俺には人がたくさんいるぐらいにしか見えない。
2人を追いかけるように走っていくとそこには確かにモーリンとメジストが立っている。
俺の顔を見ると大きくため息をついていた。久しぶりに見た2人の顔はどこか疲れているような気がした。
「やっと帰ってきたと思ったらそんな姿になりおって」
「ずいぶん男らしい姿になったじゃないか」
2人の姿を見るとどこか溜まっていたものが吐き出しそうになった。やはり家族の顔を見ると安心するようだ。
「ははは、でも根は変わっていないようだな」
自分自身が本当に俺なのかわからないままだったからこそ、この言葉を言って欲しかったのだろう。
ロンとニアの前ではずっと不安だったが、兄とした強がっていた部分が一瞬にして剥がれた。
「ほらそんなところで突っ立ってないでこちらにおいで」
優しく手を広げているモーリンに俺は勢いよく飛びついた。
「ただいま」
俺から出た言葉はこれだけだ。どこかに感じるあの人もこの言葉をずっと待っていたのだろう。
「孫はいつになっても孫だね」
優しく俺を撫でるその手に何かが溶かされる暖かさを感じた。
溜めていた涙が彼の想いとともにそっと流れた。
12
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
現代錬金術のすゝめ 〜ソロキャンプに行ったら賢者の石を拾った〜
涼月 風
ファンタジー
御門賢一郎は過去にトラウマを抱える高校一年生。
ゴールデンウィークにソロキャンプに行き、そこで綺麗な石を拾った。
しかし、その直後雷に打たれて意識を失う。
奇跡的に助かった彼は以前の彼とは違っていた。
そんな彼が成長する為に異世界に行ったり又、現代で錬金術をしながら生活する物語。
異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!
枕崎 削節
ファンタジー
〔小説家になろうローファンタジーランキング日間ベストテン入り作品〕
タイトルを変更しました。旧タイトル【異世界から帰ったらなぜか魔法学院に入学。この際遠慮なく能力を発揮したろ】
3年間の異世界生活を経て日本に戻ってきた楢崎聡史と桜の兄妹。二人は生活の一部分に組み込まれてしまった冒険が忘れられなくてここ数年日本にも発生したダンジョンアタックを目論むが、年齢制限に壁に撥ね返されて入場を断られてしまう。ガックリと項垂れる二人に救いの手を差し伸べたのは魔法学院の学院長と名乗る人物。喜び勇んで入学したはいいものの、この学院長はとにかく無茶振りが過ぎる。異世界でも経験したことがないとんでもないミッションに次々と駆り出される兄妹。さらに二人を取り巻く周囲にも奇妙な縁で繋がった生徒がどんどん現れては学院での日常と冒険という非日常が繰り返されていく。大勢の学院生との交流の中ではぐくまれていく人間模様とバトルアクションをどうぞお楽しみください!
【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】
~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。
少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。
昼寝部
キャラ文芸
俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。
その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。
とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。
まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。
これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します
名無し
ファンタジー
毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる