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「町宮さんは“後天性α型”ですね。番、つまりΩ型とマッチングしない限りαとしての特性が現れないんですよ。まぁつまり普段はβ型と変わりないってことですね。珍しい型ですがそれだけですので心配はいりませんよ」
「……はぁ」
この世界の設定は面倒臭い。
設定内容はそう難しいわけではない。
この世界には男女という二つの性別の他に【α】、【β】、【Ω】という第二性別というものが存在する。
現代、三歳頃から絵本などを用いて設定についての教育が義務化されており、小学校では性教育と合わせ理解を深める。
だから高校生にもなればその設定を知っているのは当たり前だ。
第二性別が世界に広まったのは約百年前で、歴史としてはまだ浅い。
この三種の新たな性により、公表された当時は酷い差別があったと記されている。
差別の主な原因としては、この三種に優劣が存在することだろう。
教科書では学術的見解により定められた順として基本的にα、β、Ωの順に表記されることが多いが、要はヒエラルキーの上位順だ。
人の上に立つリーダーとしてのカリスマ性を備えている、つまり優秀な者が多いα型。
可もなく不可もなく、標準値の者が多いβ型。
通常時はβ型と変わりないが、男女共にα型とであれば同性間でも子を生せるΩ型。
世界の大半はβ型であり、α型とΩ型は希少種となっている。
この三種の中で特色の濃いα型とΩ型の間での問題は今となっても解消されていない。
遺伝子レベル、つまり本能的な部分に組み込まれた設定のせいか、Ωはαの子を産む道具として見られることが多い。
昔に比べ現代はマシにはなっただろうが、主にαがΩを差別視することは身近でもあることだった。
自分はβ型であるから、Ω型を気の毒に思いはしても見て見ぬ振りをしていた。
これからもそうであると疑いもしなかったから、目の前の医師から聞かされた検査結果に呆然とするしかなかった。
「町宮さんの身近にΩ型の人はいますか?」
「学校に数人……いたと思います」
「それじゃあ一応抑制剤を出しておきますね」
「私も服用するんですか」
「α型も服用しておけばフェロモン分泌をある程度抑えられますからね。まぁ、身近のΩ型のヒート期間なんて普通分からないですから使い時が難しいですが。念のため常時持っておいてください」
「……はい」
十七年間、病気とも薬とも無縁であったためか複雑な心持ちだった。
診察室の外で待っていた母に検査結果を伝えると、母もまた何とも言えない複雑な表情を浮かべた。
「どっちの家系にもα型なんていないから分からないけど、心配いらないって言われたんでしょ?」
「うん、今までと変わりないって……」
Ω型と関わらない限りは。
母も同じことを思っているようだったけど、結局どちらも言葉にはしなかった。
薬局でもらった抑制剤の入ったビニール袋がいやに重く感じた。
「……はぁ」
この世界の設定は面倒臭い。
設定内容はそう難しいわけではない。
この世界には男女という二つの性別の他に【α】、【β】、【Ω】という第二性別というものが存在する。
現代、三歳頃から絵本などを用いて設定についての教育が義務化されており、小学校では性教育と合わせ理解を深める。
だから高校生にもなればその設定を知っているのは当たり前だ。
第二性別が世界に広まったのは約百年前で、歴史としてはまだ浅い。
この三種の新たな性により、公表された当時は酷い差別があったと記されている。
差別の主な原因としては、この三種に優劣が存在することだろう。
教科書では学術的見解により定められた順として基本的にα、β、Ωの順に表記されることが多いが、要はヒエラルキーの上位順だ。
人の上に立つリーダーとしてのカリスマ性を備えている、つまり優秀な者が多いα型。
可もなく不可もなく、標準値の者が多いβ型。
通常時はβ型と変わりないが、男女共にα型とであれば同性間でも子を生せるΩ型。
世界の大半はβ型であり、α型とΩ型は希少種となっている。
この三種の中で特色の濃いα型とΩ型の間での問題は今となっても解消されていない。
遺伝子レベル、つまり本能的な部分に組み込まれた設定のせいか、Ωはαの子を産む道具として見られることが多い。
昔に比べ現代はマシにはなっただろうが、主にαがΩを差別視することは身近でもあることだった。
自分はβ型であるから、Ω型を気の毒に思いはしても見て見ぬ振りをしていた。
これからもそうであると疑いもしなかったから、目の前の医師から聞かされた検査結果に呆然とするしかなかった。
「町宮さんの身近にΩ型の人はいますか?」
「学校に数人……いたと思います」
「それじゃあ一応抑制剤を出しておきますね」
「私も服用するんですか」
「α型も服用しておけばフェロモン分泌をある程度抑えられますからね。まぁ、身近のΩ型のヒート期間なんて普通分からないですから使い時が難しいですが。念のため常時持っておいてください」
「……はい」
十七年間、病気とも薬とも無縁であったためか複雑な心持ちだった。
診察室の外で待っていた母に検査結果を伝えると、母もまた何とも言えない複雑な表情を浮かべた。
「どっちの家系にもα型なんていないから分からないけど、心配いらないって言われたんでしょ?」
「うん、今までと変わりないって……」
Ω型と関わらない限りは。
母も同じことを思っているようだったけど、結局どちらも言葉にはしなかった。
薬局でもらった抑制剤の入ったビニール袋がいやに重く感じた。
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