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1. Spring
Spring
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「今日のお昼どうする?」
「うーん、学食は飽きたから今日はカナルにしない?」
「お、いいね、そうしよそうしよ。」
私はこの春に晴れて大学1年生になった。もう1ヶ月が経つが友だちは1人もいない。周りのクラスメイトの会話に聞き耳を立てて楽しんでいる。
そうか、あの子たちは今日はカナルか、贅沢なw
キャンパス内にはいわゆる学食と喫茶店カナルがある。学食はとにかく安いが、味はイマイチ。まあ、外で食べるのに比べると半額くらいだから文句も言わないけど。そしてカナルはそれより少し高いけど、外に比べると割安かな。1人で入るのはちょっと勇気がいるので私は行ったことない。
私はいつも通り学食で一番安いかけうどん。1杯180円。
1人暮らしだとさ、下手に自炊とかすると逆に高くつくじゃない。弁当作っても180円に収められる自信はないw
午後も退屈な授業だ。1年生は一般教養の授業ばかりで面白くないのよ。
「皆さんも東西で食文化が違うのは聞いたことあるでしょう・・・」
ほおづえをつきながら講師のしゃべりを聞くでもなく聞かぬでもなく、そんな態度で過ごしていた。
「はい、そこ、聞いてるんですか?」
クラスメイトの中では全く目立たない私なのに、先生には妙に目立つのよねw
慌てて姿勢を直す。
「えーと、佐藤希美(のぞみ)か、答えてみなさい」
え、何を聞かれてるのかわからないんですけど。
「わ、わかりません」
「本当にあなたはトロいですね。佐藤さんは何人もいるし、のぞみさんも何人かいるからなんて呼べばいいかしら。そうね、ノロマのノン吉でいいわ。」
教室中にクスクス失笑が響きわたる。
この令和の時代、友だち同士であだ名禁止の学校もあるというのに先生が変なあだ名をつけるなんて、公立の小中学校なら問題になるわよ。
しかし、私立の女子大では訴えてもダメだろうな。
この大学には資格を取るために入ったの、卒業すれば保育士の資格がもらえる。だから卒業までは何があっても耐えるの。友だちもいらないし、楽しみもいらない。
だって私には先生にもクラスメイトにも知られてないもう一つの顔があるから。
**********
「みんなー、今日は最後まで楽しんでいってねー」
「今日もペンタヘブンのライブに来てくれてありがとうー」
今日は毎週木曜日に行う商業施設のインストアフリーライブの日。昨年の秋にアイドルデビューしたの。
ペンタヘブンは文字通り5人グループで、それぞれイメージカラーがある。
赤はリーダーで綺麗カッコいい不知火朱(しらぬいあかり)
青はクールでこちらも綺麗な涼風葵(すずかぜあおい)
黄色は元気で可愛い七瀬菜々(ななせなな)
ピンクはおっとりで可愛い春野さくら(はるのさくら)
そして私は緑で綺麗でも可愛いでもなく箸休め担当(笑)の猫魔にゃん(ねこまにゃん)
みんな色に関連する名前なのに私だけ関係なくない?ww
まあ5人グループだとタイプの違う子を集めるから1人くらいこういうのがいてもいいのよ。
ライブが終わると物販というか、主にチェキ撮影の時間になる。この時間になると一人ひとりの人気がそのまま列の長さに出るからちょっと切ないのよね。一番人気の朱ちゃんには20人くらい並ぶけど、私は2人。
でもこんな私でも1推しにしてくれる方が2人もいるんだからありがたいんです。「ひろきゅん」さんと「タンメン」さん、今日も来てくれた。他の子たちはお話しする時間制限があるんだけど、私の場合は時間無制限だからお得なのよw
その他に5人全員箱推しの方も何人か来てくれて今日もたわいもない話で盛り上がった。
疲れるけど楽しいひとときなのよ。
毎週木曜日と土日のどっちかはライブみたいな感じだから、結構忙しくて学校の課題とかなかなかやる時間ないんだけど、でもこれが私の生きる原動力になってるの。
「うーん、学食は飽きたから今日はカナルにしない?」
「お、いいね、そうしよそうしよ。」
私はこの春に晴れて大学1年生になった。もう1ヶ月が経つが友だちは1人もいない。周りのクラスメイトの会話に聞き耳を立てて楽しんでいる。
そうか、あの子たちは今日はカナルか、贅沢なw
キャンパス内にはいわゆる学食と喫茶店カナルがある。学食はとにかく安いが、味はイマイチ。まあ、外で食べるのに比べると半額くらいだから文句も言わないけど。そしてカナルはそれより少し高いけど、外に比べると割安かな。1人で入るのはちょっと勇気がいるので私は行ったことない。
私はいつも通り学食で一番安いかけうどん。1杯180円。
1人暮らしだとさ、下手に自炊とかすると逆に高くつくじゃない。弁当作っても180円に収められる自信はないw
午後も退屈な授業だ。1年生は一般教養の授業ばかりで面白くないのよ。
「皆さんも東西で食文化が違うのは聞いたことあるでしょう・・・」
ほおづえをつきながら講師のしゃべりを聞くでもなく聞かぬでもなく、そんな態度で過ごしていた。
「はい、そこ、聞いてるんですか?」
クラスメイトの中では全く目立たない私なのに、先生には妙に目立つのよねw
慌てて姿勢を直す。
「えーと、佐藤希美(のぞみ)か、答えてみなさい」
え、何を聞かれてるのかわからないんですけど。
「わ、わかりません」
「本当にあなたはトロいですね。佐藤さんは何人もいるし、のぞみさんも何人かいるからなんて呼べばいいかしら。そうね、ノロマのノン吉でいいわ。」
教室中にクスクス失笑が響きわたる。
この令和の時代、友だち同士であだ名禁止の学校もあるというのに先生が変なあだ名をつけるなんて、公立の小中学校なら問題になるわよ。
しかし、私立の女子大では訴えてもダメだろうな。
この大学には資格を取るために入ったの、卒業すれば保育士の資格がもらえる。だから卒業までは何があっても耐えるの。友だちもいらないし、楽しみもいらない。
だって私には先生にもクラスメイトにも知られてないもう一つの顔があるから。
**********
「みんなー、今日は最後まで楽しんでいってねー」
「今日もペンタヘブンのライブに来てくれてありがとうー」
今日は毎週木曜日に行う商業施設のインストアフリーライブの日。昨年の秋にアイドルデビューしたの。
ペンタヘブンは文字通り5人グループで、それぞれイメージカラーがある。
赤はリーダーで綺麗カッコいい不知火朱(しらぬいあかり)
青はクールでこちらも綺麗な涼風葵(すずかぜあおい)
黄色は元気で可愛い七瀬菜々(ななせなな)
ピンクはおっとりで可愛い春野さくら(はるのさくら)
そして私は緑で綺麗でも可愛いでもなく箸休め担当(笑)の猫魔にゃん(ねこまにゃん)
みんな色に関連する名前なのに私だけ関係なくない?ww
まあ5人グループだとタイプの違う子を集めるから1人くらいこういうのがいてもいいのよ。
ライブが終わると物販というか、主にチェキ撮影の時間になる。この時間になると一人ひとりの人気がそのまま列の長さに出るからちょっと切ないのよね。一番人気の朱ちゃんには20人くらい並ぶけど、私は2人。
でもこんな私でも1推しにしてくれる方が2人もいるんだからありがたいんです。「ひろきゅん」さんと「タンメン」さん、今日も来てくれた。他の子たちはお話しする時間制限があるんだけど、私の場合は時間無制限だからお得なのよw
その他に5人全員箱推しの方も何人か来てくれて今日もたわいもない話で盛り上がった。
疲れるけど楽しいひとときなのよ。
毎週木曜日と土日のどっちかはライブみたいな感じだから、結構忙しくて学校の課題とかなかなかやる時間ないんだけど、でもこれが私の生きる原動力になってるの。
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